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メシアはどこに

説教要旨(12月19日 朝礼拝・クリスマス礼拝)
ミカ書 第4章14節~第5章5節
マタイによる福音書 第2章1~12節
倉橋康夫

 主イエスの誕生そのものについて、このマタイ福音書では、第1章24、25節に短く記すだけです。そして、本日の個所は、それから暫く経ってからの出来事について記しています。これは、所謂「東方の三人の博士たち」のエピソードです。新共同訳聖書では<占星術の学者たち>、とされています。星の運行の研究に基づいて世界の動静についての判断を下す学者、と考えられています。博士、賢者、王、等と言われてきました。
 さて、東の方からはるばるやって来た学者たちは、真っ直ぐ首都エルサレムに入ります。そして、王の宮殿に入り、<2 ・・・「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。わたしたちは東方でその方の星を見たので、拝みに来たのです。」>と告げます。東方で、西の空に昇る星に気づき、この学者たちは、その星に促されて旅立ったのです。
 ヘロデ王は早速、祭司長、律法学者らを集めて調べさせます。占星術の学者たちは、「ユダヤ人の王」はどこに、と尋ねたのに対し、ヘロデ王は「メシア」はどこに生まれることになっているのか、と言います。それは期せずして、主イエス・キリストを言い当てる名称でありました。ヘロデの意に反して、全ての人の救い主、世界の救い主はどこに、と尋ねたことになったのです。
 預言の言葉は、併せて読んだ、ミカ書 第5章1節に発見されます。<1 エフラタのベツレヘムよ/お前はユダの氏族の中でいと小さき者。/お前の中から、わたしのために/イスラエルを治める者が出る。>、と。但し、マタイ福音書は独自の注釈をし、ベツレヘムは、最も小さい者とされていたが、今やメシアの誕生があったのであって、小さいものではない、と変更します。<『ユダの地、ベツレヘムよ、お前はユダの指導者たちの中で、決していちばん小さいものではない。お前から指導者が現れ、わたしの民イスラエルの牧者となるからである。』>、と。占星術の学者たちが探している出来事とは、この預言の成就としての<イスラエルの牧者>の誕生のことであると結論づけています。 
 この<イスラエルの牧者>とは、救い主のことを指しており、正に主キリストを意味するものです。この新しくイスラエルを治める者の出現を知らせるミカの預言が、救い主キリストが来られることを示すものでした。ミカの預言は紀元前7世紀末のものですが、今や、新しいイスラエルとされた者、即ちキリスト者全てが自分たちに語られたものとして聞くのです。救いのご計画を遂行なさる神のみ業は、主イエスの誕生において一つの頂点を迎えます。天が開かれ、天の軍勢が讃美を響かせる事態です(ルカ2 : 13)。ここから、主イエスの地上での歩みが開始さました。そして、この主イエスの歩みは、十字架の死と復活というもう一つの頂点、最大の頂点へと繋がるのです。
 学者たちは、ヘロデの宮殿を後にし、ベツレヘムへと向かいます。きらびやかなヘロデの宮殿を後にすると、<東方で見た星が先立って進み>、遂に、幼子イエスのおられる家へと、学者たちを導きます。学者たちはその家の上に止まった星を見て、<喜びにあふれた>、とあります。学者たちは、ヘロデの宮殿を後にし、<東方で見た星>を再び発見した時から、自分たちの考えの間違いに気づいていました。自分たちの考えや発想ではなく、星の導きに従い、その示す所を素直に受け入れたのです。「メシアはどこに」 この世の感覚からするならば、最も貧しく、みすぼらしく見える場所におられました。そこは、この世の力に頼るのではなく、それから全く自由な存在であることを示すところであり、人間の貧しさにまで降りて来て下さったこと、神が神であることから敢えて人間になって下さったことをも示していました。何ものにも替え得ない救い、神の許における救いの恵みを思って、共々にクリスマスを喜び祝い、神への感謝を捧げたい、と思います。
 

説教一覧(2010年度)

2010.04.04
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2010.04.11
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2010.04.18
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2010.04.25
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2010.05.02
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2010.05.09
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2010.05.16
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2010.05.23
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2010.05.30
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2010.06.06
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2010.06.27
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2010.07.04
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2010.07.18
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2010.08.01
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2010.08.08
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2010.09.05
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2010.09.12
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2010.10.03
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2010.10.17
主が結ぶ契約
2010.10.24
主キリストの祝福を携えて
2010.10.31
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2010.11.07
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2010.11.14
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2010.11.28
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2010.12.05
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2010.12.12
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2010.12.19
メシアはどこに
2010.12.26
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