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この方こそ神の子

説教要旨( 3月20日 朝礼拝 )
イザヤ書 第53章6~12節
ヨハネによる福音書 第 1章29~34節
倉橋康夫

 前日、洗礼者ヨハネは、自分は影の存在でしかない、と言うことによって、光の存在を示唆していましたが、今や朝の光の中で、光そのものであられる主イエス・キリストを、直接指し示します。その証言は、朝の光の中を歩んで来られる主イエスを見て、行われます。<29 その翌日、ヨハネは、自分の方へイエスが来られるのを見て言った。「見よ、世の罪を取り除く神の小羊だ。>、と。私たちはここで、併せて読んだ、イザヤ書 第53章を思い起こさせられます。<6 わたしたちは羊の群れ/道を誤り、それぞれの方角に向かって行った。/そのわたしたちの罪をすべて/主は彼に負わせられた。> イザヤは、<罪をすべて>彼は負う、と言いますが、洗礼者ヨハネは、彼は<世の罪を取り除く>、と言うのです。神の小羊は、世の罪を負うことによって、それを取り除くのだ、と。<神の小羊>とは、神によって立てられた小羊、しかも、犠牲の小羊として選ばれたのです。
 ここで、洗礼者ヨハネは、主イエスを知っている者として、主イエスとはどのような方であるかを(つまり、「世の罪を取り除く神の小羊として」)指し示しています。ヨハネは、以前は主イエスを知らなかったのです(31,33節)。26節では、<あなたがたの中には、あなたがたの知らない方がおられる>、とも言っていました。あなたがたも知らず、自分も知らなかった方、<18 いまだかつて、神を見た者はいない>と言われているように、知る得べくもないそのような方が、今ここに近づいて来られる、とヨハネは告げます。しかも、今やヨハネは、その主を知っている者、知らされた者として指し示すのです。
 ヨハネが主イエスを知り得たいきさつは、<32 そしてヨハネは証しした。「わたしは“霊”が鳩のように天から降って、この方の上にとどまるのを見た。33 わたしはこの方を知らなかった。しかし、水で洗礼を授けるためにわたしをお遣わしになった方が、『“霊”が降って、ある人にとどまるのを見たら、その人が、聖霊によって洗礼を授ける人である』とわたしに言われた。>、と記されている通りです。このヨハネの経験は、共観福音書が、主イエスの受洗の出来事として伝えているものです。しかし、ヨハネは、出来事をそのまま伝えるのではなく、その経験によって明らかにされた中身を指し示します。聖霊が降ってある人の上にとどまるという徴を、具体的に鳩の姿を見る経験を通して、悟り知ったのです。ヨハネはこのことから、主イエスこそが、聖霊による洗礼を授ける方であることを悟りました。しかも、それを知らせた方は、自分を遣わした方・神である、と言うのです。
 ところで、ここでヨハネが見い出したことは、これまで知り得なかった、全く新しいことでした。つまり、<この方こそ神の子である>、と言い得る方を発見したのです。あなたがたの知らない方、わたしも知らなかった方を、私は知って、知らされて、証しをする、<この方こそ神の子である>、とヨハネは言います。知らなかった方の到来、未知なる方、神の子が来られた。その方は、<世の罪を取り除く神の小羊>として来られたのです。
 そして、その方のみ業・世の罪を取り除くということは、聖霊による洗礼によって、確かなものとなる、と言います。水の洗礼は、ただそれだけではなく、聖霊を付与され、罪を除くものへと高められる、と言うのです。それは、犠牲として立てられた「神の小羊」による洗礼であり、神の子・キリストの十字架の死が前提とされるのです。ヨハネは<34 わたしはそれを見た。だから、この方こそ神の子であると証ししたのである。」>、と言います。私たちも同様に、この方こそ未知なる方、思い浮かべもしなかった方で、この方にこそ救いと望みがある、と証しする歩みを続けていくのです。
 

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