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試みと誘惑

説教要旨(2月13日朝礼拝)
申命記 第6章16~25節
ルカによる福音書 第4章1~13節
橋本いずみ

 主イエスは、荒れ野で40日間、誘惑を受けられます。「荒れ野」「40」は、イスラエルの民が約束の地を目指して歩んだ荒れ野の40年を思い起こさせます。ここで、悪魔の言葉に対して主イエスが御言葉をもって答える、ということが三回繰り返され、悪魔は退けられます。
 最初の誘惑は、食べ物に関する誘惑です。40日断食をされた主イエスは空腹を覚えておられました。確かに悪魔が言うように、石をパンにして、自分の腹を満たすこともできたことでしょう。しかし主イエスは「『人はパンだけで生きるのではない』と書いてある」と仰せになります。これは、申命記8章3節に書いてある言葉です。
 二つ目は、権力に関することです。神の御子イエス・キリストこそ、世界の権力と繁栄をお受けになられるに相応しい人です。しかし、主イエスは、ここで権力を得ようとはしません。かえって、それに対して、「『あなたの神である主を拝み、ただ主に仕えよ』と書いてある」と申命記6章13節の言葉を用いてお答えになられます。
 三つ目になって悪魔は、聖書の言葉(詩91:11-12)を用いて、神の約束を疑わせようとします。それに対して、主イエスは申命記6章16節に記されている御言葉、「『あなたの神である主を試してはならない』と言われている」と答えます。
 悪魔は三回の問答を通して、悪魔は、主イエスに与えられた神の力を使わそうとさせます。ここでが神の御子の力を使うことは、神の御心―人を救い、命を与えるという目的―から主イエスを引き離すことです。悪魔は、人を神から引き離そうとします。自分の腹を満たすことを要求し、神に仕えることから遠ざけ、神の約束を疑わせます。そういう意味で、主イエスが受けられた三つの誘惑は、あらゆる誘惑であったのです。主イエスが受けられた誘惑は、後に主イエスの弟子たちの群れである教会が受けるべき誘惑です。わたしたちは、悪魔を退けられた主イエスによって、誘惑を遠ざけることを学びます。
 主イエスは、最後に「『あなたの神である主を試してはならない』と言われている。」と言って、悪魔を退けられました。これは、申命記6章16節に記されているものです。そこには「あなたたちがマサにいたときにしたように、あなたたちの神、主を試してはならない」とあります。マサで、飲み水をめぐって、イスラエルの民は、「主なる神が良い土地に導いてくださる」という神の約束を疑ったのです(出17章)。主を試すことは、主の約束を疑うということです。
 わたしたちは自分の生命のことを心配しだしたらきりがありません。今日生きており、明日生きていくことのできる根拠は、わたしたちのうちにないからです。生命は神によって養われるものであり、神はわたしたちが幸いのうちを歩むために命をお与えになられました。わたしたちは、色々な出来事に遭遇して、不安になります。しかし、それは神に信頼するようになるためのチャンスです。
 主イエスは、聖書の言葉によって悪魔を退け、神の約束に信頼する道を進みゆかれました。主イエスは、神の目的―人を生かし、幸いを与えること―のために先立ち行かれます。主イエスは約束を疑うことを退けられ、神の約束を述べ伝えることへと進まれていくのです。
 申命記においてモーセは「あなたたちの神、主を試してはならない」と主の約束に従って歩むことを教えた後に、主の恵みを子どもたちに語り継ぐことを教えます。イスラエルの民の間にあっては、時代を超えて主の恵みが伝えられていくことが求められました。主を試さないということは、主に信頼し主の守りの中でその幸いのうちを歩むことであり、さらに、その幸いを伝えていくことです。
 誘惑を退けられた主イエスが神の約束を宣べ伝えたように、わたしたちも、主の恵みを伝えゆく歩みを進んでまいりましょう。
 

説教一覧(2010年度)

2010.04.04
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2010.04.25
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2010.06.06
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2010.08.01
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2010.08.08
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2010.10.24
主キリストの祝福を携えて
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2010.11.28
平和の源なる神
2010.12.05
主にあって よろしく
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2010.12.26
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