力あるみ言葉
説教要旨(9月21日朝礼拝より)
ルカによる福音書 4:31-37
牧師 藤盛勇紀
イエス様は安息日毎に会堂に行って、しばしば聖書を解き明かしておられました。カファルナウムの会堂でも、いつもと同じようになさったのでしょう。しかし人々は、イエス様の言葉に驚きました。「その言葉には権威があったから」です。
主のみ言葉を聞いて権威を感じた人々は、それまで知っていた学者の権威のようなものとは違って、驚くほどに捕らえられ、惹きつけられ、圧倒されるような権威に触れたのです。それは、突然やって来た力です。汚れた悪霊からさえ自由にされる、驚きと喜びに捕らえられる、不思議な権威です。
「権威」とは人を捕らえる支配力ですが、主の権威は「神の支配」です。神が私たちを捕らえ、すくい上げ、生かしてくださる。そのような「神の恵みのご支配」は、「神の国」と訳されますが、イエス様が人々に宣べ伝えられたのは、まさに「神の国」の接近、到来です。
主イエスの言葉に権威を認めたのは、聞いた人々が、その言葉が「この私のためだと分かった」ということです。「この私も、いま神の恵みのご支配の内に生かされている。この私が、いま生ける神に捕らえられている」、それが分かった。
しかし、神の恵みが明らかになると都合が悪くなる者がいます。それは、神のご支配に逆らう者、ここでは「汚れた悪霊」と言われています。
「悪霊」と聞くと、現代に生きる私たちには無関係だ、悪霊の支配など無縁だと思われるかもしれません。しかしどうでしょうか。現代人はあきれるほど迷信に惑わされ捕らえられ、支配されて、何か思いがけないことでも起こると、得体の知れない力の奴隷であるかのように、おろおろしているではありませんか。日々のニュースを見ても、どうしてこれほど悪魔的な力に支配されているのか、なぜそこから自由になれないのかと思わされます。悪魔的な力の支配は、極めて現代的な問題です。
悪霊はこう言います、「ああ、ナザレのイエス、かまわないでくれ」。同じような言葉を人から聞くことがあります。「ああ、イエス様ですか、神様のことですか、もういいから、放っておいてください」。
悪霊は、主イエスとの関係を拒みます。私たちがイエス・キリストによって生きるようになると、悪霊の働く余地がなくなるからです。悪霊は、イエス様のことを「神の聖者」と言います。「神のもの」のことです。私たちも「聖徒」「聖なる者」と言われますが、特別立派な人間だというのではありません。私たちは「神のものとされた」ということです。そして、悪霊が嫌うのはまさにそれです。私たちが「神のもの」になってしまうのを嫌い、抵抗します。
ナザレの礼拝では(16節以下)人々はイエスを殺そうとする思いに捕らわれて終わりました。悪魔的な力が支配するかのように見えました。しかし一方で、カファルナウムもあったというのです。あの礼拝で確かに神の恵みの支配が始まっていた。主イエスのみ言葉に神の国の到来を見た人々がいた、ただ主のみ言葉によって悪霊の支配から自由になった礼拝が行われた、と聖書は告げるのです。
主イエスが十字架につけられた時、人々は主イエスを嘲り、悪魔と同じ言葉で罵りました。悪魔の勝利かのように見えましたが、そうではありませんでした。
カファルナウムの意味は「慰める人の村」で、主イエスにとって「自分の町」(マタイ9:1)でもありました。この町での礼拝は、主のみ言葉の権威を知って、神の恵みの支配を認め、真の慰めを知った人々の礼拝、私たちの礼拝の先取りだったとも言えます。
生きておられる主のみ言葉そのものに権威があり、慰めがあり、悪霊の支配から自由にする力があります。み言葉こそ、現代を生きる私たちの力なのです。
説教一覧(2014年度)
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