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永遠の命に至る水

説教要旨( 6月26日 朝礼拝 )
創世記 第33章12~19節
ヨハネによる福音書 第4章1~15節
倉橋康夫

 主イエスの一行は、<ユダヤの地>から、ガリラヤへ向かうに際して、サマリアを通過されます。それは、言わば、神が備えられた必然でした。<しかし、サマリアを通らねばならなかった。>、と記されて、また、<イエスは旅に疲れて、そのまま井戸のそばに座っておられた。>、とあります。この「井戸」については、<5 それで、ヤコブがその子ヨセフに与えた土地の近くにある、シカルというサマリアの町に来られた。4 そこにはヤコブの井戸があった。・・・・・ >、と説明されています。
 このことについては、併せて読んだ創世記 第33章18 ~ 20節に記されています。そこに、<シケムの町>と言われているのが、「シカルの町」のことです。無事に、兄エサウと再会を果たしたヤコブが暫く滞在するために確保したのが、シケムの町の近くの土地でした。そこにあった井戸が「ヤコブの井戸」と呼ばれていたのです。主イエスは、そのように、ヤコブにまで遡る由緒ある井戸の傍らで休んでおられたのです。
 ここに、サマリアの女性が登場します。<正午ごろのことである。/サマリアの女が水をくみに来た。>、とあります。主イエスとサマリアの女性が顔を合わせてしまいます。しかし、通常交際しない関係にあったにも拘らず、主イエスの方から、サマリアの女性に声を掛けられます。<イエスは、「水を飲ませてください」と言われた。>、とあります。普通であれば、互いに、目も合わさずに、やり過ごす場面です。その通常の成り行きを打ち破ったのが、主イエスのお言葉でした。
 主イエスは、ユダヤ人とサマリア人の間にあった差別関係を消し去っておられます。また、どのような者であれ、主はあなたを必要としている、とのメッセージを伝えられます。人間の社会においては、しばしば、人間の価値が秤にかけられます。しかし、主イエスから・神からご覧になるなら、全ての人間が必要とされるべき、かけがえのないひとり1人なのです。主イエスに水を汲んであげるために、必要とされるということではなく、主イエスから、<生きた水>を頂く者として必要とされるのです。
 扨て、ユダヤ人である主イエスから依頼を受けて戸惑うサマリアの女性に、主イエスは次のようにお答えになります。<「もしあなたが、神の賜物を知っており、また、『水を飲ませてください』と言ったのがだれであるか知っていたならば、あなたの方からその人に頼み、その人はあなたに生きた水を与えたことであろう。」>、と。主イエスは、一足飛びに、地上の賜物から、神の賜物へと話を進められます。<生きた水>とは、オリエントの言語習慣からするなら、台地から湧き出る水(泉、井戸)を指す、と言われます。そこで、サマリアの女性は、誤解をします。<女は言った。「主よ、あなたはくむ物をお持ちでないし、井戸は深いのです。どこからその生きた水を手にお入れになるのですか。>、と。この井戸の他に、どこから<生きた水>(井戸水)を手に入れるつもりなのか、と。この女性は、この疲れた旅人の方から水を与えようとするのに、驚いています。そして、何を言っているのか、理解できずにいるのです。
 <13 イエスは答えて言われた。「この水を飲む者はだれでもまた渇く。14 しかし、わたしが与える水を飲む者は決して渇かない。わたしが与える水はその人の内で泉となり、永遠の命に至る水がわき出る。」>、とあります。ここで、サマリアの女性は、結局は再び渇いてしまうような水ではなく、渇くことのない生きた水に関することへと導かれていきます。勿論十分に理解しているとは言えないでしょう。しかし、主イエスが話しておられることに、深い意味が隠されている、と気づき始めています。サマリアの女性は、遂に、主イエスに懇願します。永遠の命に至るその水をください、と。
 

説教一覧(2011年度)

2011.04.03
わたしに従いなさい
2011.04.10
隅の親石
2011.04.17
ぶどう酒になった水
2011.04.24
驚くべき主の御業
2011.05.01
新しき神の家
2011.05.08
神を畏れ、王を敬え
2011.05.15
水と霊とによって生まれる
2011.05.22
永遠の命と裁き
2011.05.29
はじまり
2011.06.05
あの方は栄え、わたしは衰える
2011.06.12
一同は聖霊に満たされ
2011.06.19
神をほめたたえる幸い
2011.06.26
永遠の命に至る水
2011.07.03
まことの礼拝
2011.07.10
その傷によって、あなたがたは癒された
2011.07.17
神の備え給う道
2011.07.24
み言葉を信じて
2011.07.31
あなたはわたしの愛する子
2011.08.07
命の恵みを共に受け継ぐ
2011.08.14
主イエスに力を与えられ
2011.08.21
試みを受けられた主
2011.08.28
神と等しい方
2011.09.04
今やその時
2011.09.11
祝福を受け継ぐ
2011.09.18
主イエスについての証し
2011.09.25
神からの誉れ
2011.10.02
命のパンのしるし
2011.10.09
父である神をたたえる
2011.10.16
わたしだ。恐れることはない。
2011.10.23
苦難と希望
2011.10.30
信じる
2011.11.06
天への凱旋
2011.11.13
キリストの勝利
2011.11.20
短い信仰告白
2011.11.27
朽ちない食物
2011.12.04
主イエスのもとへ
2011.12.11
かつてと今
2011.12.18
主イエスによって生きる
2011.12.25
飼い葉桶の乳飲み子
2012.01.01
去るか留まるか
2012.01.08
神の恵みの善い管理者
2012.01.15
時を支配し給う神
2012.01.22
わたしについて来なさい
2012.01.29
主の真実によって
2012.02.05
主キリストは神の御許から
2012.02.12
勝利を約束されている苦難
2012.02.19
主イエスの行かれる所
2012.02.26
生ける信仰
2012.03.04
主イエスへの態度決定