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神に至る道

説教要旨(8月24日朝礼拝より)
ルカによる福音書 3:23-38
牧師 藤盛勇紀

 ルカは、主イエスの系図を書き始める際、まず「イエスが宣教を始められたときはおよそ三十歳であった」と記しました。30歳という年齢は、聖書では意味のある節目とされています。神から与えられた務めを受け止めるのに適当な年齢なのでしょう。
 さらに、こう記されます、「イエスはヨセフの子と思われていた」。イエス様は聖霊によってマリアに身ごもられたのですから、血肉からすれば「ヨセフの子」とは言えません。しかし、一人の人間としては、やはり父ヨセフのもとで育てられ、ヨセフの子として成長されたのです。つまり、人が見るなら「あのイエスはどう見たってヨセフの子だ」ということです。そのように、「ヨセフの子」としての道を辿りながら、イエス様は30歳となられます。
 そしてこの系図は、ヨセフから受け継がれた道筋を、逆に辿るように遡るのです。「ヨセフはエリの子、それからさかのぼると、マタト、レビ、メルキ、…」。
 この系図の中には、ダビデなどの名前も見られますが、ほとんどの人は「無名」です。しかし、歴史は無数の無名な人々の人生によって織りなされています。その生涯が歴史に刻まれる人もいますが、記録としては残っても、たちまち全ての人の記憶から消えるのです。
 この系図に現れる人々も、やはりそうです。しかし、この無名の人々の命と人生、それをすべて拾い上げるように、主イエスはその系図の一番先端、最前線につながってくださいました。そしてイエス様ご自身も、その御生涯の大部分は無名時代で、記録も記憶もされていません。主はそうした無名の幼少期、青年期を歩まれたのです。
 無名の人間のつながり、その歴史を、神の御子が自らその歴史に降り、拾い上げてくださいました。私たちもいずれ、全ての人に忘れ去られます。「人の記憶に残りたい」とか「名前を残したい」と望む人もいますが、私たちは自分の名前をどこかに刻みつけるより、イエス・キリストの御名に、自分が刻みつけられていることを知るべきです。このお方こそ、私たちを生かし、私たちの命の意味を拾い上げ、真の命につなげてくださるからです。
 この系図には際だった特徴があります。それは、最後に「神に至る」とされていることです。キリスト者であれば、神と人間とをつなげてしまうことはしないでしょう。創造主なる神と被造物である人間との間は、永遠の隔たりがあります。しかしルカは、アダムから直接神へとつなげるのです。
 なぜでしょうか。それは、真の神である主イエスが、真の人としてこの人間の系図の中に身を置かれたからです。このお方において、神は私たちをご自分のものとして、掬い取ってくださるからです。
 アダムから今日にいたるまで、どの人間も、神様の前には隠しようのない罪を犯してきました。信仰の父アブラハムも名君ダビデ王も、とんでもないことをしでかし、大失敗をしました。そんな罪人の列に、神の御子は連なってくださったのです。罪に汚れた人間の歴史を、キリストを通して神に連なるものとしてくださるのです。
 私たちも、この地上で辿ってきた道には悔やみきれないこともあるでしょう。消したくなる人生ということもあるかもしれません。しかし私たちは、それを変えることはできませんし、その必要もありません。
 この系図は言わば、人間が辿った「取り返しのつかない道」「どうにも救いようのない道」なのです。だからこそ、神の御子はその中にお生まれになって、ご自身の血をもって贖いとってくださったのです。救いようのない私たちを、すくい上げ、拾い上げてくださいました。
 私たちが本当に見出すべき名、知るべき名、私たちが結ばれるべき名は、このお方、イエス・キリストです。
 

説教一覧(2014年度)

2014.6.1
目を留めてくださる神
2014.6.8
地の果てに至るまで
2014.6.15
新しい喜び
2014.6.22
あなたを訪ねる王
2014.6.29
「できれば」と言うのか
2014.7.6
天使のメッセージ
2014.7.13
あなたはどこにいるのか
2014.7.20
今こそ、安らかに
2014.7.27
私のいるべき場所
2014.8.3
主の道を整えよ
2014.8.10
洗礼を受ける主
2014.8.17
主よ、しかし
2014.824
神に至る道
2014.8.31
誘惑と戦う武器
2014.9.7
実現する聖書の言葉
2014.9.14
実を結ぶ神の言葉
2014.9.21
力あるみ言葉
2014.9.28
町々を巡る主イエス
2014.10.5
み言葉が差し込む
2014.10.12
疲れた者に力を
2014.10.19
大胆に主に近づこう
2014.10.26
罪人を招く主
2014.11.2
もう泣かなくてよい
2014.11.9
右の手を取ってくださる主
2014.11.16
新しい喜び
2014.11.23
命に与る安息日
2014.11.30
主イエスの祈り
2014.12.7
幸いなるかな
2014.12.14
マリアの救い
2014.12.21
見よ、救いのしるしを
2014.12.28
地に届く天の光
2015.1.4
その方の星を見よ
2015.1.13
神の子とする霊
2015.1.18
心に逆らう愛
2015.1.25
主イエスを信じなさい
2015.2.1
土台の上に建てる
2015.2.8
痛みを伴う愛
2015.2.15
ただ一言に賭ける
2015.2.22
来たるべき方が来た
2015.3.1
歌え、神の国の歌を
2015.3.8
主イエスの言葉を思い出して
2015.03.15
安心して行きなさい
2015.3.22
主に仕える旅
2015.3.29
神の国の秘密