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上を見て生きる

説教要旨(9月8日 朝礼拝より)
ヤコブの手紙 3:13-18
伝道師 新佐依子

 知恵とは何かといえば、「今ある現実にどう対処するかを、筋道を立てて判断する力」と言っていいと思います。知恵というものは、何もしなくても私たちの中に自然と湧き上がってくるものではありません。これまでの経験や知識、今ある環境、そういったものによって私たちの中に知恵が築かれていくのです。
 私たちキリスト者は、イエス様に結ばれて、イエス様の命を生きさせていただいているものですから、神様との関係の中で生きているものです。しかし同時に、私たちは肉の体を以て、この世の只中で生きているものでもあります。ですから私たちの中には、神様との関係によって築かれる知恵と、この世との関係によって築かれる知恵の、両方があるのです。
 今日お読みしましたヤコブ書の箇所では、「上からの知恵」と「この世の知恵」という二つの知恵について語られていました。私たちはいつも、何をするにしても、「神様との関係によって築かれる知恵」を用いて行うのか、それとも「この世との関係によって築かれる知恵」を用いて行うのか、それが問われています。
 この二つの知恵は、言ってみれば「上からの知恵か、横からの知恵か」ということになるかと思います。私たちは、上を見ると空しか見えませんけれども、横を見ると人がいっぱい見えます。見えると、どうしても人が気になります。「他の人はどうしているだろう」・・・結局、「私はこうだ」ということよりも、「他の人はどうだ」ということばかりに目が行ってしまうのです。
 しかし、私たちキリスト者の最終目標は神様の新しいご支配の完成、つまり御国の完成です。私たちは今、この世のいろいろなところでいろいろな生き方をしていますけれども、最終的にはみんな、そこを目指しているのです。そのために私たちは、イエス様からそれぞれの使命を与えられて、その場でイエス様の証人として生きよ、と言われているわけです。「上からの知恵で生きる」ということは、あらゆることを「御国の完成」という最終目標に照準を合わせて判断することです。たとえこの世の目で見れば愚かなことであっても、人に嘲笑われることであっても、御国の完成に向かっての前進であれば、それでいいのです。
 以前ある牧師が「天命を信じて人事を尽くす」という言葉を教えてくださいました。諺としてあるのは「人事を尽くして天命を待つ」ですけれども、そうではありません。「天命」を信じて、自分の為すべきことを誠実に行う。これこそがまさに、「上からの知恵」で生きる生き方です。
 私は、この場合の「天命」には二つの意味があると思います。まずひとつは、私たちの命は「天の命」だということです。「イエス様の霊によって生かしていただいている、神の命」です。もうひとつは、私たちには、どんなときにも「天から与えられた使命」があるということです。ですから、ここに天からの使命があることを信じて、天の命を誠実に生きる、それが「上からの知恵」で生きるということなのです。
 ヤコブ書は「義の実は、平和を実現する人たちによって、平和のうちに蒔かれるのです」(18)と言っています。「義の実」というのは、御国の完成に向けてのひとつひとつの成果です。それを実際に実らせてくださるのはイエス様です。イエス様は、上からの知恵によって生きる私たちを通して、義の実を実らせていって下さるのです。
 確かに、横を見ればいろいろな人がいます。でも上を見れば、すべての人は、神様が最終目標のために用いておられる尊い人たちであることが見えてきます。聖書には「凡てのこと相働きて益となる」(ローマ8:28)という有名な御言葉があります。神様は無駄なことは一切なさいません。それを知ることが、「上からの知恵」です。私たちは神様の御業を、「この世の知恵」で邪魔をしてはなりません。横ではなく上を見て、人事を尽くすのです。
 

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