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神のみ前における確信

説教要旨( 8月22日 朝礼拝 )
出エジプト記 第32章 1~6節
ローマの信徒への手紙 第14章13~23節
倉橋康夫

 パウロは、第14章の初めから、食べ物を巡って、長々と語り続けてきました。しかし、結局のところ、パウロが考えていることの中心は、信仰共同体としての教会のあり方と、キリスト者の生き方のことである、と言うことができます。
 パウロは22節で改めて、相手と向き合うかのように、<あなたは>どのようなあり方をすべきか、を示します。弱い人とか、強い者という分類によってではなく、信仰者としてのあなたのあり方はどうなのか、を問うのです。<22 あなたは自分が抱いている確信を、神の御前で心の内に持っていなさい。・・・>、と言います。<確信>は、<信仰>という字です。「あなたは、抱いている確信・信仰を、神のみ前において、自分自身で(心の内に)、持っていなさい。」、と。この確信(信仰)は、あなたと神との関係のことだ、と言うのです。単なる、一般的な意味での確信のことではなく、神を信じる信仰のことであり、主キリストの救いを信じる信仰に基づいた確信のことです。
 「自分自身で」を、<心の内に>と訳しています。他人に左右されない、外からの刺激でグラグラしないで、神との関わりにおいて、しっかり立つように、と言うのです。他人に左右されないとは、他人の目を気にしながら、ビクビクしながらではなく、神のまなざしの中に自信を持って信仰の歩みをすることです。外からの刺激、世の風潮や時流に影響されないで、信仰者としてのあるべき姿を守り続けるのです。
 そして、パウロは続けて、<自分の決心にやましさを感じない人は幸いです。>、と言います。<自分の決心>とは、<自ら良いと定めたこと>(口語訳)、「その人が承認したこと」です。神のみ前において、信仰をもって承認する・良いことだと決心するのです。もし、そのことにやましさがあるとすれば、それは不幸なことです。<23 疑いながら食べる人は、確信に基づいて行動していないので、罪に定められます。>、と言います。
 併せて読んだ、出エジプト記 第32章は、正に確信に基づかない、愚かな民の行動を伝えています。モーセに率いられて、エジプトを脱出し、シナイ山の麓に来ていたイスラエルの民は、神を見失っていました。エジプトから導き出して下さった真の神に替えて、偶像の神を造りました。ここでは、真の神に対する疑いが支配しています。
 金の雄牛の鋳像を見て、<すると彼らは、「イスラエルよ、これこそあなたをエジプトの国から導き上ったあなたの神々だ」>と言って、<民は座って飲み食いし、立っては戯れた>のです。パウロが、23節の最後で言うように、それは<罪>の姿そのものである、と言わざるを得ません。<確信に基づいていないことは、すべて罪なのです。>、とパウロの言う通りです。
 或る人は、「(自分の確信が)神の前にも通用するかどうかを、いつも考えなくてはならない。・・・・・ 人をさばく前に、自分の考えが自分だけのものか、それとも、神の前に持ち出しても恥じないものであるかを、よく考えてみる必要がある」、と言います。信仰に基づく確信が、独善に結びつき易いことを知って、注意を喚起しているのです。
 私たちキリスト者の歩みは、それ自体完璧なものたり得ないでしょう。けれども、神の支えと導きの下にある歩みです。それ故、絶えず悔い改め、絶えず助けを求めながらも、しかしながら、神への感謝であり、讃美へと繋がる、祈りによる歩みなのです。
 私たちキリスト者は、ひとり1人の信仰に基づく確信があります。具体的には、様々かも知れません。しかし、主キリストの教会を建てることを目指す点においては、一致している筈です。心を合わせ、夫々の「神のみ前における確信」を吟味しつつ、私たちの歩みを進めて参りましょう。
 

説教一覧(2010年度)

2010.04.04
あの方は復活された
2010.04.11
近くにおられる神
2010.04.18
偽りのない愛
2010.04.25
祝福を祈る
2010.05.02
すべての人と平和に
2010.05.09
子や孫たちにも教えなさい
2010.05.16
復讐からの解放
2010.05.23
聖霊の証印を受けて
2010.05.30
寄留者
2010.06.06
良心に従って
2010.06.13
愛は律法を全うする
2010.06.20
神の子イエス
2010.06.27
今はどんな時か
2010.07.04
主キリストを身にまとう
2010.07.11
あなたは神に出会う
2010.07.18
あなたは何者か
2010.07.25
我らは主のもの
2010.08.01
愛に従って歩む
2010.08.08
神の国は義と平和と喜び
2010.08.15
主こそ神、ほかに神はいない
2010.08.22
神のみ前における確信
2010.08.29
生ける希望
2010.09.05
忍耐と慰め
2010.09.12
逃れて、生き延びる
2010.09.19
望みの源なる神
2010.09.26
神の福音のために
2010.10.03
我らの誇り
2010.10.10
親子
2010.10.17
主が結ぶ契約
2010.10.24
主キリストの祝福を携えて
2010.10.31
過越の小羊
2010.11.07
天の財産を受け継ぐ
2010.11.14
十戒
2010.11.21
自分自身を知る
2010.11.28
平和の源なる神
2010.12.05
主にあって よろしく
2010.12.12
大いなる栄光
2010.12.19
メシアはどこに
2010.12.26
教会から教会へ
2011.01.02
善にさとく、悪には疎く
2011.01.09
栄光が唯一の神に
2011.01.16
あなたの心に留め、語り聞かせる
2011.01.23
初めに言があった
2011.01.30
味わい、見よ、主の恵み深さを
2011.02.06
光の証人
2011.02.13
試みと誘惑
2011.02.20
神によって生まれる
2011.02.27
独り子なる神
2011.03.06
主の道をまっすぐにせよとの声
2011.03.13
神の宝―選ばれた者たち
2011.03.20
この方こそ神の子
2011.03.27
何を求めているのか