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主の言葉を思い出せ

説教要旨(4月12日 イースター礼拝より)
ルカによる福音書 24:1-12
牧師 藤盛勇紀

 世界中を恐れと不安が覆っています。こんな非常事態の中で「イースターおめでとう」と言えば、「こんな時に何がおめでたいのか」と思われてしまうでしょう。しかし、死に曝される恐れや不安の中で、それでもなお「おめでとう」と言えるのは、キリスト者だけ、教会だけです。
 イエス様の死に直面した人々は打ちのめされ、途方に暮れ、生きる意味も失い、暗闇の中でただ手探りするように土曜日を過ごし、日曜日の朝を迎えました。数人の女性たちが、主のご遺体を丁寧に処置して差し上げたい一心で、準備していた香料を持ってイエス様が葬られた墓に急ぎます。
 この後の記述、イエスの復活に関する証言は、多くの人にとっては子供だましのようにしか思えないでしょう。まして、「輝く衣を着た二人の人」、御使い・天使が現れるとなると《いや、ちょっと、付いて行けないよ》となるでしょう。御使いが言う「復活」も、想像もできないし、それを信じるなんて思いも付かないことでしょう。この女性たちも、パニックで引きこもっていた弟子たちや他の大勢の人々も《思いもしなかった》のです。でも、イエス様とリアルに出会ってしまった。だから彼らは証言するのです。主は生きておられる!しかも私たちのために! 聖書はその証言の書です。
 「あの方は生きている」という言葉は現代でも聞かれます。「あの人は私の心の中で今も生きている」と。しかし復活とは、《あの方の思い出》とか《私の心の中に生きているあの方》なんかじゃありません。「体」を持ったあの方と出くわした。だから皆戸惑います。一種のショック状態の彼女たちに向かって御使いは言います、「なぜ、生きておられる方を死者の中に捜すのか。あの方は、ここにはおられない。復活なさったのだ」。あの方は体をもって生きておられる。突然そう言われても信じ難いし、いったい何が言われているのか意味が分からない。しかし御使いは続けて言います。「ガリラヤにおられたころ、お話になったことを思い出しなさい」。イエス様は何ておっしゃってた?人の子は必ず罪人の手に渡され十字架につけられ、三日目に復活することになっている、と言われたじゃないか!
 ハッ!婦人たちは思い出します。御使いは、主の言葉を「思い出せ」と言います。この言葉、イエス様の十字架の場面にも出てきました。一緒に十字架にかけられた犯罪人の一人がイエス様に言った言葉、「イエスよ、あなたが御国においでになるときには、私を思い出してください!」。この死刑囚の言葉と御使いの言葉は同じです。
 イエス様が誰かを「思い出す」とはどういうことか? 主は死刑囚にこう答えられました。「《あなたは》今日《わたしと一緒に》、楽園に《いる》」。主が「思い出す」とは、主が私と共にいてくださること。私はこの方と共にいることです。《主が》私を御心に止め、私を捕らえ、共に生きてくださる。私を決してお忘れにならないこの方が、今生きておられるのです。この方が今働きかけ、語りかけ、私を生かしておられる。リアルな交わりがあることです。それは、主が私に用があるからです。だから《主が》私に、あなたに、出会ってくださるのです。主はあなたにどんな用があるのか? この悩ましい世に対して、主が世を愛し慈しみ、憐れみ、痛みを負い、死を超える命が与えられていることを、あなたを通して証しすることです。この世界もあなたの人生も、絶望で終わるのではない。約束があり祝福があり、導きがあり救いがあるのです。
 主が生きておられるなら、この世のどんなものも、もはや私たちの主ではありません。ウイルスも主ではないし、死も私たちを支配しません。私たちの主は、生きておられる。死そのものがすでに死んでいる。だから、大丈夫だと言えます。イースター、おめでとう!
 

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