裁きと栄光

説教要旨（2月13日 朝礼拝より）
イザヤ書 4:2-6
牧師 加藤英徳

　一月半が過ぎた２０２２年も既に色々とありました。だからかもしれませんがこの期間をあっという間と感じた方もいらっしゃるでしょうし、反対にようやく過ぎたかと思われる方もいらっしゃるはずです。
　置かれた環境が過ぎた時間を異なる長さで受け止めさせているという事になりますが、信仰者にとって時間の流れや起こる出来事は、単に偶然の積み重ねや反復される何かではありません。
　この一瞬一瞬は全て、神様が働きかけてくださる事の目に見える現われです。そしてその働きかけは停滞しません。この時も御自分の元に私たちを呼び戻す御計画として進んでいます。その事実は信仰と生活の規範である聖書で繰返し示されていますし、本日与えられた箇所で預言者イザヤが語った預言の言葉もまさにそうです。
　彼は神様の御計画の終着点の「主の日」について語ります。「その日」。生命力に溢れた若枝が四方に広がっていくように神様の御計画が美しく示されます。そして美しく広がる若枝の先には神様の栄光に溢れた実が誇りと輝きとなって実るのです。
　「主の若枝」という表現は「救い主」を指す時に用いられます。つまり「その日」、救い主を通して神様の御計画が瞬く間に四方へ広がり、先々で果実の実りのように人々に良いものが示されます。そして「シオンとエルサレムの残された者」に付いていた汚れが洗われるのです。さらに「エルサレムの血」～聖書の見方に従えば血は命が～すすぎ清められるのです。
　イザヤが告げる「その日」、信仰者は神様の御計画が四方に広がるなか、全ての汚れ、言い換えるなら罪の全てが洗われ清められ、神様の為に特別に取り分けられた聖なる者と呼ばれるのです。
　「その日」は信仰者にとって全てが完成するその時です。そしてそれは私たちの努力の賜物ではありません。どこまでもすべて神様の働きかけです。だから神様はその喜びを私たちが確実に得るようにと常に呼びかけておられるのです。四の五の言わず従わなければなりません。
　ところがです。私たちは神様の呼びかけに全てを任せられません。そればかりか満たされる事のない自らの望みを追い求め神様の呼びかけに反抗します。預言者イザヤの言葉を耳にしていた人々がそうでした。そしてそれは私たちも同じです。
　だからそんな私たちを神様は裁きと焼き尽くす霊によって聖なる者として取り分けてくださると言われます。裁きという言葉から「良い悪いが決まり罰があたえられる」様子を考えますが、神様の裁きは良い悪いの判断とその結果だけではありません。聖書が示す裁きは幅広く、為政者をあらわす時にも用いられます。為政者の役割は本来、人々の間で起こる「もつれ絡まった状態をほどく」ように「難しい状態を滞りなく処理」する事です。
　つまり私たちの「為政者」である神様がくだされる「裁き」もそうです。自らに「絡まり抜け出せない」私たちを解きほぐされるのです。そして私たちが神様との関係に戻っていくのを求められるのです。
　神様が示される「裁き」。それは犯した過ちに対しての痛みや苦しみを伴う制裁ではありません。自らの思いに縛られた状態から解きほぐされる時です。その結果、私たちは神様の恵みに全てをお任せした本来の姿へと向きが変えられるのです。
　だから「聞く耳のある者は聞きなさい」とイエス様は語られ、十字架にお架かりになり私たちの絡まった心を解きほぐされたのです。そして私たちの罪を裁かれ「その日」を示されました。そして生きたまま天へと戻られました。だとするなら今この時は、この先にある「その日」を待ちつつ「その日」が既に示されている時です。この事実にお委ねして「その日」を歩むのです。