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誘惑と戦う武器

説教要旨(8月31日朝礼拝より)
ルカによる福音書 4:1-13
牧師 藤盛勇紀

 悪魔は、救い主としての主イエスの活動を最初のところでつまずかせてしまおうとします。「あなたは神の子、救い主なのだから、こうなさったらいかがですか」との悪魔の誘惑は、「何が本当の救いか」という問題を浮かび上がらせます。
 主イエスは、人間にとって最も辛い飢え渇きの中で、悪魔から誘われます。この世では常に多くの人々が飢えている、この辛くみじめな経験を無くすことが救いではないですか、それが愛の業でしょう、と。
 わかる気がします。「多くの飢えている人々がいるのに、何が信仰か」「信仰だ、祈りだ、礼拝だと、それが何の腹の足しになるか、それよりも生活の困難が無くなる社会に変える働きが先じゃないのか」「ほとんどの人に関心も持たれない伝道なんかに力を注いでどうするのか」。
 こうした、詰め寄るような問いかけが途絶えることはありません。
 悪魔はさらに言い寄ります。「この国々の一切の権力と繁栄を与えよう」。そうしたらその繁栄をどう使うかあなた次第ですよと。さらに、あなたが神の子だと手っ取り早く分かるような奇跡で、一気に証明してみたらどうですかと勧めます。
 主イエスご自身、様々な奇跡を行われ、多くの癒しの業をなさいました。しかしそれは、人に見せるためではありません。だからしばしば「このことを人に言ってはならない」とお命じになりました。神の御子としての救いの業は、十字架と復活によらねばならなかったからです。
 しかし悪魔は、一挙にやるよう勧ます。そうすれば、人々は一気に信じますよと。こうした誘惑も、よく分かります。教会のなす業は、なんと小さく貧しい業でしょうか。しかも遅々たる歩み。伝道の業も、引いては寄せる潮が満ちてくるようにじわじわと満ちてくる。人の目には、とてもじれったい。そこで悪魔は、一気にやったらどうかと誘うのです。
 悪魔は三つの問いかけをし、主イエスもそれぞれに答えられますが、結局は一つだです。主イエスは、聖書の言葉の引用でお答えになるのです。もちろん、ただの思いつきではありません。聖書の民イスラエルは、その苦難、飢え渇きの中で、神に不平をならし神を試みてしまいました。その民を常に導いたのはみ言葉です。だから、たとえば申命記のように、それを決して忘れてはならない経験として繰り返し教え、記そうとするのです。
 もし、み言葉の武器を持たないなら、神以外の力で戦わなければなりませんが、それは、神以外のものに支配されることです。
 主イエスは最後に、「あなたの神である主を試してはならない」という言葉を引用されました。私たちは自分が試みられる時、神を試みようとするのです。「あなたが神なら、こうしたらどうなんだ。こうしてくれるはずでしょう」と。ありそうな言葉です。私たち自身が悪魔と化すときです。
 悪魔は、主イエスの答えを聞いた後、「時が来るまでイエスを離れ」ました。初めのところで失敗したので、最後の時に決戦というわけです。その時は、主イエスの十字架への道が決定的になる時です。「十二人の中の一人で、イスカリオテと呼ばれるユダの中に、サタンが入った」(22:3)。
 主イエスがもたらす救いの決定的なみ業は、主の十字架の死です。悪魔は、十字架と救いとを切り離したいのです。「十字架につけられた者など救い主ではない」「そんなものは救いなどではない」と。
 イエス様が十字架につけられた時、悪魔と同じ言葉で人々から罵られました。「お前が神の子なら、自分を救ってみろ。十字架から降りてみろ」。しかし、主イエスは降りられません。「あなたの神である主を試してはならない」。まさにここに、神の勝利があり、私たちのための救いの道、命の道が開かれたのです。
 

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