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あの方は栄え、わたしは衰える

説教要旨( 6月5日 朝礼拝 )
イザヤ書 第62章1~5節
ヨハネによる福音書 第 3章22~36節
倉橋康夫

 或る時、ヨハネの弟子たちが、主イエスのグループの様子について、訴えます。<26 彼らはヨハネのもとに来て言った。「ラビ、ヨルダン川の向こう側であなたと一緒にいた人、あなたが証しされたあの人が、洗礼を授けています。みんながあの人の方へ行っています。」>、と。ヨハネの弟子たちは、主イエスのグループに多くの人々が集まっていることが、気が気でなかったのです。
 弟子たちの訴えを聞いて、ヨハネは答えます。<「天から与えられなければ、人は何も受けることができない>、と。これは、ヨハネの、自分に課せられている働きについての基本的な考え方を示しています。 「人は、神が与え給うものを超えて多くのことを為し得るかのように思い上がってはならない。神が自分にお与え下さった賜物を用いて、為すべき業を為すだけだ。」、と。
 そして更に、<わたしは、『自分はメシアではない』と言い、『自分はあの方の前に遣わされた者だ』と言ったが、そのことについては、あなたたち自身が証ししてくれる。>、と言います。ここには、ヨハネの、弟子たちに対する不満が込められているようです。ヨハネの証しを受けとめ、それを更に広く証ししてくれることを期待する弟子たちが、単なる勢力争いの視点しか持っていないからです。そこで、もう一度、自分は何者か、についてしっかり確認するのです。ヨハネは、今日の聖書個所を最後に、姿を消します。最後の思いを込めて、弟子たちに説くのです。ヨハネは、花婿とその介添え人についての譬えを語ります。花婿については、合わせて読んだイザヤ書 第62章に1つのイメージが示されています。そこでは、シオン・エルサレムが再建され、主なる神がそれを花嫁として迎える、と告げらます。シオンの丘のエルサレムが再建されるとは、何よりも神殿の再建を意味します。新しくイスラエルが信仰共同体として再結集される、と言うのです。そして、この預言の最終的な成就は、主イエス・キリストによってもたらされた「新しいイスラエル」を指す、と言うことができます。
 そして、そこに<花婿の介添え人>がおり、それが自分である、とヨハネは言います。介添え人は、花婿が喜ぶ声を聞いて、それを喜ぶ。介添え人はただ、花婿の喜びを喜びとし、花婿の声を聞くことに満足すると言うのです。そして、<30 あの方は栄え、わたしは衰えねばならない。>とヨハネは言います。ここに、ヨハネの思いのすべてが凝縮されています。主イエスの全生涯は、十字架への歩みに他ならず、それに最大の意味・最高の価値があります。そのことのために、自分が立てられ、使命を負っている、と言うのです。ヨハネの言う「あの方が栄える」とは、主イエス・キリストの十字架の意味が広く受け入れられることです。主キリストの救いが、多くの人々にもたらされることです。
 そして、更にヨハネは言葉を続けて、<上から来られる方>・<天から来られる方について語ります。この方は、主イエス・キリストです。そして、主イエスのなさる証しについて、「だれもその証しを受け入れない」と言い、すぐ次に、<その証しを受け入れる者は、神が真実であることを確認したことになる。>、と語ります。つまり、本来誰も受け入れないことが、何かによって、受け入れるようにされる、ということです。そこには、神の選びがあり、私たち人間の側には、打ち砕かれることと、悔い改めがあります。これは、神が惹き起し給う、神の出来事です。そのようにして、神のみ子を受け入れ、信じる者は、永遠の命を得ている、と言うのです。「あの方は栄え、わたしは衰える」ことにこそ、喜びが満ち溢れ、救いがある、と言い得る根拠が、ここにあります。自分の栄えではなく、主の栄えを求めるところに救いがあるのです。
 

説教一覧(2011年度)

2011.04.03
わたしに従いなさい
2011.04.10
隅の親石
2011.04.17
ぶどう酒になった水
2011.04.24
驚くべき主の御業
2011.05.01
新しき神の家
2011.05.08
神を畏れ、王を敬え
2011.05.15
水と霊とによって生まれる
2011.05.22
永遠の命と裁き
2011.05.29
はじまり
2011.06.05
あの方は栄え、わたしは衰える
2011.06.12
一同は聖霊に満たされ
2011.06.19
神をほめたたえる幸い
2011.06.26
永遠の命に至る水
2011.07.03
まことの礼拝
2011.07.10
その傷によって、あなたがたは癒された
2011.07.17
神の備え給う道
2011.07.24
み言葉を信じて
2011.07.31
あなたはわたしの愛する子
2011.08.07
命の恵みを共に受け継ぐ
2011.08.14
主イエスに力を与えられ
2011.08.21
試みを受けられた主
2011.08.28
神と等しい方
2011.09.04
今やその時
2011.09.11
祝福を受け継ぐ
2011.09.18
主イエスについての証し
2011.09.25
神からの誉れ
2011.10.02
命のパンのしるし
2011.10.09
父である神をたたえる
2011.10.16
わたしだ。恐れることはない。
2011.10.23
苦難と希望
2011.10.30
信じる
2011.11.06
天への凱旋
2011.11.13
キリストの勝利
2011.11.20
短い信仰告白
2011.11.27
朽ちない食物
2011.12.04
主イエスのもとへ
2011.12.11
かつてと今
2011.12.18
主イエスによって生きる
2011.12.25
飼い葉桶の乳飲み子
2012.01.01
去るか留まるか
2012.01.08
神の恵みの善い管理者
2012.01.15
時を支配し給う神
2012.01.22
わたしについて来なさい
2012.01.29
主の真実によって
2012.02.05
主キリストは神の御許から
2012.02.12
勝利を約束されている苦難
2012.02.19
主イエスの行かれる所
2012.02.26
生ける信仰
2012.03.04
主イエスへの態度決定