主の道を整えよ
説教要旨(8月3日朝礼拝より)
ルカによる福音書 3:1-14
牧師 藤盛勇紀
洗礼者ヨハネが人々に語った言葉には、「神の怒り」の響きがありました。「蝮の子らよ、・・・」。あなたがアブラハムの子孫だということは何の保証にもならない、あなたがたに必要なことは、「悔い改めにふさわしい実」を結ぶことだと。
「悔い改めにふさわしい実」とは何か。そもそも「悔い改め」とは何でしょうか。聖書に繰り返し出てくる言葉で言い換えれば、「立ち帰る」ことです。神が憐れみと赦しをもって罪人に呼びかけてくださっている。それに素直に応じることです。「このような私を、主よありがとうございます」と。
ところが、神の民イスラエルは、神のもとに生きていることを、血のつながりのように当然のことだと思っています。だからどうして帰る必要などあるのか。それで、かえって神の憐れみも豊かさも分からなくなるのです。
私たちは礼拝の中で、「主に立ち帰るならば、主は憐れんでくださる。…豊かに赦してくださる」というイザヤ書の言葉を聴いています。ホセア書では、主はこう言われます、「ああ、エフライムよ、お前を見捨てることができようか。イスラエルよ、お前を引き渡すことができようか。…、わたしは激しく心を動かされ、憐れみに胸を焼かれる」(11:8)。
自ら神に背を向け、神を捨てたのはイスラエルなのです。それなのに神は、憐れみに胸を焼かれる、と言われます。だから立ち帰ってくれと。このお方に立ち帰ることは、もう感謝であり喜びでしょう。
ヨハネは悔い改めの洗礼を、「宣べ伝えた」とあります。18節には、「ほかにもさまざまな勧めをして、民衆に福音を告げ知らせた」とあります。「勧め」は「慰め」とも訳されます。ヨハネが宣べ伝えた悔い改めは、「慰め」であり「福音」です。よきおとずれに触れることなのです。
だから悔い改めというのは、痛恨の思い出にうなだれることではありません。荒れ野に水が流れ、柔らかにされ、種が芽吹いて、豊かに実るようになることです。
洗礼者ヨハネは「荒れ野」に立って叫びました。「荒れ野」とは、自然の場所としての荒れ野というより、主なる神の語りかけを聞こうとしない世界、主のみ言葉を聞き入れようとしない私たちの頑なで荒れた心ではないでしょうか。
「悔い改め」は、神に向き直った人生となるということです。「実」があるのです。ヨハネが人々に具体的に勧めていることは「この程度でよいのか」と思わされるほど当たり前のことです。しかし私たちの生活は、それらを「当たり前だ」と言えるようになっているでしょうか。私たちの生活、私たちの社会は、そうなっていない。むしろ「荒れ野」の様相を呈しています。
その「荒れ野」の中で、あなたには感謝があるか、自由にされた喜びがあるか、それを自分で獲得するというのか、それどころか、神の怒りを免れると思っているのか。そう問われているのではないでしょうか。
しかし、そんなあなたを、感謝があり喜びがある人生へと変えてくださるお方が今まさに来ておられると、ヨハネは告げます。あなたは神の怒りを免れない。しかし、そんなあなたが、古い自分に死んで、新しい命に甦って生きる。そのように、「聖霊と火であなたたちに洗礼をお授けになる」お方が、いま来ておられると。
私たちが受けるべき神の怒りの裁きを、私たちに代わって負ってくださる主です。
この命に生きよと主は招いておられます。だから、このお方に立ち帰って、豊かに赦していただきましょう。主がお与えくださる洗礼を受けて、新しく生まれた者として、喜んで、感謝して生かされましょう。それが、主が与えてくださる、悔い改めにふさわしい実です。
説教一覧(2014年度)
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2014.7.6
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私のいるべき場所
2014.8.3
主の道を整えよ
2014.8.10
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2014.8.17
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神に至る道
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2015.1.4
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2015.2.1
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2015.03.15
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