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見よ、この時を

説教要旨(12月12日 朝礼拝より)
イザヤ書 3:1-4:1
牧師 加藤英徳

 信仰者とそうでない方との間にある大きな違い。それは起こった出来事をどう捉えるかです。  
 今日の箇所で語られるイザヤの言葉もそうです。ところでこの時、南ユダは内外共に混乱状態にあり指導者たちは状況を改善しようしましたが、その判断はことごとく裏目に出ました。その結果、以前の同胞と争い、他の国には支援の約束を反故にされる経験をしたのです。
 その先には、あのバビロンに捕囚がありますから、指導者もそこに住む人々も浮足立っていました。そこに向かって預言者イザヤは「見よ」と語りかけたのです。ある日本語訳には「まことに」という言葉もついていましが、そうするとここでイザヤは、これから告げる事に単に注目せよと言っているのではありません。「何かを付け足したり引いたりすることなく告げられる言葉と向き合え」と迫るのです。
 ところで、そういってイザヤが語る言葉は、喜びに満たされるような類のものではありません。耳の痛くなる言葉です。イザヤは、彼らが飢餓状態になると語ります。指導的立場を担うあらゆる人物も取り去られるとも告げます。
 その結果、国を治める能力のない存在が指導者になり混乱はより深まるというのです。そして、若者は年長者に無礼を働くようになり社会秩序も乱れるというのです。そのように混沌状態を告げるイザヤの言葉は、それを聞く私たちに驚くべきことを告げます。
 なんとその状態を作り出したのが他の誰でもない「主なる万軍の神様」で、彼らが「舌と行いをもって主に敵対し、そのまなざしに逆らった」からだというのです。
 何が原因だったのでしょう?
 振返ってこの時、彼らは国難を乗り切るため他国との関係改善に努めました。相手国に気に入られるため貢物を送り、最終的に彼らの言うままに彼らの信仰と支配を受け入れてしまいます。混乱の中で舵取りをする指導者の判断としてそれは仕方がないことでありに異を唱える人はいません。ですが、そうやって仕方がないと彼らが判断した事によって、神様でないものに自らを託す選択をしたのです。
 あのエジプトから導き出しその旅路を守りあの約束の地へと導いてくださった、そしてその後の歩みにおいても常に共にいてくださった神様から離れる行為、「罪」の姿です。それも彼らは生活を守るためと正当化し、進んで神様から目を背け、その姿を隠そうともしなかったのです。
 イザヤはそんな状態を自らの罪を証言している酷い顔と言い、あのソドムが硫黄の火で裁きを受け滅んだように「悪の報いを受け」ると告げます。そして神様からの報いの様子をイザヤはシオンの娘の身に起こった様子になぞらえて示します。きれいに着飾っていた装飾品は奪われ病のため頭はかさぶたで覆われる。すべてをうしなった彼女は粗布を身にまとい埃まみれの地に座るしかないのです。そして数少ない男性を女性が取り合い、権利の全てを放棄してでも夫を得ようとする、つまり自尊心も踏みにじられるというのです。
 与えられた箇所は、そうやって罪の報いの過酷さだけを伝えているように思えてきますが、そうではありません。
 改めて振り返る時、滅ぼされて当然の彼らを神様は滅ぼすことをされませんでした。
 彼らにとって確かに苦しい状態ではあったかもしれませんが、それでも御自分の元に戻るように繰り返しお告げになり働きかけてくださっていたのです。そこには絶望の出来事の中でも私たちを御自分の方へ連れ戻されようする神様の御姿があります。
 そうやって私たちの思いを超えた神様の恵みの業が示されているのです。この事実にただ感謝し、喜び受け入れましょう。

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