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善にはさとく、悪には疎く

説教要旨( 1月 2日 朝礼拝 )
詩編 第34編 9~15節
ローマの信徒への手紙 第16章 1~16節
倉橋康夫

 パウロは、この手紙の最終部の挨拶を中断し、その間に切り込むように、突然勧めの言葉を語り始めます。<17 兄弟たち、あなたがたに勧めます。>、と。それは、教会の中にいる<不和やつまずきをもたらす人々>の問題です。教会の平和や秩序を乱し、躓き(信仰を失わせること)を起こす人々のことです。パウロはいつも、教会を混乱させる人々に悩まされていました。問題は、<あなたがたの学んだ教えに反して>いる点にあります。<あなたがたの学んだ教え>とは、キリストの福音(信仰内容・教理)であり、また、その福音によって生きること(信仰生活・実践)です。
 パウロがどんなにかそのような問題に悩まされ、心配していたかは、使徒言行録 第20章28節以下から知られるところです。パウロがエルサレムへと向かう途中、エフェソの教会の長老を呼び寄せて、懇ろな注意を与えたことが記されております。<神の教会>を守ることが大事であると述べた後、この群れが狼どもによって荒される、また、<あなたがた自身からも、邪説を唱えて弟子たちを従わせようとする者>が現れる、と言います。信徒たちを自分の方に引き寄せ、教会を分裂させようとする者が現れる、と言うのです。
 しかし、パウロは、エフェソの教会の厳しい現実を見据えつつ、<神とその恵みの言葉とにあなたがたをゆだねます>と言います。<神とその恵みの言葉>は、教会を教会として建て上げ、神の恵みを受け継がせてくれるに違いない、と。この恵みの言葉は、福音に他なりません。福音を伝えること、即ち、伝道するとは、教会を建てること、神の民の群れを形成することである、とパウロは考えていたのです。
 扨て、パウロは、<不和やつまずきをもたらす人々>は、主キリストに仕えるのではなく、自分の腹に仕えていおり、信徒たちを自分に引き寄せようとして、<うまい言葉やへつらいの言葉>を巧みに使い、純朴な人々の心を欺く、とも言います。それは、教会が教会でなくなるかも知れない深刻な事態です。福音の本質に関わる問題であり、教会を単なる人間の集団、慈善団体、趣味の会、その類のものにしてしまうかも知れないからです。
 しかし、パウロは、<19 あなたがたの従順は皆に知られています。だから、わたしはあなたがたのことを喜んでいます。なおその上に、善にはさとく、悪には疎くあることを望みます。>、と言います。従順であるとは、あくまでも福音に対して従順であることです。そのためには、識別力・判断力が求められます。<うまい言葉もへつらいの言葉>も、神のため、福音のため、という装いをするからです。従って、パウロは、<善にはさとく、悪には疎く>あって欲しい、と言います。善とは、神のみ旨に沿うこと、福音に適うことを意味します。また、悪とは、善の反対です。悪には疎くとは、悪賢くないことです。従って、「善にさとく、悪に疎く」とは、どこまでも、ただ、福音によって生き抜く、そのような信仰者の姿を指しています。
 併せて読んだ詩編 第34編9節からの部分では、主なる神のみ許にある信仰者の幸いを高らかに謳い上げ、そして、この信仰者の幸いは、悪から遠ざかり、善を行う歩みへと導かれること、と言います。そして、平和を尋ね求め、追い求めよ、と促します。パウロは、平和の神の勝利のみ業を語ります。神がサタンを打ち砕かれる。教会に不和や躓きをもたらす者の背後にあるサタンを、打ち砕く、と言います。危うい教会の歩みでありつつも、そのような確かな神の約束の下にある、と言うのです。
 福音に堅く立ち続ける教会として、<うまい言葉やへつらいの言葉>に惑わされるのではなく、「善にさとく、悪には疎く」ある歩みを続けていきたいと思います。
 

説教一覧(2010年度)

2010.04.04
あの方は復活された
2010.04.11
近くにおられる神
2010.04.18
偽りのない愛
2010.04.25
祝福を祈る
2010.05.02
すべての人と平和に
2010.05.09
子や孫たちにも教えなさい
2010.05.16
復讐からの解放
2010.05.23
聖霊の証印を受けて
2010.05.30
寄留者
2010.06.06
良心に従って
2010.06.13
愛は律法を全うする
2010.06.20
神の子イエス
2010.06.27
今はどんな時か
2010.07.04
主キリストを身にまとう
2010.07.11
あなたは神に出会う
2010.07.18
あなたは何者か
2010.07.25
我らは主のもの
2010.08.01
愛に従って歩む
2010.08.08
神の国は義と平和と喜び
2010.08.15
主こそ神、ほかに神はいない
2010.08.22
神のみ前における確信
2010.08.29
生ける希望
2010.09.05
忍耐と慰め
2010.09.12
逃れて、生き延びる
2010.09.19
望みの源なる神
2010.09.26
神の福音のために
2010.10.03
我らの誇り
2010.10.10
親子
2010.10.17
主が結ぶ契約
2010.10.24
主キリストの祝福を携えて
2010.10.31
過越の小羊
2010.11.07
天の財産を受け継ぐ
2010.11.14
十戒
2010.11.21
自分自身を知る
2010.11.28
平和の源なる神
2010.12.05
主にあって よろしく
2010.12.12
大いなる栄光
2010.12.19
メシアはどこに
2010.12.26
教会から教会へ
2011.01.02
善にさとく、悪には疎く
2011.01.09
栄光が唯一の神に
2011.01.16
あなたの心に留め、語り聞かせる
2011.01.23
初めに言があった
2011.01.30
味わい、見よ、主の恵み深さを
2011.02.06
光の証人
2011.02.13
試みと誘惑
2011.02.20
神によって生まれる
2011.02.27
独り子なる神
2011.03.06
主の道をまっすぐにせよとの声
2011.03.13
神の宝―選ばれた者たち
2011.03.20
この方こそ神の子
2011.03.27
何を求めているのか