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あなたを造る聖書

説教要旨(1月1日 朝礼拝より)
テモテへの手紙二 3:10-17
牧師 藤盛勇紀

 信仰生活の中心に聖書を位置づけようとするのは今も昔も同じです。使徒パウロも、若い同労者のテモテに最後の勧めとして、聖書を重んじるべきことを改めて語ります。
 「キリスト・イエスに結ばれて信心深く生きようとする人は皆、迫害を受けます」とパウロは言いますが、現代の日本では目に見える形での迫害がないからこそ、かえって私たちキリスト者は特に抵抗するでもなく、いつの間にかいとも簡単に、反キリストの霊に屈していることがあり得ます。意識しなければ、簡単に流されるのです。
 では、何によってどのように信仰と生活を守るべきでしょうか。生活に基礎や中心がなければ、いくらでも流され、ずれて行きます。パウロは、「あなたは、自分が学んで確信したことから離れてはなりません」と言います。私たちの生活が「信仰生活」である以上、確信しているところとはキリストへの信仰であって、生活の本当のよりどころはそれ以外にはありません。
 そしてパウロは、聖書が「キリスト・イエスへの信仰を通して救いに導く知恵を、あなたに与えることができます」と言います。聖書が、信仰生活の中心を形づくり、キリスト者の生活を導き、ついには「十分に整えられる」と言うのです。
 私たちの信仰も救いも、私たちが考え出したものではなく、人間の教えでもありません。信仰生活も自分で始めたわけではなく、自分で作り上げたものでもありません。すべては神の言葉によって始められ、支えられ、導かれるのです。だから私たちは、聖書について「信仰と生活との誤りなき規範なり」と告白しているのです。
 これは極めて大事な点ですが、あまり意識されていないかもしれません。皆さんが聖書と向かい合う時、「自分が聖書を開く」「自分が聖書を読み、理解する」という関係になるのではないかと思います。他にどんな関係があるかと言われるかもしれませんが、「私が、聖書を読む」「私が、聖書を解釈する」という関係からは、命の関係は出てきません。私たちと聖書の関わりは、聖書の方が主体なのです。聖書が、私たちを造り、聖書が私たちを理解し、聖書が私たちを開きます。なぜなら、聖書は生けるキリストを証しするからです。
 迫害のない現代、聖書を読む自由があることは意識さえされていません。しかし、この自由な状況を生み出したのは、他ならぬ聖書自身なのです。聖書が人を生かし動かし、歴史を作ってきました。だから今、ここに聖書があるのです。これは大変なことです。聖書は、人間が権威を与えたから力を持っているのではなくて、聖書自身に力があるから、全ての規範となるのです。
 聖書が「信仰と生活との規範」だとは、日常生活のあらゆる場面について逐一規定し教えている、ということではありません。しかし、どんな問題に出くわしたとしても行き詰まらず、途方に暮れても失望しない、そのような信仰と中心を与えてくれます。その中心から、私たちはこの世界を見、自分を知り、判断をし、自分の生活を作り上げていくのです。
 聖書を通して直接働かれる聖霊が、私たちにキリストを証ししてくださいます。だから、いつの時代でもどこでも、聖書は同じ一人の主と出会わせ、同じ一つの信仰を得させます。これは、聖霊の働きを知らない人にとっては、不思議なことでしょう。
 聖書が、人間を造り、社会や文化を造り、歴史を造る。聖書はそうした激烈な力を持つということを、私たちは忘れがちです。それでは、私たちの生活が意味あるもの、力あるものにはなりません。聖書は「キリスト・イエスへの信仰を通して救いに導く知恵を、あなたに与えることができる」のです。聖書自身が、つまり聖霊が、それを証しつづけています。この信頼によって、主の2017年を歩み始めたいと思います。
 

説教一覧(2016年度)

2016.4.3
誰の言葉を聞くのか
2016.4.10
消えていく
2016.4.17
信じて、願え
2016.4.24
立ち上がって、行きなさい
2016.5.1
神の国は来ている
2016.5.8
遣わされて生きる
2016.5.15
神の子とする霊
2016.5.22
主が来られる時
2016.5.29
謙遜をかさねて
2016.6.5
ほうっておけない神
2016.6.12
主よ、あなたしかいません
2016.6.19
ただ、いただくだけです
2016.7.3
主イエスの行く道
2016.7.10
あなたの信仰があなたを救った
2016.7.17
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2016.7.24
小事を生かせ
2016.7.31
終末からこの世を見る
2016.8.7
主の御用のために
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2016.8.21
天からの権威
2016.8.28
使徒たちとともに
2016.9.4
神無き世を越えて
2016.9.11
神のものは神に
2016.9.18
神学論争の終わり
2016.9.25
メシアはダビデの子
2016.10.2朝礼拝
主のまなざし
2016.10.2夕礼拝
主イエスの言葉を思い出して
2016.10.16
終末のしるし
2016.10.23
解放の時は近い
2016.10.30
ゆるして自由になりなさい
2016.11.6
主の言葉は滅びず
2016.11.13
本当に大切なこと
2016.11.20
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2016.11.27
新人類が現れた
2016.12.4
人間のたくらみ、神の備え
2016.12.11
宿命を超える主の愛
2016.12.18
必ず実現すること
2016.12.25
その名はインマヌエル
2017.1.1
あなたを造る聖書
2017.1.8
王は裸で踊る
2017.1.15
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2017.1.22
闇の支配
2017.1.29
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2017.2.5
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2017.2.12
神の子、イエス・キリスト
2017.2.19
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2017.2.26
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2017.3.5
どちらが憐れか
2017.3.12
あざ笑われるメシア
2017.3.19
主の愛の深さを知らされて
2017.3.26
闇の中の光