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新しき神の家

説教要旨(5月1日)
詩編 第69編8~13節
ヨハネによる福音書 第2章13~22節
倉橋康夫

 本日の個所は、ヨハネ福音書が独自の形で、所謂「宮きよめ」の出来事を伝える部分です。主イエスの激しい行為が、描写されています。しかし、この行為は、行為そのものに意味があるのではなく、その行為によって指し示している事柄が、重要であることを、ヨハネ福音書は示しています。その当時の神殿の在り方が、<父の家>(父なる神の家)として、相応しいものでなく、腐敗し切っていたことを指摘すると同時に、牛、羊、鳩などを犠牲の供え物とする礼拝の終焉を、主イエスは告げられたのです。つまり、この主イエスの行為は、象徴的な意味を持つものなのです。単に、牛、羊、鳩を売る者や、両替をする者たちが憎かった、というのではありません。
 弟子たちは、そのような主イエスの激しさを目の当たりにして、<「あなたの家を思う熱意がわたしを食い尽くす」>、と書いてあるのを思い出した(17節)、と言います。これは、併せて読んだ、詩編 第69編10節・<10 あなたの神殿に対する熱情が/わたしを食いつくしているので/あなたを嘲る者の嘲りが/わたしの上にふりかかっています。>、からの引用です。<食いつくしている>とは、完全にその虜になることを意味し、主なる神の「神殿に対する熱情・熱意」が、<わたし>(主イエス)自身が受け継ぎ、その結果「あなたを嘲る者の嘲りが、わたし(主イエス)の上にふりかかる>、ということです。
 ユダヤ人たちは、神殿を否定しようとする主イエスに対して、これだけのことをしでかす権威を持っていることを証明せよ、と迫ります(18節)。それに対する、主イエスの返答は、<「この神殿を壊してみよ。3日で立て直してみせる。」>、というものでした。この主イエスのお言葉は、共観福音書で、裁判の席で主イエスを陥れる証言(マルコ 14 : 58)として、また、十字架上の主イエスへの嘲りの言葉(マタイ 27 : 40)として利用されます。17節で、弟子たちが思い起こした、詩編の言葉が現実のこととなったのです。
 ところで、この主イエスのお言葉は、「宮きよめ」の出来事の意味を明らかにしています。その意味とは、古い神殿の古い在り方を壊すことでした。そして、新しい時の到来を告げることだったのです。つまり、主イエスと共に、<父の家>が、決定的に新しくされるべき、その時が到来した、ということです。その古いものから新しいものへの転換は、主イエスの十字架の死と復活を通して惹き起される事態です。ヨハネ福音書記者は、<21 イエスの言われる神殿とは、御自分の体のことだったのである。>、と解説します。
 主イエスの十字架での死は、古い神殿の終焉を意味します。これまでの犠牲の供え物に代わり、最後に1度限りの犠牲が主イエスご自身の体をもって、捧げられたからです。そして、その主イエスの体は、3日目に復活します。その時から、神礼拝は全く新しいものとなりました。主イエスの十字架の死と復活を基礎・基盤として、礼拝を捧げるものとなりました。それは、主イエス・キリストの十字架の死を告げ知らせる礼拝です。主の十字架が、私たち人間の罪の贖いであることを宣言し、その贖いに与っている喜びを告げる礼拝なのです。
 それは主イエスの体なる教会における礼拝です。19、20、21節の<神殿>は、「至聖所」を意味します。つまり、主なる神の臨在の許に、私たちは礼拝を捧げているのです。弟子たちは、主イエスが復活された時、この主のお言葉を思い起こし、正しく信じるに至りました。このようにして、全く新しくされた神の家・「新しき神の家」とは、どのようなものかが、明らかとなります。主イエスの十字架の死と復活を想起し、記念するところ、そこが、「新しき神の家」であり、その営みが「礼拝」なのです。
 

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