教会から教会へ
説教要旨(12月26日 朝礼拝 )
ヨシュア記 第24章21~24節
ローマの信徒への手紙 第16章 1~16節
倉橋康夫
本日は、前回と同じロマ書の個所を、別の角度から、「教会」という観点から読みます。
このロマ書は、1人の伝道者パウロから、1つの教会・ローマの教会へ宛てて書かれた手紙、という体裁をとっています。けれども、これまで読んできて明らかなように、神の福音・キリストの福音を解き明かし、福音によって生きることの幸いを伝えることに終始するものでした。パウロは、<キリストのすべての教会があなたがたによろしく>(16節)、と言います。パウロは、<キリストのすべての教会>からの手紙として、書いたのです。ここには、教会の言葉が綴られています。教会の信仰に基づく言葉が語られているのです。
扨て、この最後の挨拶において目立つのは、「家の教会」です。キリスト教会の歩みが始まった当初は、勿論、教会堂などはありませんでした。従って、教会・群れが礼拝する時には、個人の家に集まったのです。5節に、<彼らの家に集まる教会の人々>、とあります。「彼らの家における教会」です。10、11、14、15節なども、家の教会(家を開放していた者)を指す、と考えられます。教会としての歩みをするためには、共に集まって礼拝をする場所を必要とします。そのために、個人の家が提供されたのです。そのことを、今日、私たちは、共に礼拝堂に集まり、礼拝を捧げることを中心として歩む、という形で受け継いでいます。主イエスは、エルサレムに行かれた時、神殿の有り様を厳しく批判されました。(マルコ11 : 15以下参照) 神を純粋に礼拝する場が確保されることこそ、肝要なのです。
次に注目すべきことは、異邦人の教会です。ユダヤ人の教会、エルサレムの教会に対して、ユダヤ人以外の人々の教会です。<4 命がけでわたしの命を守ってくれたこの人たちに、わたしだけでなく、異邦人のすべての教会が感謝しています。>、と述べられています。プリスカとアキラが命がけで、パウロの伝道活動を支えてくれたことは、全ての異邦人教会が感謝している、と言うのです。ユダヤ人教会と比較すると、異邦人教会の特質は、律法や割礼がないことです。異邦人教会は、頼みとし得るのは、主キリストの福音だけである、と真っ直ぐに福音に近づくことができました。パウロがそのように、福音を宣べ伝えたからです。それは、パウロ自身が悪戦苦闘の末に、指し示された福音の真理だったのです。(フィリピ3 : 5 以下参照)
この、ただ信仰によってのみ救われる、という福音の真理は、福音の射程を保証するものです。主キリストの十字架の恵みを信じることによって、誰でもが神の祝福に入れられます。ユダヤ人もギリシア人も、男も女も、奴隷も自由人も関係なく、福音は全ての人を神の祝福へと招き入れるのです(ガラテヤ3 : 28)。併せて読んだ、ヨシュア記 第24章でイスラエルの民が、外国の神々を捨ててイスラエルの神・主に仕え、従うとの告白をしています。異邦人教会は全て、同様の告白をもって、キリスト教会に結ばれた、と言うことができます。
パウロは、主によって立てられた伝道者として、<キリストのすべての教会>(16節)に結ばれて、福音の真理を示そうとしたのです。それは、この手紙が「教会から教会へ」宛てられたものであることを示します。全てのキリスト者から、ローマの教会へと伝えられた福音の手紙です。このことは、私たちの教会の歩みについても妥当します。富士見町教会は、孤立した1つの教会ではありません。全体教会としての日本基督教団に属しますが、もっと本質的に、全てのキリスト教会に結ばれた教会である、ということです。代々の教会から引き継がれた手紙を受け取り、その福音の真理を受け止め、主キリストへの信仰を受け継いで、私たちの歩みが進められるのです。
説教一覧(2010年度)
2010.04.04
あの方は復活された
2010.04.11
近くにおられる神
2010.04.18
偽りのない愛
2010.04.25
祝福を祈る
2010.05.02
すべての人と平和に
2010.05.09
子や孫たちにも教えなさい
2010.05.16
復讐からの解放
2010.05.23
聖霊の証印を受けて
2010.05.30
寄留者
2010.06.06
良心に従って
2010.06.13
愛は律法を全うする
2010.06.20
神の子イエス
2010.06.27
今はどんな時か
2010.07.04
主キリストを身にまとう
2010.07.11
あなたは神に出会う
2010.07.18
あなたは何者か
2010.07.25
我らは主のもの
2010.08.01
愛に従って歩む
2010.08.08
神の国は義と平和と喜び
2010.08.15
主こそ神、ほかに神はいない
2010.08.22
神のみ前における確信
2010.08.29
生ける希望
2010.09.05
忍耐と慰め
2010.09.12
逃れて、生き延びる
2010.09.19
望みの源なる神
2010.09.26
神の福音のために
2010.10.03
我らの誇り
2010.10.10
親子
2010.10.17
主が結ぶ契約
2010.10.24
主キリストの祝福を携えて
2010.10.31
過越の小羊
2010.11.07
天の財産を受け継ぐ
2010.11.14
十戒
2010.11.21
自分自身を知る
2010.11.28
平和の源なる神
2010.12.05
主にあって よろしく
2010.12.12
大いなる栄光
2010.12.19
メシアはどこに
2010.12.26
教会から教会へ
2011.01.02
善にさとく、悪には疎く
2011.01.09
栄光が唯一の神に
2011.01.16
あなたの心に留め、語り聞かせる
2011.01.23
初めに言があった
2011.01.30
味わい、見よ、主の恵み深さを
2011.02.06
光の証人
2011.02.13
試みと誘惑
2011.02.20
神によって生まれる
2011.02.27
独り子なる神
2011.03.06
主の道をまっすぐにせよとの声
2011.03.13
神の宝―選ばれた者たち
2011.03.20
この方こそ神の子
2011.03.27
何を求めているのか