今やその時
説教要旨( 9月 4日 朝礼拝)
ダニエル書 第12章1~3節
ヨハネによる福音書 第5章19~30節
倉橋康夫
ご自身を神と等しい者である、とする主イエスを受け容れないばかりか、益々殺意を募らせる「ユダヤ人」たちに対して、主は改めて、<はっきり言っておく。>、と語り始められます。主イエスが、この表現を用いのは、特に重要なことを明らかに示そうとされる時です。
そこで、第1に示されることは、父なる神に対して子なる神であるということ、そして、子の行う業の全ては父の業に依存するものであり、同一である、ということです。そして、その父と子が1つであることの大いなるしるしは、<命を与える>という業である、と言われます。<20 ・・・ また、これらのことよりも大きな業を子にお示しになって、あなたたちが驚くことになる。21 すなわち、父が死者を復活させて命をお与えになるように、子も、与えたいと思う者に命を与える。>、と。人間に命を与える力を持つ方は、正に神以外にはありません。子なる主イエスが、神としての権能を持っておられることを示されたのです。
扨て、そこで、<24 はっきり言っておく。わたしの言葉を聞いて、わたしをお遣わしになった方を信じる者は、永遠の命を得、また、裁かれることなく、死から命へと移っている。>、と言われます。主イエスの言葉によって、神を信じる者は今既に死から命に移っているのです。それは、<永遠の命>であり、時間によって限界づけられるものではありません。それは、命に満たされて生きること、心の充足・魂の充足・霊の充足の中に生かされることを意味します。それは正に、神と、主キリストとの豊かな交わりという命なのです。
そして、更に<25 はっきり言っておく。>、と言って、<死んだ者が神の子の声を聞く時が来る。今やその時である。その声を聞いた者は生きる。>、と言われます。ここの<死んだ者>は、28節の<墓の中にいる者>のことではなく、<死んだ者>が<神の子の声を聞く時>は、<今やその時である>と言います。つまり、生物としては、生きているのに、死んでいるかのような状態にある者のことです。
ここで、主イエスが示そうとしておられることは、ベトザタの池において起こった出来事に通じます。主イエスのみ声を聞いて、主に出会った人は、死の状態から立ち上がらされました。単に、励まされ、奮い立たされたのではなく、主イエスのみ声に聴き従う者とされ、新しい命を与えられて立ち上がらされたのです。新しい命は、新しい生き方へと導きます。このように、今、神の子の声を聞いて、新しい命に生きることは、やがて訪れる終末における事態を先取りしている、と言うことができます。
そこで、続いて、神の子による裁きについて語られます。<28 驚いてはならない。時が来ると、墓の中にいる者は皆、人の子の声を聞き、29 善を行った者は復活して命を受けるために、悪を行った者は復活して裁きを受けるために出て来るのだ。>、と。併せて読んだダニエル書 第12章に、終末の出来事として、死者の復活について記されています。<2 多くの者が地の塵の中の眠りから目覚める。/ある者は永遠の生命に入り/ある者は永久に続く恥と憎悪の的となる。>、と。
この死人の甦りの描写において、主イエスは、<命を受けるためによみがえ>る者が<神の子の声を聞>き<生きる>者に対応し、<裁きを受け>る者が、神の子の声を聞かない者に対応する、言われます。即ち、「善を行う、悪を行う」とは、「神の子の声に聴き従う、聞かない」ということに対応します。つまり、将来における裁きが、今、神の子の声に聴き従うか否かという形で、現在のこととなっている、と言うのです。主イエスは、神のみ子に聴き従う時は、将来の何時かではなく、「今やその時」なのだ、と決断を迫っておられるのです。
説教一覧(2011年度)
2011.04.03
わたしに従いなさい
2011.04.10
隅の親石
2011.04.17
ぶどう酒になった水
2011.04.24
驚くべき主の御業
2011.05.01
新しき神の家
2011.05.08
神を畏れ、王を敬え
2011.05.15
水と霊とによって生まれる
2011.05.22
永遠の命と裁き
2011.05.29
はじまり
2011.06.05
あの方は栄え、わたしは衰える
2011.06.12
一同は聖霊に満たされ
2011.06.19
神をほめたたえる幸い
2011.06.26
永遠の命に至る水
2011.07.03
まことの礼拝
2011.07.10
その傷によって、あなたがたは癒された
2011.07.17
神の備え給う道
2011.07.24
み言葉を信じて
2011.07.31
あなたはわたしの愛する子
2011.08.07
命の恵みを共に受け継ぐ
2011.08.14
主イエスに力を与えられ
2011.08.21
試みを受けられた主
2011.08.28
神と等しい方
2011.09.04
今やその時
2011.09.11
祝福を受け継ぐ
2011.09.18
主イエスについての証し
2011.09.25
神からの誉れ
2011.10.02
命のパンのしるし
2011.10.09
父である神をたたえる
2011.10.16
わたしだ。恐れることはない。
2011.10.23
苦難と希望
2011.10.30
信じる
2011.11.06
天への凱旋
2011.11.13
キリストの勝利
2011.11.20
短い信仰告白
2011.11.27
朽ちない食物
2011.12.04
主イエスのもとへ
2011.12.11
かつてと今
2011.12.18
主イエスによって生きる
2011.12.25
飼い葉桶の乳飲み子
2012.01.01
去るか留まるか
2012.01.08
神の恵みの善い管理者
2012.01.15
時を支配し給う神
2012.01.22
わたしについて来なさい
2012.01.29
主の真実によって
2012.02.05
主キリストは神の御許から
2012.02.12
勝利を約束されている苦難
2012.02.19
主イエスの行かれる所
2012.02.26
生ける信仰
2012.03.04
主イエスへの態度決定