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神の国の秘密

説教要旨(3月29日朝礼拝より)
ルカによる福音書 8:4-18
牧師 藤盛勇紀

 「種まきのたとえ話」は、「本当にそうだ」と実感の湧く、その意味で分かりやすい話です。伝道の労苦はキリスト者であれば誰でもそれなりに味わっています。「ざるで水をすくうようだ」とも言われるほど、無駄骨や回り道と思われることが多く、人からは愚かしいと見えるものです。
 しかしそのような人生に、主から召されている、この事実こそが幸いです。人には愚かと見える人生だとしても、主がそこに招いてくださっているのです。「忍耐して一緒に種を蒔こう。豊かな実りがある。それは確かに現れるのだ」と。「神の国の秘密」は、こうして主と私たちが一つに結ばれて生きること、その命に他なりません。
 伝道の労苦や困難は、主イエスご自身が痛いほど知っておられます。いや、死んでしまわれるほどに知っておられました。み言葉を悟り、神の国を知ることが、いかに難しいか。知恵や知識が足りないのではありません。学び続けていれば悟ることができる、というものでもありません。
 このたとえ話は、その困難についても語っています。しかし、それにもかかわらず、主ご自身は種を蒔かれます。そして、大きな実りについて約束をしておられるのです。伝道は「百年の計」。数十年労したけれども実りがなかった。しかしそれで失敗ではないのです。たとえ一人も信仰に導けなかったとしても、それでお終いでもありません。伝道は神の国に至る神の業ですから、人の一生はその1頁にもなりません。いや、記録されなくてもよいのです。記録に残らない人たちの働きによって教会の歴史は織りなされ、伝道は実を結びます。その約束の中に、主が招いておられます、「大声で」、「聞く耳のある者は聞きなさい」と。
 種蒔きのたとえについて、主は改めてその意味を説かれ、始めにはっきりとこう言われました。「種は神の言葉である」。ところが、いつの間にか、種を蒔かれた人たちの話になっています。
 「種」は確かに蒔かれ、どんな土地にも落ちています。つまり、神のみ言葉が語られたなら、そのみ言葉を聞いた人は、どんな反応を示そうが、その人の中に入っているのです。神の言葉という種は蒔かれた。それを成長させるのか、枯らしてしまうのか、その人に委ねられています。神は私たちを信頼して、み言葉を委ねられ、ご自身を委ねておられます。父なる神が、神の言葉そのものである独り子を世にお遣わしになられたようにです。神は、人間を信頼しておられます。そこに神の自己犠牲があります。だから、神の言葉でもあられるキリストは十字架につけられるのです。
 しかし、この神の信頼に、応えて、受け入れる者、つまり神の言葉の種を受け入れた土地となった人は、その人が今度は、「種を蒔く人」へと変えられます。み言葉の種となるのです。こうして、種と蒔かれた土地は一体となります。
 蒔かれた種が無にされたり、枯れたりする。その現実も私たちは知っています。その中で、「実を結ぶ人たち」とはどういう人でしょうか。「立派な良い心でみ言葉を聞き」とはいかにも優等生的なイメージですが、何が立派で良いのかというと、神の言葉を神の言葉として聞くということに尽きます。そのみ言葉はその人の内で「福音」となります。そこに「悔い改め」が起こります。神へ向き直り神に立ち帰るのです。それは、赦しの恵みと神の愛によって捕らえられる喜びの経験です。そこに「神の国」が来ています。
 み言葉を「よく守り、忍耐して実を結ぶ」とありますが、「守る」とは保持すること、み言葉を捨てないで、大事に持つことです。そうして私たちが神のみ言葉に生かされ続け、み言葉と一つとなって、私たちの人生、私たち自身が言わば神のみ言葉となる。こうして「神の国の秘密」が現れ出るのです。
 

説教一覧(2014年度)

2014.6.1
目を留めてくださる神
2014.6.8
地の果てに至るまで
2014.6.15
新しい喜び
2014.6.22
あなたを訪ねる王
2014.6.29
「できれば」と言うのか
2014.7.6
天使のメッセージ
2014.7.13
あなたはどこにいるのか
2014.7.20
今こそ、安らかに
2014.7.27
私のいるべき場所
2014.8.3
主の道を整えよ
2014.8.10
洗礼を受ける主
2014.8.17
主よ、しかし
2014.824
神に至る道
2014.8.31
誘惑と戦う武器
2014.9.7
実現する聖書の言葉
2014.9.14
実を結ぶ神の言葉
2014.9.21
力あるみ言葉
2014.9.28
町々を巡る主イエス
2014.10.5
み言葉が差し込む
2014.10.12
疲れた者に力を
2014.10.19
大胆に主に近づこう
2014.10.26
罪人を招く主
2014.11.2
もう泣かなくてよい
2014.11.9
右の手を取ってくださる主
2014.11.16
新しい喜び
2014.11.23
命に与る安息日
2014.11.30
主イエスの祈り
2014.12.7
幸いなるかな
2014.12.14
マリアの救い
2014.12.21
見よ、救いのしるしを
2014.12.28
地に届く天の光
2015.1.4
その方の星を見よ
2015.1.13
神の子とする霊
2015.1.18
心に逆らう愛
2015.1.25
主イエスを信じなさい
2015.2.1
土台の上に建てる
2015.2.8
痛みを伴う愛
2015.2.15
ただ一言に賭ける
2015.2.22
来たるべき方が来た
2015.3.1
歌え、神の国の歌を
2015.3.8
主イエスの言葉を思い出して
2015.03.15
安心して行きなさい
2015.3.22
主に仕える旅
2015.3.29
神の国の秘密