忍耐して待つ神
説教要旨(12月27日朝礼拝より)
ルカによる福音書 13:1-9
牧師 藤盛勇紀
主イエスのもとに悲惨な事件が伝えられました。「ピラトがガリラヤ人の血を彼らのいけにえに混ぜた」。神殿で礼拝をして人たちが殺さた。犠牲の動物の血と一緒に礼拝者たちの血も流れたというのです。
「いったい、どいうことなのか」と神に問いたくなるような悲劇です。しかし、こうした悲惨な事件や事故や自然災害は起こります。「シロアムの塔が倒れて死んだあの十八人」というのも、当時有名な事故だったのでしょう。
こうした悲惨な出来事が起こると、古代でも現代でも思うのは因果応報。「何かばちでも当たったのではないか」と、神の審きとか罰とか祟りとか怒り、そんなものを考えているわけです。
しかしイエス様は、「そこで犠牲になった人たちが特に罪深かったからその報いを受けた」という考え方を否定なさいました。そして言われます、「あなたがたも悔い改めなければ、皆同じように滅びる」と。悔い改めなければ、ベッドの上で死のうが事故で死のうが、それは悲惨な滅び、神無き者の死だということです。
この「悔い改め」とは何か。そこでイエス様は「ぶどう園のいちじくの木」のたとえ話をされました。ぶどう園なのに、なぜか「いちじく」。豊かな房を実らせるぶどうの間に、いちじくの木。いかにも場違いでみすぼらしい。しかもなかなか実をつけない。「お前はダメだな」と言われて、立ちすくんでいるかのようです。
ぶどう園の主人は言います、「切り倒せ。なぜ、土地をふさがせておくのか」と。何年やってもダメ。「どうして、こんなことに」と問うたとしても、事実いま惨めなことになってしまっている。
ところが、この悲惨ないちじくの木のために、園丁が言ってくれるのです。「御主人様、今年もこのままにしておいてください。木の周りを掘って、肥やしをやってみます」。園丁はいちじくの木を丹精込めて育ててきたのでしょう。そしていちじくの木に代わって言うのです。「もう一年待ってください」「自分がもっとやってみますから」。この園丁は、主イエスご自身です。
「悔い改める」とは、神に立ち帰ることですが、そうしないと殺されてしまうからと恐れて帰ることではなく、信頼することです。神の御子が私たちに代わって父に弁護してくださり、代わりに必要なことをなしてくださり、守ってくださる。父なる神は、それを赦してくださると確信して帰るのです。そのように、愛と憐れみと赦しに満ちたお方のもとへ立ち帰る。そんな喜ばしいUターンが、悔い改めです。
悔い改めた者は、もう「どうして自分はこうなのか」などと問うことはありません。つぶやくこともありません。悔い改めは、その人をうなだれた姿にさせないのです。
自分がたとえいちじくだとしても、主は丹精込めてくださいます。だからそこで精一杯生きられます。自分をひがんだり、人をうらやんで、悲惨の中に沈むのでなく、主が自分をそうして下さった所で、その唯一の自分を生きるのです。そうしたら、自分なりの実が、実ってくるでしょう。「悔い改め」とは、時にたどたどしく花も実もないみすぼらしいものかも知れませんが、主が命を注いでまで生かしてくださることを知っている、意味に満ちた生き方です。
神様はそれを待っていてくださるお方です。「なんで自分はこうなのか分からない」、そんな時にも立ち帰るのです。神に尋ねたらよいのです。「どうしてですか」と、神に尋ね、神と取っ組み合ったらよいのです。神は応えてくださいます。この神と取り組むことを避けたままで、「なんで、どうして」と問うていても、そこには命も意味も満ちることはありません。神様は、命を求めて、ご自分のもとで生きる私たちを待っていてくださるのです。
説教一覧(2015年度)
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2015.5.3
人の力尽き、信仰が折れても
2015.5.10
父の約束を待ちなさい
2015.5.17
遣わされて生きる
2015.5.24
命を支える霊
2015.5.31
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2015.6.7
救いへの道
2015.6.14
キリストを知る道
2015.6.21
神様の愛
2015.6.28
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主イエスを受け入れる者
2015.7.12
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2015.8.9
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もう自問自答はいらない
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必要なものはただ一つ
2015.8.30
上から来た祈り
2015.9.6
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あなたのともし火
2015.9.20
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2015.9.27
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ここにも天のはしごは届いている
2015.10.13
平和のレベル
2015.10.25
あなたの豊かさ
2015.11.1
神の国を受け継ぐ者
2015.11.8
愛は神から
2015.11.15
大切なあなた
2015.11.22
何に備えて生きるか
2015.11.29
火を投ずる主
2015.12.6
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2015.12.13
あがめよ、わが魂
2015.12.20
はるばる来られた神
2015.12.27
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2016.1.3
神の国は来ている
2016.1.10
狭い戸口から入れ
2016.1.17
救いの業は前進する
2016.1.24
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2016.1.31
創造の信仰
2016.2.7
宴会への招き
2016.2.14
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2016.2.21
主の弟子として
2016.2.28
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2016.3.6
走り寄る父
2016.3.13
主イエスの沈黙
2016.3.20
光の子らの賢さ
2016.3.27
急いで行って告げなさい