HOME | 説教 | 説教(2010年度) | 良心に従って

良心に従って

説教要旨( 6月6日 朝礼拝)
ダニエル書 第2章17~23節
ローマの信徒への手紙 第13章1~7節
倉橋康夫

 本日のロマ書 第13章の冒頭に、<人は皆、上に立つ権威に従うべきです。>、とあります。そしてパウロは、<神に由来しない権威はなく、今ある権威はすべて神によって立てられたもの>だ、と言います。驚くべき大胆な発言であり、また権威を託されている者に対する、ラディカルな問題提起、と言うこともできます。
 併せて読んだ、ダニエル書 第2章は、ダニエルが、バビロンの王・ネブカドネツァルの夢解きに際して、捧げた祈りであり、王を立てるのも、王を退けるのも、神のみ旨によるものであることを、告白しています。王の権威は神に由来するものであるとの明快な表明です。問題は、その権威を託された者が、<神に由来する権威>を託された、と自覚しているかどうかが問われる、ということです。その観点が欠落すると、所謂「権威主義」に陥ってしまうのです。
 扨て、そこで、神に由来する権威については、<逆らう者は、神の定めに背くことになり、・・・ 自分の身に裁きを招く>、と言います。ここに、1つの問題が浮かび上がります。それは、本来の権威の所有者である神のみ旨に沿っているかどうか、という問題です。或る人は、「神がそれをお望みにならなくなれば、彼らの権威は権威ではなくなってしまうということ・・・・つまり、自分に独自の権威があるかのように思えば、それは、自分を神の座に置くことになります。また、それを忘れて、権威を尊敬すれば、偶像崇拝となってしまう」、と言っています。つまり、神のみが神であることが第一のことなのです。従って、4節で、権威者は神に仕える者、と2度繰り返して言われます。「なぜなら、彼は神の僕だからである。」(直訳)、と。
 ところで、3節以下では、実際の為政者との関わりについて述べています。<支配者>、<権威者>と言って、政治的に支配する者、具体的にはローマ皇帝を頂点とする支配層を指している、と考えられます。この手紙が書かれた当時(56年頃)、ローマ帝国によるキリスト教徒迫害は未だ起きていませんでした。ローマにおけるキリスト教会の歩みは、始まって間もなく、ローマの教会の実態は、あまり知られていなかったのです。そこでパウロは、支配者、権威者を、神の僕である、と位置づけ、前提として、基本的に従うべきである、と指示します。
 しかし、剣を帯びる支配者・権威者が、主イエス・キリストを十字架につけて、殺した事実を、私たちは思い起こさざるを得ません。主イエスご自身も、<剣を取る者は皆、剣で滅びる>(マタイ26 : 52)、と警告されました。剣を取る者とは、剣に頼る者のことです。そしてまた、主の十字架は、主を十字架につける者の罪を赦す出来事であったことを、私たちは知っています。
 そして、パウロは<権威者は神に仕える者>であるのだから、<良心のために>従うべきである、と勧めます。<良心>とは、「共に見ること」が原意です。神・主キリストが、共に見て下さるのです。ここの<仕える者>の語幹には、礼拝する、の意味があります。福音宣教者という場合にも用いられます。神を礼拝し、神の言葉を伝える者という意味合いを持っているのです。そのような権威者には、<良心のために>従うのです。
 私たちの場合に当てはめるなら、果たすべき義務を果たしつつ、「良心に従って」証しを立てるように、との勧めです。この「良心に従って」ということが、私たちの判断の基準となるのです。「良心に従って」事柄を判別するということは、正に主の十字架の許で、事柄を見ることに他なりません。人間の罪を深く見据えつつ、政治の世界に対しても、あらゆる人間社会のしくみにおいても、主の十字架の恵みを証ししていくのが、私たちキリスト者の歩みなのです。
 

説教一覧(2010年度)

2010.04.04
あの方は復活された
2010.04.11
近くにおられる神
2010.04.18
偽りのない愛
2010.04.25
祝福を祈る
2010.05.02
すべての人と平和に
2010.05.09
子や孫たちにも教えなさい
2010.05.16
復讐からの解放
2010.05.23
聖霊の証印を受けて
2010.05.30
寄留者
2010.06.06
良心に従って
2010.06.13
愛は律法を全うする
2010.06.20
神の子イエス
2010.06.27
今はどんな時か
2010.07.04
主キリストを身にまとう
2010.07.11
あなたは神に出会う
2010.07.18
あなたは何者か
2010.07.25
我らは主のもの
2010.08.01
愛に従って歩む
2010.08.08
神の国は義と平和と喜び
2010.08.15
主こそ神、ほかに神はいない
2010.08.22
神のみ前における確信
2010.08.29
生ける希望
2010.09.05
忍耐と慰め
2010.09.12
逃れて、生き延びる
2010.09.19
望みの源なる神
2010.09.26
神の福音のために
2010.10.03
我らの誇り
2010.10.10
親子
2010.10.17
主が結ぶ契約
2010.10.24
主キリストの祝福を携えて
2010.10.31
過越の小羊
2010.11.07
天の財産を受け継ぐ
2010.11.14
十戒
2010.11.21
自分自身を知る
2010.11.28
平和の源なる神
2010.12.05
主にあって よろしく
2010.12.12
大いなる栄光
2010.12.19
メシアはどこに
2010.12.26
教会から教会へ
2011.01.02
善にさとく、悪には疎く
2011.01.09
栄光が唯一の神に
2011.01.16
あなたの心に留め、語り聞かせる
2011.01.23
初めに言があった
2011.01.30
味わい、見よ、主の恵み深さを
2011.02.06
光の証人
2011.02.13
試みと誘惑
2011.02.20
神によって生まれる
2011.02.27
独り子なる神
2011.03.06
主の道をまっすぐにせよとの声
2011.03.13
神の宝―選ばれた者たち
2011.03.20
この方こそ神の子
2011.03.27
何を求めているのか