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洗礼を受ける主

説教要旨(8月10日朝礼拝より)
ルカによる福音書 3:15-22
牧師 藤盛勇紀

 『ユダヤ戦記』を記したユダヤ人ヨセフスは反乱軍の司令官となりましたが、ローマ軍に捕らわれてしまいます。絶体絶命と思われましたが、ヨセフスはローマ軍の司令官ウェスパシアヌスに向かって、「あなたはローマ皇帝になる」と予言します。それを聞いた将軍は喜び、本当にそうなるかどうか、ヨセフスを自分の手元に置きます。果たしてウェスパシアヌスは、混乱したローマを立て直しローマ皇帝となりました。
 ヨセフスはローマの将軍に媚びへつらって生き延びたわけではなく、「この人こそ救い主ではないか」と真剣に考えたのです。イスラエル王国を滅ぼしたアッシリアや、ユダ王国を滅ぼしたバビロンについて聖書が示しているように、イスラエルを解放する神の御計画は、人の思いをはるかに超え、時に逆説的な形で実現されるからです。
 救い主到来の先触れとなった洗礼者ヨハネについても、民衆は「もしからしたら彼がメシアではないかと、皆心の中で考えていた」といいます。現代の私たちにも、密かに隠されたかたちであっても、メシア待望があります。あらゆる事が行き詰まって、人間は何なのか、どう生きるべきなのか、世界は何なのか、歴史や人生に目的や意味があるのか、人の命の価値というものがあると言えるのかどうかさえ、まるで分からなくなっているからです。
 「メシアではないか」と期待を寄せられたヨハネの答えは明確でした。「わたしはあなたたちに水で洗礼を授けるが、わたしよりも優れた方が来られる。わたしは、その方の履物のひもを解く値打ちもない」。つまり、私ではない、私の後から来られるお方だ、というのです
 ヨハネが「わたしよりも優れた方が来られる」と言った時、それを聞いた人々は、「そのお方は、いったいどのように来られるのだろうか」と想像を逞しくしながら、その出現を待ったのではないでしょうか。ヨハネ自身、見るからに偉容があり、語る言葉も力強い。そのヨハネが「わたしはその方の履物のひもを解く値打ちもない」と言ったほどのお方です。想像を絶する輝かしい仕方で登場されるに違いない、いったい、どれほどの人物なのだろうか。
 ところが、21節を見ますと、その民衆がヨハネから悔い改めの洗礼を受けている時に、なんとイエス様もその民衆の中に混じって、洗礼をお受けになっておられたというのです。どんな素晴らしい方が、どれほどの力をもって現れるのだろうかと民衆が期待して待っている時、すでに主は、悔い改めと赦しを求める罪人の群れの中に並んで、洗礼をお受けになっていました。
 私たちにとって洗礼を受けるということは、キリストに結ばれて、死んで甦ることです。主がお命じになった洗礼ですから、主がそのようにして下さると信じるのです。
 なぜ、主イエスに結ばれるのでしょうか。それは、主は裁きであられるだけでなく、裁きを御自身でお引き受けになって死なれたからです。私たち対する裁きは無いのではなく、私たちに対する裁きは、主イエスが負って下さったのです。神の御子が十字架に死ななければならないほど、私たちの罪は大きく、その裁きは貫徹されたのです。
 だからこそ、主イエスが私たちの救い主なのです。洗礼によって、私たちはこのお方に結ばれ、十字架の死はこの私の出来事となります。洗礼を受けた者は、キリストに結ばれキリストと共に死にました。そして、キリストが生きておられるので、洗礼を受けた者は、すでに死んだ者として、新しい命に生きる者とされているのです。
 罪人の列の中に沈んで悔い改めの洗礼を受けられた主イエスに、「わたしの愛する子、わたしの心に適う者」という父なる神み声が響きます。私たちは安心して、このお方に結ばれる洗礼を受けてよいのです。
 

説教一覧(2014年度)

2014.6.1
目を留めてくださる神
2014.6.8
地の果てに至るまで
2014.6.15
新しい喜び
2014.6.22
あなたを訪ねる王
2014.6.29
「できれば」と言うのか
2014.7.6
天使のメッセージ
2014.7.13
あなたはどこにいるのか
2014.7.20
今こそ、安らかに
2014.7.27
私のいるべき場所
2014.8.3
主の道を整えよ
2014.8.10
洗礼を受ける主
2014.8.17
主よ、しかし
2014.824
神に至る道
2014.8.31
誘惑と戦う武器
2014.9.7
実現する聖書の言葉
2014.9.14
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2014.9.21
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2014.9.28
町々を巡る主イエス
2014.10.5
み言葉が差し込む
2014.10.12
疲れた者に力を
2014.10.19
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2014.10.26
罪人を招く主
2014.11.2
もう泣かなくてよい
2014.11.9
右の手を取ってくださる主
2014.11.16
新しい喜び
2014.11.23
命に与る安息日
2014.11.30
主イエスの祈り
2014.12.7
幸いなるかな
2014.12.14
マリアの救い
2014.12.21
見よ、救いのしるしを
2014.12.28
地に届く天の光
2015.1.4
その方の星を見よ
2015.1.13
神の子とする霊
2015.1.18
心に逆らう愛
2015.1.25
主イエスを信じなさい
2015.2.1
土台の上に建てる
2015.2.8
痛みを伴う愛
2015.2.15
ただ一言に賭ける
2015.2.22
来たるべき方が来た
2015.3.1
歌え、神の国の歌を
2015.3.8
主イエスの言葉を思い出して
2015.03.15
安心して行きなさい
2015.3.22
主に仕える旅
2015.3.29
神の国の秘密