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主よ、しかし

説教要旨(8月17日朝礼拝より)
マタイによる福音書 15:21-28
伝道師 上田真由美

 悪霊にとりつかれた娘に対して、無力を痛感し苦しんでいる母親がいました。この女性は、主から何度断わられようとも、主に向かって癒しを願い続けました。遂に主は、「あなたの信仰は立派だ」とお褒めになり、この娘の病気を癒されました。このように、最後に願いをお聞き入れになるのならば、なぜ、叫び求めている間、振り向いてもくださらなかったのでしょうか。「わたしは、イスラエルにしか遣わされていない」とか、「子供たちのパンを取って小犬にやってはいけない」とか言って無情な態度をおとりになったのでしょうか。実は、こうした態度の中に主の御心があるのです。
 主は、神によって選ばれたイスラエルが大事だとか、それ以外の国の人にパンを与えるわけにはいかないとか言われながらも、実際はそうではありませんでした。実際は、イスラエルがイスラエルだから救われるのではない。イスラエルの人であっても、外国の人であっても、信仰が最も大事だと考えておられました。信仰を持たなければ人は救われないということを、ここでお示しになったのです。
 意図的にこういう態度でお導きになったのは、もっともっと祈りなさいというふうに、祈りの熱心さをお求めになったのではないでしょう。人が熱心になることによって主の御心が変わるということではないのです。そうではなくて、本当に求めないところには本当には与えられないということ、それが主の御心なのです。
 この女性は、主の足もとに跪いて、「主よ、どうか助けてください」と願い続け、主を拝みました。そして、最後には、自分を小犬にたとえました。「子供たちのパンを取って小犬にやってはいけない」と言われたお言葉をとらえて、自分は「小犬」のような者ですと。この女性は、自分が何者かをわきまえていたことが分かります。自分の本当の姿は貧しいと思っている。聖書の中の言葉で言えば、「主よ、罪人のわたしを憐れんでください」です。み前にふさわしくないわたし。そのわたしを憐れんでください。このように、主に対して自分は小犬だと言い表し得るへりくだりの心があるから、本当に求める祈りをすることができたのでしょう。
 また、この女性は、何度断られようとも譲ろうとはしませんでした。お言葉通り、自分は小犬のような者です。しかし、小犬であっても、その家の子どもが食べこぼすパンをいただくではありませんか。だから、私にもそのおこぼれをください。そう言って引き下がりませんでした。これは、求めを打ち明けるだけではなくて、主と議論しています。「小犬」と言われたお言葉をとらえ、自分をその小犬にたとえて、理屈で見事に切り返し、訴え直している。主は、この祈り倒すほどの信仰を御覧になって、あなたの信仰はあついな、とお喜びになりました。
 主と真剣に向き合い格闘しなければならない時が、私たちの生涯の中にもあります。主がお求めになる信仰とは、何でも主の御心だと物分かりよく退く信仰ではなくて、「主よ、しかし」と言って食いさがる信仰です。食いさがれるのは、このお方へのひとすじの信頼があるからでしょう。
 この女性のように、最後まで主を信じ抜いていけるように、主の方は引っ張るようにして、どんなに強く私たちをも導いておられることか。まことの祈りを引き出し、まことの信仰の中へ連れ込もうとしておられることか。そして、そこで遂に得ることができる命のパンにあずかる時、私たちは本当に安らぐことができるでしょう。
 整っていなくてもいい。いい加減な形だけの祈りではなくて、主に信頼し、ひれ伏して、主と議論する。真心尽くして主を呼び求める。そういう祈りであれば、たとえ求めたものが与えられなくても、言葉では到底言い尽くし得ない祝福が与えられるに違いないのです。それが祈り続ける意味ではないでしょうか。
 

説教一覧(2014年度)

2014.6.1
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2014.6.8
地の果てに至るまで
2014.6.15
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2014.6.22
あなたを訪ねる王
2014.6.29
「できれば」と言うのか
2014.7.6
天使のメッセージ
2014.7.13
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2014.7.20
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2014.7.27
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2014.8.3
主の道を整えよ
2014.8.10
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2014.8.17
主よ、しかし
2014.824
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2014.8.31
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2014.9.7
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2014.9.14
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町々を巡る主イエス
2014.10.5
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2014.10.12
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2014.10.19
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2014.10.26
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2014.11.2
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2014.11.9
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2014.11.30
主イエスの祈り
2014.12.7
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2014.12.14
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2014.12.21
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2014.12.28
地に届く天の光
2015.1.4
その方の星を見よ
2015.1.13
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2015.1.18
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2015.1.25
主イエスを信じなさい
2015.2.1
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2015.2.8
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2015.2.15
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2015.2.22
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2015.3.1
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2015.3.8
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2015.03.15
安心して行きなさい
2015.3.22
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2015.3.29
神の国の秘密