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新しい教会堂について(2)

 

建築技術的・構造的・施工上の特徴
新会堂建築委員会
広報・HP委員会

 
 新しい富士見町教会はJR飯田橋駅西口地区の都市再開発で新たに造られた約2.5haからなる施工区域の早稲田通り側に位置しています。教会の前には桜の木が植えられた広場、教会の後ろには高層ビルが、その奥には高層のマンションが建設され、教会とビジネス、住居が一体となった地域です。

 広場に面した教会堂のエントランス空間は大きなガラスに囲まれた開放的な空間で、道行く人達から教会堂内部が見えるだけでなく、教会はいつも誰にでも開かれている事を象徴的に表しています。
 特徴ある礼拝堂の屋根頂部の高さは地上から約26mで現教会堂とほぼ同じ高さ、頂点には十字架があります。同じ形状の屋根が小礼拝堂の上にも作られています。
 新しい教会堂は剛性の高い鉄筋コンクリートと粘りのある鉄骨で構成され、耐震性と耐久性を確保しています。礼拝堂を覆う屋根はコンクリートのひび割れ防止のためスラブ筋、壁筋を通常より密に配筋し、ステンレスの結束線を使用しています。又、屋根の素材には耐久性の高いフッ素樹脂塗装ガルバリウム鋼板を採用しています。礼拝堂の外壁には重厚感と耐久性を兼ね備えたせっ器質タイルを巡らせ、建物の質感を重んじ,半永久的にこの教会堂のキリストの枝としての存在を主張し続けるものとの願いを込め岐阜県で焼かれたタイルを選びました。このタイルは貼り方を変えて礼拝堂以外の部分にも採用されており、教会堂全体の外壁を作り上げています。
 教会堂の基礎は25m以上の深さにある東京礫層を支持層とし、基礎工法には液状化の危険が低いとされているプレボーリング拡大根固め工法を採用しています。2012年8月16日に着工されましたが、地中より旧警察病院以前と想定される予期せぬコンクリート構築物が発見され、その撤去工事に1カ月を要しました。左の写真は教会堂を支えるため地中深く打ち込まれた基礎杭です。

 教会堂の内部は一階にエントランスホール、小礼拝堂、教会学校室、会議室が、二階には礼拝堂と牧師室が配置されています。

 新しい教会堂の中心である大礼拝堂は最も広い床面積と広大な空間が割り当てられ、後方には親子礼拝室があります。説教壇、聖餐卓、洗礼盤のある講壇の後ろは美しいインド砂岩の壁で上部からの自然の光が入り、天井は祈る手が幾重にも重なった様な形状で広い明かり取りの窓から自然の光が会堂内を照らします。礼拝堂の床は厚み15mmのナラ無垢材を採用しました。現在使用しているドイツ・ボッシュ社製のパイプオルガンを分解し新礼拝堂の3階に移設しました。礼拝堂はどの位置に座る会衆にも説教の明瞭性が保持される事と、オルガンの音や会衆の讃美歌が豊に響く事が求められます。最適な残響時間の目標値は建設会社の技術研究所にて音響シミュレーションをおこない決定しました。礼拝堂両側の壁面木格子は、その吸音率と反射音の音質に配慮しながら最終的なリブ形状を決定しました。施工現場では実験等を通じて吸音板の部位や低音域を吸収する吸音構造を工夫し残響時間の全体的な最適化が行われました。さらに、礼拝堂内のどの位置に座っても説教が明瞭に聴けるように複数のスピーカー・システムが配置されています。

 大礼拝堂には320名が座れる木製の椅子がおかれています。補助椅子を配置する事により最大430名で礼拝を守る事が出来ます。大規模な集会では、礼拝堂の画像と音声を一階の教会学校室や小礼拝堂などに配信する事も可能で、合計700名以上の方が同時に集会に参加する事が出来ます。

 一階の教会学校室は普段は7部屋に区切って使用されますが、大きな集会の際にはパーティションを移動し一つの部屋として258名が座る事が出来ます。会議室も2部屋に分かれますが、長老会などでは一つの会議室となります。各階ともバリヤフリー化が施されています。
 新しい教会堂には省エネと維持管理費の削減が計画され、照明は主としてLED照明を採用、リモコン制御でグループ別の点滅管理が出来ます。冷暖房は室外機を複数台に分ける事によりきめ細かい冷暖房の管理が可能となり、ランニングコストとメンテナンス性が向上しました。建物の維持管理に関しても現教会堂より平均3割程度削減される計画です。