ホーム | 説教 | 説教(2014年度) | 主に仕える旅

主に仕える旅

説教要旨(3月22日朝礼拝より)
ルカによる福音書 8:1-3
牧師 藤盛勇紀

 「イエスは神の国を宣べ伝え、その福音を告げ知らせながら、町や村を巡って旅を続けられた。十二人も一緒だった。…そのほか多くの婦人たちも一緒であった」。何でもない日常の様子が、チラッと垣間見られるように記されています。3人だけ名前が記されていますが、彼女たちは、主イエスが復活し昇天なさった後何十年かして、福音書が記された時代に、年老いてなお教会の人たちに、イエス様に従って行った当時のことを語り続けてたのでしょう。
 彼女たちは何か特別な働きをしたわけではありません。「彼女たちは、自分の持ち物を出し合って、一行に奉仕していた」。この後は何も記されません。毎日毎日、同じ日常が続き、彼女たちは日々、主イエスの一行に奉仕していたのです。食べること、着るもの、住むところ。毎日必要なことに気を配り手配をしていたのでしょう。毎日必要な仕事を、来る日も来る日も担っていた。だから、特筆もされず、記録にも残りません。
 しかし、記録に残らない働きによって、伝道の業は進むのです。教会の日々の歩み、教会の歴史というのは、こうした人々によって支えられ、形作られています。教会の歴史は、特に記録されない毎日必要な働き、名前も記されない人々の働きこそがその内容なのです。
 その中で最も大事なことは、2千年間休むことなく主の日毎に守られる礼拝です。礼拝の出席者は無名の人々の群ですが、その無名の人々が、主の日毎に、生ける主の民として現れ出ます。今日もここに、生ける主を礼拝している者たちがいる。誰と誰と誰がいる。これこそが、生きた証しなのです。出席者名を記すのも、統計とか記録とか事務的な理由もありますが、まずは、生きた証しとしてでしょう。「主を礼拝する者として、誰それはここにいます。神の家族として、ここにいます」という証しですし、一種の信仰の告白でもあります。
 神様は、証し人である私たちを用い、私たちを通して働いてくださいますから、礼拝の場に身を置くということは、神の業に仕えることでもあります。だから、多少のことで礼拝を欠席しないということは重要なのです。神様が、私たち欠けた器を、赦しと憐れみと忍耐をもって、主の民として集めてくださっているのですから、私たちも、主の赦しの恵みを信じて、こつこつと信仰生活を営み、愛の業に励みます。そして、自分の賜物が生かされると思えば、喜んで献げ、主の労苦を共に負います。もし、礼拝する者たちが集まらなかったら、この地上に神の民は現れ出ません、神の家族はかけ声だけになってしまいます。
 そうした当たり前の日常が、その教会を主の教会らしく形作り、私たちは主の体なる教会の一肢としてその中に織り込まれます。織り込まれて無名なのです。そうした、名前も記録も残らない働きによって教会の歴史は作られるのです。
 主イエスと弟子たちの一行が伝道の最前線でした。しかし、主の約束通り全ての信徒に聖霊が与えられてから、教会が生まれてからは、全ての信徒が伝道の最前線で用いられる者となりました。聖霊のお働きによって、一人一人の信徒の生きている場所が、伝道の最前線となっているのです。
 私たち一人一人が、名もない者として、しかし主に覚えられ、主に仕えて生きることを喜びとしています。その事実が今日も起こっている。これが何より大事です。ここに、主が生きておられるからです。それが教会の歩みであり、教会の歴史なのです。
 こうして、私たちの間に神の国が現れ出ます。不完全な形ですが、神の赦しと恵みに包まれている神の国の喜びが、この私たち小さな群を通して指し示され、証しされて行きます。伝道というのは、その喜びに私たち自身が生かされることなのです。
 
 

説教一覧(2014年度)

2014.6.1
目を留めてくださる神
2014.6.8
地の果てに至るまで
2014.6.15
新しい喜び
2014.6.22
あなたを訪ねる王
2014.6.29
「できれば」と言うのか
2014.7.6
天使のメッセージ
2014.7.13
あなたはどこにいるのか
2014.7.20
今こそ、安らかに
2014.7.27
私のいるべき場所
2014.8.3
主の道を整えよ
2014.8.10
洗礼を受ける主
2014.8.17
主よ、しかし
2014.824
神に至る道
2014.8.31
誘惑と戦う武器
2014.9.7
実現する聖書の言葉
2014.9.14
実を結ぶ神の言葉
2014.9.21
力あるみ言葉
2014.9.28
町々を巡る主イエス
2014.10.5
み言葉が差し込む
2014.10.12
疲れた者に力を
2014.10.19
大胆に主に近づこう
2014.10.26
罪人を招く主
2014.11.2
もう泣かなくてよい
2014.11.9
右の手を取ってくださる主
2014.11.16
新しい喜び
2014.11.23
命に与る安息日
2014.11.30
主イエスの祈り
2014.12.7
幸いなるかな
2014.12.14
マリアの救い
2014.12.21
見よ、救いのしるしを
2014.12.28
地に届く天の光
2015.1.4
その方の星を見よ
2015.1.13
神の子とする霊
2015.1.18
心に逆らう愛
2015.1.25
主イエスを信じなさい
2015.2.1
土台の上に建てる
2015.2.8
痛みを伴う愛
2015.2.15
ただ一言に賭ける
2015.2.22
来たるべき方が来た
2015.3.1
歌え、神の国の歌を
2015.3.8
主イエスの言葉を思い出して
2015.03.15
安心して行きなさい
2015.3.22
主に仕える旅
2015.3.29
神の国の秘密