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去るか留まるか

説教要旨(1月1日 朝礼拝)
詩編 第71編1 ~ 3節/
ヨハネによる福音書 第6章60 ~ 71節
倉橋康夫

 本日の個所は、5000人への供食というパンの奇跡を受けて、パンを巡っての主イエスの長い教えの締め括りの部分です。そして、ここで、<弟子たち>が登場します。但し、この弟子たちは、12弟子ではなく、もっと広い範囲の弟子たちです。ところが、その<弟子たちの多くの者>が、<「実にひどい話だ。だれが、こんな話を聞いていられようか。」>、とつぶやきます。このつぶやきの原因は、主イエスが<「わたしは天から降って来たパンである」>と言われたことにありました。主イエスについてのつぶやきは、「つまずき」となります。主イエスを受け入れられないのです。
 ところで、既に、主イエスの許を去ることを心に決めていた者たちがおり、主イエスは、それを見抜いておられました。<64 ・・・ イエスは最初から、信じない者たちがだれであるか、また、御自分を裏切る者がだれであるかを知っておられたのである。>、と記されています。「裏切る」とは、「引き渡す」が原意です。自分を主イエスに明け渡すのではなく、主イエスを何ものかに引き渡すのです。主イエスは言われます。<65 そして、言われた。「こういうわけで、わたしはあなたがたに、『父からお許しがなければ、だれもわたしのもとに来ることはできない』と言ったのだ。」>、と(44節参照)。形の上で、主イエスの許に来ているとしても、本心ではなく、主イエスに自分を明け渡してはいなかった、のです。従って<弟子たちの多くが離れ去り、もはやイエスと共に歩まなくなった。>、のです。
 そこで、主イエスは12弟子の方に向かって、言われます。<67 そこで、イエスは12人に、「あなたがたも離れて行きたいか」と言われた。>、と。これは、まさかあなたがたも去るわけではあるまい、との呼び掛けです。それに対して、ペトロが主イエスについての信仰を告白します(68、69節)。ペトロは、<わたしたち>(12弟子)は留まると言い、あなたこそ<神の聖者>です、「神性」を持っておられ、神のみ子であり、神であられると告白するのです。併せて読んだ旧約聖書は、詩編 第71編で、主なる神への強い信頼が表明されています。主なる神のみ許に身を寄せます、あなたこそ、わたしの大岩、わたしの砦、と告白するのです。主イエスこそ神性を有する方である、とのペトロの告白は、揺るぎない神への信頼に繋がっているのです。
 ところで、これまで、人々は主イエスのしるしを見て、群がり集まって来ました。(6 : 1 ~ 2、22 ~ 24参照) しかし、主が、ご自分は何ものであるかを明らかにされた時、事態は一変し、群集は去って行ったのです。傍らには、12弟子と一握りのその他の人々(恐らく、女性たちとそのほか)が残っただけでした。
 ここで、主イエスは、12弟子の中から脱落者が出る、と予告されます。「わたしたち」の信仰の告白が、「わたしたちの信仰告白」として共有されていないのです。それは建前であり、1人ひとりは勝手なキリスト像を抱いているのです。イスカリオテのユダが、正にその典型である、と言えます。主イエスは、<「あなたがた12人は、わたしが選んだのではないか。ところが、その中の1人は悪魔だ」>、と言われます。
 主イエスの選びにも拘らず、主を拒否する道が尚残されていたのです。私たち人間に与えられている自由の恐ろしさがここにあります。私たち人間の側で、主イエスに見切りをつけ、去って行くのです。
 私たちもまた、自分の人間的な願望や欲望を優先して、主イエスを利用しているのであれば、やがて主の許を去って行く者でしかないでしょう。それ故に、私たちには、主イエス・キリストへの信仰告白を確認することが求められます。この信仰告白においてこそ、「わたしたち」として、主の許に留まり得るからです。
 

説教一覧(2011年度)

2011.04.03
わたしに従いなさい
2011.04.10
隅の親石
2011.04.17
ぶどう酒になった水
2011.04.24
驚くべき主の御業
2011.05.01
新しき神の家
2011.05.08
神を畏れ、王を敬え
2011.05.15
水と霊とによって生まれる
2011.05.22
永遠の命と裁き
2011.05.29
はじまり
2011.06.05
あの方は栄え、わたしは衰える
2011.06.12
一同は聖霊に満たされ
2011.06.19
神をほめたたえる幸い
2011.06.26
永遠の命に至る水
2011.07.03
まことの礼拝
2011.07.10
その傷によって、あなたがたは癒された
2011.07.17
神の備え給う道
2011.07.24
み言葉を信じて
2011.07.31
あなたはわたしの愛する子
2011.08.07
命の恵みを共に受け継ぐ
2011.08.14
主イエスに力を与えられ
2011.08.21
試みを受けられた主
2011.08.28
神と等しい方
2011.09.04
今やその時
2011.09.11
祝福を受け継ぐ
2011.09.18
主イエスについての証し
2011.09.25
神からの誉れ
2011.10.02
命のパンのしるし
2011.10.09
父である神をたたえる
2011.10.16
わたしだ。恐れることはない。
2011.10.23
苦難と希望
2011.10.30
信じる
2011.11.06
天への凱旋
2011.11.13
キリストの勝利
2011.11.20
短い信仰告白
2011.11.27
朽ちない食物
2011.12.04
主イエスのもとへ
2011.12.11
かつてと今
2011.12.18
主イエスによって生きる
2011.12.25
飼い葉桶の乳飲み子
2012.01.01
去るか留まるか
2012.01.08
神の恵みの善い管理者
2012.01.15
時を支配し給う神
2012.01.22
わたしについて来なさい
2012.01.29
主の真実によって
2012.02.05
主キリストは神の御許から
2012.02.12
勝利を約束されている苦難
2012.02.19
主イエスの行かれる所
2012.02.26
生ける信仰
2012.03.04
主イエスへの態度決定