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神の国は来ている

説教要旨(2月23日 朝礼拝)
マタイによる福音書 12:22-32
牧師 藤盛勇紀

 口の利けない人から悪霊を追い出すことは、メシアにしかできないはずの業でした。それをイエス様はなさったので、「このイエスはメシアではないか」という期待が高まっていました。そして今回も「悪霊に取りつかれて目が見えず口の利けない人」を癒やされた。明白なメシアの働きです。群衆は叫びます。「この人はダビデの子(メシア)ではないか」。しかし、ナザレという名も無い村から出た大工の息子がメシアだなどと、ファリサイ派などユダヤの指導者たちは認めるわけには行きません。彼らは断言します。「悪霊の頭ベルゼブルの力によらなければ、この者は悪霊を追い出せはしない」。これは、イエスを調査、観察していた人々の公式な判定です。それに対しイエス様は、内輪で争えばサタンの国も立ち行かないだろうと、当然のことを言われましたが、ファリサイ派の人々の断定は公の最終判断です。そもそも、すでにイエスを亡き者にすると決めているのです(14)。
 しかし、民が待ち望んでいたメシアを、なぜ拒否するのでしょうか? 指導者たちにとっては、今メシアに現れてもらっては困るからです。彼らには人々から勝ち得た尊敬や高い評価があり、神殿を中心とする地位や利権があります。もしメシアが来て、神の国がもたらされることになれば、これまで獲得して来たものを手放すになる。だったら、このイエスを偽メシアだ、悪霊の頭だということにして、亡き者にするしかない。
 ここでイエス様は明確に宣言されます。「わたしが神の霊で悪霊を追い出しているのであれば、神の国はあなたたちのところに来ている!」。イエス様はまさに「神の国は来ている」と告げ知らせ、そのしるしを自ら示して証ししてきました。「神の国はあなたたちのところに来ている」。決定的な宣言です。
 であれば、どうなりますか。この方がメシアで、神の国が来ているなら、私たちの救い、神の愛と祝福と恵みが、この方に来ていて、それがこの地上に広がって行くのであれば、そして、この方に私たちの真の命があるならば、「このお方と共に生きて、このお方と共に働きたい」「このイエスに従って行きたい」となるでしょう。その時が来ているのです。
 だからイエス様は、はっきり言われます。「わたしに味方しない者はわたしに敵対し、わたしと一緒に集めない者は散らしている」。これは私たちに迫る言葉です。「もうあなた方は、どちらかしかないのだよ」と。「私に味方して、私と一緒に集めないか」という招きです。主は決断を迫っています。もう、イエスがどなたなのかが明らかだからです。
 「人が犯す罪や冒涜は、どんなものでも赦されるが、“霊”に対する冒涜は赦されない。人の子に言い逆らう者は赦される。しかし、聖霊に言い逆らう者は、この世でも後の世でも赦されることがない」。恐ろしい言葉にも聞こえるし、昔からこの言葉は理解困難な言葉とされています。しかし、難しいことではありません。
 これを聞いた人たちは理解できませんでした。この言葉だけでなく、メシアがどんなお方なのか、救いのために何をなさるのかが、結局分かりません。だから弟子たちもイエス様を裏切り、皆イエス様を見捨てるのです。イエス様は皆から捨てられ、嘲られ、罵られながら殺されます。しかし、これが神の御心でした。ここに完全な赦しがあった。だから、「人の子に言い逆らう者は赦される」とは、不思議な神のご計画なのです。「しかし、聖霊に言い逆らう者は、赦されない」とは?
 イエス様が捕らえられたあの夜、弟子たちに親しく丁寧に、詳しく語られたのは、あなた方には聖霊が与えられるという約束でした。その霊が来られると何をなさるのか。「すべてのことを教え、わたしが話したことをことごとく思い起こさせてくださる」(ヨハネ14:26)。そして永遠にあなた方と一緒にいてくださる真理の霊なのだと。
 この霊によって、私たちはイエスを知り、父を知り、イエス様によって全ての罪が赦されて神の子とされていることを知ります。聖霊によって、イエスを主と信じる人がいるなら(1コリント12:3)、ここに神の国は始まっているのです。そしてイエス様は、生きて拡大する神の国の働きに「あなたも私と一緒に参加しよう」と招いておられるのです。
 
 

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