忍耐と慰め
説教要旨( 9月 5日 朝礼拝 )
出エジプト記 第33章12~17
ローマの信徒への手紙 第15章1~6節
倉橋康夫
パウロは冒頭で、<わたしたち強い者>、と言い切っています。直前の文脈からすると、「神の御前における確信」に揺るぎなく立っている者のことです。パウロは元々自分の弱さを良く知っておりました(Ⅱコリ12章)。ですから、<わたしたち強い者>と言っても、自分を誇る気持ちは微塵もないのです。寧ろ、自分の弱さを知る者として、神によって与えられている確信に生かされる幸いを思っているのです。そして、その意味では、主キリストの救いに入れられた信仰者は皆、恵みによって強い者とされている、と言えます。
けれども、私たちの教会の歩みは、常に、<強くない者>を多く含む歩みに他なりません。私たちの誰もが、その立場になるからです。私たちは、誰かの弱さを担う時もあれば、自分の弱さを担ってもらう時もあります。そのようにして、教会の歩みは進められていきます。そして、自分だけが満足するような生き方ではなく、隣人の弱さを担い、喜びを分かち合う歩みをするのは、<主キリスト御自身>が教えて下さっていることだ、と言います。主キリストの歩みは、十字架に集約される歩みでした。それは、ご自分を喜ばせ・満足させるための歩みではなかったのです。主キリストのご受難によって、救いに入れられた私たちキリスト者は、その主の歩みを見上げ、その主に倣う歩みへと導かれる筈だ、とパウロは言うのです。
そして、そのような信仰者の生き方は、旧約聖書全体から、既に教えられていることである、と言います。<かつて書かれた事柄>とは、旧約聖書の内容を指しています。そして、その聖書から示されることは、忍耐と慰めの学びと、希望を持ち続けることだ、と言います。併せて読んだ、出エジプト記の第33章の12節以下は、モーセの忍耐と慰めに関わる記事です。この時、モーセはイスラエルの民の裏切りに遭い、苦しみの中にありました。彼はその苦しみに耐えながら、主なる神に訴えたのです。<どうか今、あなたの道をお示しください>、と。この切なる訴えに対して、神は常に共にいて下さり、<あなたに安息を与えよう>、と約束されます。モーセにとって、これに優る慰めと励ましはなかったのです。
確かに、信仰者の生活は、忍耐と慰めの連続です。この世の生活は、忍耐を強いられることが多いのです。けれども、そのような中で、神からの慰めと励ましを与えられて、信仰者はその生涯を歩み抜くことができます。モーセが、その模範的な1人でした。そして、その<慰めと励ましを学んで希望を持ち続けることができる>、とパウロは言います。希望は将来に関わることであり、過ぎ去るこの世に属するものではありません。聖書によって教えられ、示される道は、希望に至ります。忍耐と慰めの歩み、それは確かな希望に繋がるのです。
その理由を、パウロは4、5節の祈りの言葉で明らかにします。つまり、忍耐は神に由来し、神の忍耐によって救いのみ業が行われた(第3章23節 以下参照)、ということです。それは、最終的に、<イエスを信じる者を義となさるため>であった、と言います。この神の忍耐こそ、限りない慰めを与えてくれます。現在も続けられている神の忍耐と、そこからの慰めの下に、私たちは生かされています。そして、このような私たちの歩みは、<心を合わせ声をそろえて>、神を讃美することに集約される、と言うのです。それ故に、この部分は、パウロの切なる祈りの言葉となっています。そして、この祈りは、私たち自身の祈りでもあります。
「忍耐と慰め」 それは何よりも、神に由来します。主イエス・キリストを通して示された、神の忍耐と慰めに思いを集めながら、神を讃美する思いを熱くする歩みを進めて参りましょう。
説教一覧(2010年度)
2010.04.04
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2010.04.11
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2010.04.18
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2010.04.25
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2010.05.02
すべての人と平和に
2010.05.09
子や孫たちにも教えなさい
2010.05.16
復讐からの解放
2010.05.23
聖霊の証印を受けて
2010.05.30
寄留者
2010.06.06
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2010.06.13
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2010.06.27
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2010.07.04
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2010.08.01
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2010.08.08
神の国は義と平和と喜び
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2010.08.29
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2010.09.05
忍耐と慰め
2010.09.12
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2010.09.19
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2010.09.26
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2010.10.03
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2010.10.17
主が結ぶ契約
2010.10.24
主キリストの祝福を携えて
2010.10.31
過越の小羊
2010.11.07
天の財産を受け継ぐ
2010.11.14
十戒
2010.11.21
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2010.11.28
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2010.12.05
主にあって よろしく
2010.12.12
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2010.12.19
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2010.12.26
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2011.01.02
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2011.01.30
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