HOME | 説教 | 説教(2008年度) | 新しい生き方

新しい生き方

説教要旨(10月19日 朝礼拝 )
申命記 第4章25 ~31節
ローマの信徒への手紙 第 7章 1~6節
倉橋康夫

 律法とどのように関わるかによって、神の恵みを台無しにし、信仰生活を間違ったものにしてしまう、とパウロは恐れました。このことは、ユダヤ人だけの問題ではなく、私たちキリスト者全てが問われることです。私たちもまた、律法主義に陥る危険を常に持っているからです。キリスト者であることを、何かの形にして現し、それを誇るという危険です。キリスト者の生き方として、自ずと薫り出るものがあることは尊いことです。しかし、それを誇り、自分の救いに役立つかのように思い上がると間違いが起こります。そして、そのような発想から、他人を裁くという間違いも生まれるのです。
 ところで、パウロは、律法との誤った関わりについて語るに当たり、結婚・夫婦の関係を持ち出します。結婚の関係は、妻の方からするなら、夫の生存中は夫に繋がれており、法(律法)がそれを保証しているようなものです。しかし、夫が死ねば、夫から自由になり、法(律法)の規制からも自由にされます。この夫から自由になり、法(律法)から自由になる、ということを、律法の束縛から解放されることになぞらえるのです。
 扨て、<4ところで、兄弟たち>、と改めてローマの信徒たちに呼びかけ、あなたがたは既に、<キリストの体に結ばれて、律法に対しては死んだ者となって>いる、と言います。妻を縛り付けている夫が死ねば、律法から解放され自由になると言ったが、実際は、律法が死ぬのではなく、自分自身が律法に対して死ぬことだ、と言うのです。そこで、律法との間違った関係について、<5わたしたちが肉に従って生きている間は、罪に誘う欲情が律法によって五体に働き、死に至る実を結んでいました。>、と言います。霊に従う」の反対に、神を信じないで、人間的な思いのままに、<罪へ誘う欲情>に生きるのです。自分を誇り、他人を裁き、自分の身勝手な思いを貫いて、自己中心的に生きることになるのです。そのような歩みは、<死に至る実を結んで>いるものでしかない、と言います。
 けれども、主キリストの救いを信じて洗礼を受けた者は、<キリストの体に結ばれて>、律法との誤った関わりから自由にされ、<死者の中から復活させられた方のもの>となった、と言うのです。この<キリストの体>とは、ここでは、「十字架の主の体」と理解することができます。第6章8節で、<わたしたちは、キリストと共に死んだのなら、キリストと共に生きることにもなると信じます>、と言われていたことに通じます。
 キリスト者は、死者の中から復活させられた主キリストのもの・主キリストの所有とされた者です。ここに、キリスト者の幸いがあります。(ハイデルベルク信仰問答1参照)このように、復活の主の命に結ばれて生きる歩みは、<神に対して実を結ぶ>ものとなります。神に対する実とは、悔い改めです。主キリストは、私たちをご自分のものとしていて下さる。だからこそ、悔い改めて、何度でも、神のもと、主キリストのもとに帰ることが許されるのです。
 併せて読んだ申命記 第4章で、モーセはイスラエルの民に心を込めて勧告をしています。イスラエルの民が、また再び偶像礼拝の過ちに陥ることになると指摘しますが、しかし<あなたはあなたの神、主のもとに立ち帰り、その声に聞き従う。>、と言って励ますのです。これは正に、私たち自身の歩みを指し示している、と言えます。不甲斐ない歩みを繰り返してしまいながらではあっても、主のもとに立ち帰ることが許されて、信仰の歩みを進めているのです。
 そのように生きることを、パウロは<“霊”に従う新しい生き方>と言います(6節)。今や、私たちは、主キリストのものとされ、神に対する実・悔い改めの実を結ぶ、「新しい生き方」をする者とされています。神のもと、主キリストのもとに立ち帰るところに、新しさがある、と言って良いでしょう。悔い改めの度に、私たちは新しくされるからです。
 

説教一覧(2008年度)

2008.04.06
不信心な者を義とする方
2008.04.13
わたしの食べ物
2008.04.20
福音の射程
2008.04.27
信仰の父アブラハム
2008.05.04
神の約束に生きる
2008.05.11
ここに水があります
2008.05.18
信仰によって強められ
2008.05.25
今の恵み
2008.06.01
聖霊によって、神の愛が
2008.06.08
あなたがたは、決して信じない
2008.06.15
まことの神であり、まことの人
2008.06.22
神の怒りからの救い
2008.06.29
向きを変えて、行きなさい
2008.07.06
神を喜びを誇る
2008.07.13
良くなりたいか
2008.07.20
罪が死をもたらす
2008.07.27
恵みの豊かさ
2008.08.03
恵みが支配する
2008.08.10
新しい命に生きる
2008.08.17
驚いてはならない
2008.08.24
神に属すること
2008.08.31
主と一体になって
2008.09.07
神に生きる
2008.09.14
あなたたちが救われるために
2008.09.21
自分自身を神に献げよ
2008.09.28
自由と服従
2008.10.05
賜物としての永遠の命
2008.10.12
あなたの中にある光
2008.10.19
新しい生き方
2008.10.26
この人たちに食べさせる
2008.11.2
わたしたちの本国
2008.11.9
恐れることはない
2008.11.16
父なる神さま
2008.11.23
永遠の命に至る食べ物
2008.11.30
神に背負われて行く道
2008.12.7
罪が掟を利用し
2008.12.14
天から降ってきたパン
2008.12.21
主キリストのご降誕
2008.12.28
聖なる律法
2009.01.04
罪の正体
2009.01.11
命を与える霊
2009.01.18
撃ち破られてはならない
2009.01.25
惨めさからの救い
2009.02.01
主キリストに結ばれて
2009.02.08
備えられている時
2009.02.15
人となられた神の御子
2009.02.22
霊の思いは命と平和
2009.03.01
アッバ、父よ
2009.03.08
真実な人
2009.03.15
苦しみと栄光
2009.03.22
さあ、立ち上がりなさい
2009.03.29
虚無と希望