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私たちの誇り

説教要旨(1月3日 朝礼拝より)
コリントの信徒への手紙二 1:12-14
牧師 藤盛勇紀

 不安な時代にこそ「何がなくとも、私にはこれがある」と言える誇りが持てたらと思います。しかし実は誰でも誇りやプライドを持っています。だから傷つけられて悔しい思いをしたり怒ったり、卑屈になったりします。誇りが力になるのは、傷つかない限りにおいてです。傷つけられると、逆にそのプライドが恥となり力を失わせます。そんな誇りやプライドは、厄介なものです。
 ここでパウロが語っている「誇り」は、人の言葉で傷ついたり、人のせいで失われたりするような誇りではありません。5:12に「外面を誇っている人々」という言葉があります。外面の誇りは、傷つけられ失われる空しいものです。ここで語られる誇りはそんなものではありません。
 12節の原文は「なぜなら、これが私たちの誇りだから」との言葉で始まっています。直前で語ったことの根拠がここで言われているのです。それは「誇り」なのだと。直前でパウロは、ある苦難の経験で「生きる望みさえ失った」「死の宣告を受けた」と告白しました。ところが、「神が」救ってくださったと言います。この恵みを知ってほしいと。そうしたら「多くの人々が感謝をささげるようになる」とさえ言ったのです。
 そして今日の言葉に続きます。「なぜなら、私たちの誇りはこれだからだ」と。パウロは、彼が抱いている誇りから語っています。これこそ、どんなことがあっても奪われず、傷つけられないものであって、だからこそまた失いたくない誇りでもあります。
 パウロは、「人間の知恵によってではなく」神から受けた純真と誠実によって」と言います。ここで言う「誇り」は、「神から受けた」ものを根拠にしています。だから、人の何かによって、揺るがせられません。「神から受けた」ものは何でしょうか? それは、自分がキリストによって救われている事実以外の何ものでもありません。どんな苦難や絶望の中でも、キリストによって慰めが満ちていることをパウロは語りました。この事実は何によっても失われない。それを信じて受け入れるのは、私たちの内に注がれた聖霊によります。聖霊は私たちの魂に証ししてくださいます。それが私の誇りとなります。するともはや自分が人から認められるとか、評価されることなど全く関係ありません。この誇りは、奪われず、傷つかず、失われません。聖霊によって神ご自身から直接与えられているからです。
 この誇りは、この私が、神を神とも思わなかったこの罪人が、神の御子の犠牲によって救われている、つまり、キリストに結ばれて神のもの、神の子とされている事実であり、《そのような私であること》です。これは、誰が何と言おうと、何が起ころうと、私にとっては、たとえようのない、何ものにも代えられない私の真実であって、《決して失われることのない誇り》です。
 これは、単に自分の心の内の確かさに留まらず、この誇りが私たちをどう生かすかが語られます。パウロは「人間の知恵によってではなく、…神の恵みの下に行動してきました。このことは、良心も証しするところです」と言います。私たちの歩む道は、「人間の知恵によってではなく、神の恵みの下に」あります。始めから終わりまで神の恵みと祝福のアーチが覆い掛けられ、上から支えてくれるのです。
 それは「良心も証し」しています。良心は私たちの魂の内で神と触れ合います。神を信じない人も良心の咎めを感じます。良心は私の心でありながら、私の心を突き刺すのです。この私に霊なる神が触れてくださっているからです。神は来てくださっているだけでなく、私たちの霊と交わってくださって、私たちを用いてくださいます。
 この誇りは、いついかなる時にも失われませんし、むしろ苦難や悲しみや弱さの中で、プライドもズタズタにされたとしても、真に私たちを生かし、力づけるのです。
 

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