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人の力尽き、信仰が折れても

説教要旨(5月3日朝礼拝より)
ルカによる福音書 8:40-56
牧師 藤盛勇紀

 ヤイロの一人娘が死にかかっていました。なすすべもないヤイロは、イエス様のもとに来てひれ伏します。切羽詰まった緊張感と迫る群衆。その中で主イエスは、やはり切羽詰まった一人の人の存在に気づかれました。そして、足を止めてしまわれます。「わたしに触れたのはだれか」。
 こんな状況になったら、どうでしょう。「そんな時にこそ、信仰の力が発揮される時ではないか」と考えるでしょうか。たしかに、イエス様は言われました、「あなたの信仰があなたを救った」と。しかしこれは、彼女の持っていた信仰的な力が発揮されたということなのでしょうか。
 そうこうしているうちに、ヤイロの家からの使者がやって来きます。「お嬢さんは亡くなりました。この上、先生を煩わすことはありません」。ヤイロはただ立ちつくしたでしょう。もう終わった。しかしそこに、ただイエス様のお言葉だけが響きます。「恐れることはない。ただ信じなさい」。イエス様は、「泣くな。死んだのではない。眠っているのだ」とも言われましたが、人々の耳には空しく響きます。
 もうどうにもならない絶望的な状況です。しかし、ここには主がおられました。たとえ人の力が尽き、信仰が折れてしまったとしても、このお方のみ言葉があったのです。「恐れるな。ただ信じなさい」「泣くな」と。だったら、信じる。「み言葉を守る」とはそういうことでしょう。主のみ言葉を、自分の思いや感情に沿わないからと言って捨てないことです。
 主のみ言葉がなかったら、私たちの人生に、この世界に、どんな希望があるというのでしょうか。今は健康で調子良かったとしてもいずれ死んでしまう人生です。ですが、主は「空の鳥を見よ、野の花を見よ」と言い、「あなたがたは、どれほど価値があることか。…だから、思い悩むな。信仰の薄い者たちよ」と言われました。そして、むしろ「自分の命を救おうとするものはそれを失う」と言われました。
 私たちは信仰の薄い者だから、「信じなさい」と言われるのでしょう。不信仰な私たちのために、イエス様が信仰を守ってくださっているのではないでしょうか。
 あの女も「自分の信仰」など考えもしなかったでしょう。もう「自分の何か」は尽きたのです。ただ、主にすがった。それを、イエス様が「あなたの信仰」と言ってくださった。この主のみ言葉が、無から有を生み出すように、主と彼女との間に信仰の関係を生んでくださったのです。主のみ言葉は、無いところにあらしめる創造の力です。だから「安心して行きなさい」。
 自分の内に何か確かなものでもあるかのように、探すことなど止めたらよいのです。自分の命を救おうとする自分を捨てること。必要なことは、「あなたの信仰」と言ってくださるお方のみ言葉を聞くことです。「信仰は聞くことによる」のです。
 信仰は、「いざという時に役立つ能力」のようなものでもありません。むしろ、私たちは不信仰な者です。だからこそ、私たちはただ主のみ言葉に身を委ねます。あの女性のように、そこにおられる主に触れたい。ヤイロのように、主の足元にひれ伏したいのです。そして、ただ主から与えられるものによって生き、主のものとして生きたい。それが信仰でしょう。人間の持っている何かとか人間の側のことではなくて、私たちを愛し、私たちをお造りくださったお方から生きたいのです。
 私たちは力尽き、信仰が折れることもあるでしょう。しかし、私たちがそうだったとしても、主は私たちを離さず、主のみ言葉は尽きないのです。み言葉を語ってくださる主がおられ、その御声を聞いているなら、それほど確かなことはありませんし、確かな慰めはありません。それが私たちを生かし、私たちは安心して行くのです。
 

説教一覧(2015年度)

2015.4.5
おめでとう、主は生きておられる
2015.4.12
主がお求めになるもの
2015.4.19
主イエスとの旅
2015.4.26
自由を取り戻す
2015.5.3
人の力尽き、信仰が折れても
2015.5.10
父の約束を待ちなさい
2015.5.17
遣わされて生きる
2015.5.24
命を支える霊
2015.5.31
人に仕える主
2015.6.7
救いへの道
2015.6.14
キリストを知る道
2015.6.21
神様の愛
2015.6.28
この曲がった時代に
2015.7.5
主イエスを受け入れる者
2015.7.12
幸せの中心
2015.7.19
人生の優先順位
2015.7.26
収穫は多い
2015.8.9
和らぎある教会生活
2015.8.16
もう自問自答はいらない
2015.8.23
必要なものはただ一つ
2015.8.30
上から来た祈り
2015.9.6
神の国は来ている
2015.9.13
あなたのともし火
2015.9.20
主が備えてくださる
2015.9.27
器の中身
2015.10.4
キリストの仲間として
2015.10.11
ここにも天のはしごは届いている
2015.10.13
平和のレベル
2015.10.25
あなたの豊かさ
2015.11.1
神の国を受け継ぐ者
2015.11.8
愛は神から
2015.11.15
大切なあなた
2015.11.22
何に備えて生きるか
2015.11.29
火を投ずる主
2015.12.6
今の時を見分ける
2015.12.13
あがめよ、わが魂
2015.12.20
はるばる来られた神
2015.12.27
忍耐して待つ神
2016.1.3
神の国は来ている
2016.1.10
狭い戸口から入れ
2016.1.17
救いの業は前進する
2016.1.24
神から招かれて
2016.1.31
創造の信仰
2016.2.7
宴会への招き
2016.2.14
旅立ち
2016.2.21
主の弟子として
2016.2.28
神の大きな喜び
2016.3.6
走り寄る父
2016.3.13
主イエスの沈黙
2016.3.20
光の子らの賢さ
2016.3.27
急いで行って告げなさい