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今週の説教

イエスの名を呼ぶ人々

説教要旨(1月16日 朝礼拝より)
コリントの信徒への手紙二 1:1-3
牧師 藤盛勇紀

 使徒パウロが「コリントにある神の教会」に宛てた手紙です。「教会(エクレーシア)」とは、召し出された人々を意味し、元々宗教的な意味合いはないギリシアの議会のことでした。教会とは、呼び出された人の集まりです。どんなに立派な会堂があっても、そこに恵みによって召され、応えて集まった人々がいないと教会ではありません。
 パウロはこの手紙の宛先について、さらにこう記します。「至るところでわたしたちの主イエス・キリストの名を呼び求めているすべての人と共に、キリスト・イエスによって聖なる者とされた人々、召されて聖なる者とされた人々へ」。「聖なる」という言葉はいつも誤解されます。「清く正しく美しく…」ではありません。取り分けられていることです。ただ神の恵みと憐れみによって、神のものとしてこの世から区別されていることです。その清さも、ただキリストの尊い犠牲の血によって、罪が全て精算された清さです。その人が「清く正しい人」だったかどうかとは、全く関係ありません。
 そして、「至るところでわたしたちの主イエス・キリストの名を呼び求めているすべての人と共に」とあります。教会とは、キリスト者とは何なのかと言えば、「主の御名を呼び求める人々」です。ローマ10:13でパウロは言います。「主の名を呼び求める者はだれでも救われる」。
 主の名を呼ぶ者は、どんな呼び方をするでしょうか?「主よ」あるいはイエス様が教えられたように「アッバ、父よ」と呼ぶのではないでしょうか。父なる神は目に見えないしイメージするのも難しい。けれどもイエス様は「私を見た者は父を見たのだ」とおっしゃっいました。イエスを知ればよいのです。「イエスよ!」。この方は、神が「インマヌエル(神は我々と共におられる)」なる方であることを現されたお方です。イエス誕生の時、「イエスと名付けなさい」と御使いが告げました。「イエス」の名は、「ヤハウェ(神)は救い」という意味です。
 「主よ!」「イエスよ!」「父よ!」とあなたが呼ぶなら、あなたは主を信頼しているのではないですか。この世の他の者が全て頼りなくても、自分が寄る辺なき者、孤独で不安な人間であったとしても、常に共にいてくださる主がおられる。常に私の命であるお方が、まさに真の命として生き、生かしてくださる。だからどんな時も、どこにいても、どんな状況でも「主よ!」と呼べる。何と幸いなことでしょうか。何と心強く、何と平安なことでしょうか。まさに、「イエス・キリストは、この人たちとわたしたちの主であります!」
 「わたしたちの父である神と主イエス・キリストからの恵みと平和が、あなたがたにあるように」。平和(平安)はイスラエルの日常の挨拶「シャローム」。この平安こそ人間が最終最後に求めるものでしょう。なぜなら、神による真の平安がなければ、人間の魂は永遠に不安だからです。
 私たちの魂は肉体に宿っていますが、体はいずれ土に帰る「土の塵」です。この土の塵に、神が「命の息吹」つまり霊を吹き込まれて、魂が生じました(創世記2:7)。
 ところが、人は神との関係を棄て、命の霊のつながりを断って、ただ肉体と魂(精神)だけで生きる者(魂)となってしまい、魂は根拠も目的も無いまま、空しく体をやり繰りして死ぬものとなってしまいました。霊的な死です。だから神の命の霊を与えられることなしに、人の魂は決して平安を得ることはありません。
 しかし「わたしたちの父である神と主イエス・キリストからの恵みと平和」があります。恵みとは、受けるに価しない人に与えられるものです。ただ信頼して、いただく人にのみ来ます。魂の空しさを認める人は、どうぞあなたの主を呼んでください。求めて呼ぶなら、私の主は必ずあなたの主として応えてくださいます。

説教一覧(2021年度)

2021.4.4
私に触れてみよ
2021.4.11
罪の贖いの犠牲
2021.4.18
信じたゆえに語る
2021.4.25
日々新たにされて
2021.5.2
天の住まい
2021.5.9
恵みによって贖われ
2021.5.16
駆り立てる愛
2021.5.23
主の証人となる
2021.5.30
新しい人の創造
2021.6.6
今こそ、恵みの時
2021.6.13
聖なる国民
2021.6.20
見よ、生きている
2021.6.27
神の息子、娘たち
2021.7.4
共に死に、共に生きる
2021.7.11
光の中を歩む時
2021.7.18
救いに至る悲しみ
2021.7.25
帰ってみれば分かる
2021.8.1
豊かな者はさらに豊かに
2021.8.8
最も小さい者
2021.8.15
溢れ出て、なお潤う
2021.8.22
主の栄光の現れ
2021.8.29
あの時の熱意を今
2021.9.5
豊かに蒔き、刈り取る
2021.9.12
頼るべき一人の方
2021.9.19
要塞をも破壊する力
2021.9.26
弱そうだが強い
2021.10.3
誇る者は主を誇れ
2021.10.10
神の守りのしるし
2021.10.17
神の熱い思い
2021.10.24
低き所より光を放つ
2021.10.31
決して廃れない誇り
2021.11.7
弱いときにこそ強い
2021.11.14
主があなたに油を注ぎ
2021.11.21
信仰の遺産
2021.11.28
キリストにある弁明
2021.12.5
キリストの弱さと力
2021.12.12
見よ、この時を
2021.12.19
あなたの光、あなたの王
2021.12.26
あなたの中のキリスト
2022.1.2
愛と平和の神と共に
2022.1.9
約束の聖霊
2022.1.16
イエスの名を呼ぶ人々
2022.1.23
無欠の豊かさ
2022.1.30
何による一致か
2022.2.6
十字架の言葉は神の力
2022.2.13
裁きと栄光
2022.2.20
神の力、神の知恵
2022.2.27
誇る者は、主を誇れ
2022.3.6
赦しとしての神の力
2022.3.13
神の知恵は十字架の愛
2022.3.20
地の果てに至るまで
2022.3.27
霊によって一切を知る