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神によって生まれる

説教要旨(2月20日 朝礼拝 )
詩編 第118章22~25節
ヨハネによる福音書 第 1章9~13節
倉橋康夫

 最初に、<9 その光は、まことの光で、世に来てすべての人を照らすのである。>、とあります。ヨハネ福音書の最初の段落で、その光とは、「言」(ことば)のことであり、人に「命」を与えるもの、と言われていました。光は、私たちを容赦なく照らし、明るみに出されたくない部分も照らし出します。それによって、人の罪の現実が暴かれることになるでしょう。けれども、そこから、命への道を示してくれるのです。
 この光は、1~5節で既に読んだように、天地創造にたずさわった<言>・主イエス・キリストのことです。ところが、<10 言は世にあった。世は言によって成ったが、世は言を認めなかった。>、と言います。この世は、この<言>によってできたのであり、この<言>によってのみ、命が与えられるのです。しかるに、<世は言を認めなかった>、のです。
 これは、悲しむべき事態です。世が、自分を造り、命を与えて下さる方を認めようとはしなかったのです。無知無関心ということではなく、拒絶し、抹殺したのです。拒絶された<言>の悲劇性も見過ごすことができませんが、それ以上に、ここでは拒絶した<世>そのものの悲劇・悲惨が意味されております。
 更に、<11 言は、自分の民のところに来たが、民は受け入れなかった。>、と重ねられます。<世>と言われていたものが、もっと具体的に、<自分の民>・<民>と言われます。この11節は、「最小のイエス伝」と言われます。この1句に、主イエスの全生涯が語り尽くされている、と言うのです。<言>なる主イエス・キリストは、ご自分に属する者のところに来られたのに、即ち、私たち人間は本来主に帰属する者である筈なのに、その主キリストを拒絶した、のです。主イエスのご生涯は、そのようにして、十字架の死に至るものでした。
 このような悲劇的な事態に対する、神の回答が12、13節に示されます。<12 しかし、言は、自分を受け入れた人、その名を信じる人々には神の子となる資格を与えた。13 この人々は、血によってではなく、肉の欲によってではなく、人の欲によってでもなく、神によって生まれたのである。>、と。ここには、神が恵みのみ手をもって、為して下さる奇跡的な出来事が語られています。
 併せて読んだ、詩編 第118編に、<22 家を建てる者の退けた石が/隅の親石となった。23 これは主の御業/わたしたちの目には驚くべきこと。/24 今日こそ主の御業の日。/今日を喜び祝い、喜び踊ろう。/25 どうか主よ、わたしたちに救いを。/どうか主よ、わたしたちに栄を。>、とあります。家を建てる者たちが、棄て去った石が、<隅の親石>・肝心要(かんじんかなめ)の石とされるのです。これは、主イエス・キリストの十字架の出来事を指し示す、み言葉の1つです。主の十字架は、神の恵みによって成し遂げられた、救いのみ業だったのです。
 ところで、ヨハネ福音書では、更なる逆転の事態を指し示しています。それは、<受け入れた人>、<その名を信じる人々>が起こされる、という出来事です。<受け入れた>ことも、<信じる>ことも、それらの人々の手柄なのではなく、<神によって生まれた>(13節)のであり、神の霊によって導かれて生起した出来事です(ロマ8 : 14参照)。
 「キリストが石から神の子たちを起こした時、事態の信じがたい転換が生じたのである。」(カルヴァン)石のような硬く、頑なな者を、主の十字架との出会いを通して打ち砕き、神の子として下さったのです。私たちも同じように、<神によって生まれた>者です。また、「神によって生まれる」ことは、信仰の歩みにおいて進行形です。主の十字架の恵みを繰り返し受け、養われつつ進める歩みだからです。
 

説教一覧(2010年度)

2010.04.04
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2010.04.11
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2010.04.18
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2010.05.09
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聖霊の証印を受けて
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2010.06.06
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2010.08.01
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2010.08.08
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2010.09.05
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主が結ぶ契約
2010.10.24
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2010.11.07
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2010.11.28
平和の源なる神
2010.12.05
主にあって よろしく
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2010.12.19
メシアはどこに
2010.12.26
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2011.01.02
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2011.01.23
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2011.01.30
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光の証人
2011.02.13
試みと誘惑
2011.02.20
神によって生まれる
2011.02.27
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2011.03.13
神の宝―選ばれた者たち
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2011.03.27
何を求めているのか