新しい時代のはじまり
説教要旨(7月12日 朝礼拝より)
サムエル記上 3:1-4:1a
伝道師 杉山悠世
イスラエルの民は時代の転換期にありました。一方、祭儀を行う者たちによって礼拝がないがしろにされていました。イスラエルは王を持たず、神の御声によって導かれて来た民族です。だからこそ、人々は不安と苦しみの中で、いつにも増して神の言葉を求めていたのです。けれども、全くなくなったわけではないのです。むしろ、御言葉が少なくなった事で、神の言葉はより貴重なものとなったのです。御言葉を渇望する思いが高まったのです。人の言葉は気分をよくしてくれる事もありますが、常に真実を語ってくれるわけではありません。神の言葉には偽りがありません。祭司の腐敗、王国建国への過渡期にあって、イスラエルはみ言葉に確信と平安を求めたのです。
そんな時に神の言葉がサムエルに臨んだのです。けれども彼は、エリが呼んでいるのだと思って三度もエリのもとへと向かいます。幼いころから祭司の務めのために学んできたサムエルですが、自分に呼びかける神の声が分からなかったのです。三度目にエリはサムエルに呼びかけたのが神である事に気づきます。エリはサムエルに、再び呼びかけられたら「主よ、お話しください。僕は聞いております」と答えるように告げます。主なる神がお語りになる言葉を聞くようにというのです。「聞く準備ができている」という応答です。み言葉を聞くために私達は準備をするのです。聖書を読む時も同じです。考えている事をひとまず置いて、御言葉と向き合うのです。キルケゴールは「聖書は神からのラブレターだ」と言っています。私達の思いをひとまず脇において、大切な人からのラブレターを読むようにみ言葉に向き合うのです。
「神と人間の関係は応答関係である」とよく言われます。召命を英語でcallingです。神からの呼びかけという意味です。対して応答はresponseです。他にも応答を表す言葉がありますが、応答を期待される度合いが強い言葉です。神は人間が応答する事に強い期待感を持っているのです。応答責任というと、強制されているようでますが、そうではありません。無理やり服従させようというのではなく、私達にできる事として応答を求めておられるのです。クリスチャンの応答は祈りという形で表されます。サムエルはイスラエルを新しい時代に導く者として、神との応答関係の中で務めを与えられました。人びとは、主なる神に信頼するサムエルを信頼したのです。
祈り私達からの行動に思えるかもしれませんが、実際は私達に祈りの思いを呼び起こすは神の霊、聖霊の働きです。祈りは神の言葉への応答として呼び起こされるものだからです。
主イエスはどのような状況にあっても、祈られました。祈りの中にどのような思いを注ぎだしておられたかはわかりません。けれども、すべてが神の御心によって行われるように祈っておられたはずです。
サムエルはイスラエルにとって今までにない祭司であり、預言者として立てられました。神の言葉に従ってイスラエルを治める事実上の公的な指導者です。この預言者の誕生はイスラエル王国の誕生に先立ち、神の民がみ言葉によって一つとされた事を象徴しています。その姿はまさに、キリストの先駆けです。私達も新しい時代の到来を体験しています。主イエスはその口を通して神の言葉を語るだけではなく、ご自身が神の言葉そのものです。主イエスのご生涯全体が神の救いの御業を私達に告げています。私達はもはや人間の祭司や預言者あるいは王を必要としません。御子が神の言葉そのものであり、祭司、預言者そして私達の王だからです。神の言葉、神の御計画はイエス・キリストにおいて成就しています。ですから、私達の祈りはキリストによって聞かれ、成就するのです。主イエスにもたらされた新しい時を生きる者として、私達も主の御声をよく聞き分け、与えられている恵みを余す事なく受け取る事ができますように。
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