我らの誇り
説教要旨(10月 3日 朝礼拝 )
イザヤ書 第52章13~15節
ローマの信徒への手紙 第15章14~21節
倉橋康夫
パウロは、ロマ書 第15章17節からの部分で、「誇り」について語ります。<そこでわたしは、神のために働くことをキリスト・イエスによって誇りに思っています。>、と。ここは、「神に関することで、キリスト・イエスにあって、誇りを持っている」、と言うことです。「神に関すること」とは、広い意味を持っている、と考えられます。それは、<神の福音>に関することです。神の救いのみ業に関することです。神が主キリストによって、救いのみ業を成し遂げて下さったこと、そして、その福音をパウロを通して宣べ伝えさせて下さることの全てに、自分の誇りがある、と言うのです。
従って、パウロの伝道活動も、パウロ自身の功績とか手柄というのではなく、主キリストが働いて下さったことに他ならないのです。だから、<18 キリストがわたしを通して働かれたこと以外は、あえて何も申しません。>、と言います。
私たちキリスト者の歩みも、そのようにして進められて行きます。主キリストによって救われたということは、ハイデルベルク信仰問答の最初にあるように、自分が自分のものではなく、身も魂も主キリストのものとなった、ということです。主が常に自分と共にいて下さる、主が自分を生かし、用いて下さる、主が永遠の命に生きる歩みを導いて下さる。そこに、無上の喜びと誇りを感じるのです。
パウロは、キリストに救われた者として、取り分け、伝道者として生きる者として、その喜びと誇りに満たされていました。パウロは、<20 このようにキリストの名がまだ知られていない所で福音を告げ知らせようと、わたしは熱心に努めてきました。それは、他人の築いた土台の上に建てたりしないためです。/21 「彼のことを告げられていなかった人々が見、/聞かなかった人々が悟るであろう」/と書いてあるとおりです。>、と言います。
括弧の部分は、併せて読んだイザヤ書の第52章15節bからの引用です。それに先立つ13節では、<わたしの僕>・「主の僕」は栄え、あがめられる、と宣言されています。しかし、その主の僕は、次に苦難の僕として描かれます。この苦難の主の僕は、第53章で更に克明に描写されます。ここには、主イエス・キリストの苦難が指し示されているのです。そして、パウロの引用部分では、この主の僕のことが、告げ知らされ、そこに救いのあることを人々は悟る、と言うのです。その福音を告げ知らせるために、熱心に努めてきた、とパウロは言います。
このパウロの熱心は、神の熱心に応答するものです。神の熱心は、言うまでもなく、人間の救いのために、ご自分の独り子をお与えになった熱心です。私たち人間を追い求め、救って下さる熱心です。そして、この救いを、教会を通し、信仰者を通して告げ知らせようと、今も働いて下さる熱心です。この神の熱心に応答して、パウロは<キリストの名がまだ知られていない所>に、福音を告げ知らせようとしてきた、と言います。知られていないとは、受け入れられていない、ということであるとすれば、私たちの周囲、家族・友人・知人の中に多く存在します。そのように考えると、私たちもまた、主<キリストの名がまだ知られていない所>に、福音を告げ知らせるべく、立てられている、と言えます。
私たちもまた、「神に関することで、主キリスト・イエスにあって、誇りを持っている」、と言えます。私たちキリスト者は、全て、揺るぎない誇りを与えられているのです。「我らの誇り」です。主キリストを誇ることができる。神の救いを誇ることができる。主キリストのものとされ、生かされていることを誇り得る。このように、誇り高く生きるのが、キリスト者です。そして、この誇りを伝えることが証しです。この誇りを携えて、信仰の歩みを進めましょう。
説教一覧(2010年度)
2010.04.04
あの方は復活された
2010.04.11
近くにおられる神
2010.04.18
偽りのない愛
2010.04.25
祝福を祈る
2010.05.02
すべての人と平和に
2010.05.09
子や孫たちにも教えなさい
2010.05.16
復讐からの解放
2010.05.23
聖霊の証印を受けて
2010.05.30
寄留者
2010.06.06
良心に従って
2010.06.13
愛は律法を全うする
2010.06.20
神の子イエス
2010.06.27
今はどんな時か
2010.07.04
主キリストを身にまとう
2010.07.11
あなたは神に出会う
2010.07.18
あなたは何者か
2010.07.25
我らは主のもの
2010.08.01
愛に従って歩む
2010.08.08
神の国は義と平和と喜び
2010.08.15
主こそ神、ほかに神はいない
2010.08.22
神のみ前における確信
2010.08.29
生ける希望
2010.09.05
忍耐と慰め
2010.09.12
逃れて、生き延びる
2010.09.19
望みの源なる神
2010.09.26
神の福音のために
2010.10.03
我らの誇り
2010.10.10
親子
2010.10.17
主が結ぶ契約
2010.10.24
主キリストの祝福を携えて
2010.10.31
過越の小羊
2010.11.07
天の財産を受け継ぐ
2010.11.14
十戒
2010.11.21
自分自身を知る
2010.11.28
平和の源なる神
2010.12.05
主にあって よろしく
2010.12.12
大いなる栄光
2010.12.19
メシアはどこに
2010.12.26
教会から教会へ
2011.01.02
善にさとく、悪には疎く
2011.01.09
栄光が唯一の神に
2011.01.16
あなたの心に留め、語り聞かせる
2011.01.23
初めに言があった
2011.01.30
味わい、見よ、主の恵み深さを
2011.02.06
光の証人
2011.02.13
試みと誘惑
2011.02.20
神によって生まれる
2011.02.27
独り子なる神
2011.03.06
主の道をまっすぐにせよとの声
2011.03.13
神の宝―選ばれた者たち
2011.03.20
この方こそ神の子
2011.03.27
何を求めているのか