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地に届く天の光

説教要旨(12月28日朝礼拝より)
ルカによる福音書 2:22-38
牧師 藤盛勇紀

 シメオンが見た「救い」は、「万民のための救い」で「異邦人をも照らす」というのです。そのような救いは、神の国イスラエルを再建してくれるメシアを待望していたユダヤ人にとっては、想像もしたことがなく、到底受け入れることもできません。
 乳飲み子イエスを腕に抱いたシメオンが見ている救いは、全世界的で、普遍的で、すべての歴史を覆うような救いでした。天地創造から今まで、そして世の終わりまでを覆う、途方も無く広く深い憐れみの神の救いです。言わば、神の救いのご計画の全貌を見ているのです。このヴィジョンは、途方もないことです。おそらく、シメオン自身、想像もしなかったことでしょう。
 しかしなぜ、シメオンはそこまで見えたのか、そもそもなぜシメオンは、この貧しい乳飲み子が救い主メシアだと分かったのでしょうか。それは「聖霊」によります。
 みすぼらしい物乞いの姿をしている王がいたとしたら、あるいは人から見捨てられ虚仮にされている王がいたなら、それを誰も王だとは信じないように、「あのイエスがキリストである」と信じるのは、人間には不可能なことです。馬小屋で生まれ、飼い葉桶に寝かされた乳飲み子を誰も救い主だなどとは信じられません。最終的に十字架の上に捨てられるように死んだ人を、「生ける神の子キリスト」だなどと信じることはあり得ません。
 にもかかわらず、信仰が起こされます。シメオンは、幼子イエスにキリストを見ました。それは、神の霊、キリストの霊である聖霊のお働きによるのです。
 「聖霊によらなければ、だれも『イエスは主である』とは言えないのです」(1コリント12:3)とある通り、「イエスは主なり」との信仰は、奇跡なのです。シメオンに起こったことは、いま自分が腕に抱いている乳飲み子と永遠なる神の御子が結びついたという、途轍もないことです。だから、御子イエスの十字架の死をも、すでに見ているのです。
 黙示録に、「天地創造の時から、屠られた小羊」という言葉があります。洗礼者ヨハネも言った「世の罪を取り除く神の小羊」を、シメオンはイエスに見ているのです。
 聖霊の働きというのは、途轍もなく大きく広いのです。あの羊飼いたちに救い主誕生を知らせた天使の飛翔どころではありません。聖霊は、神ご自身とこの地の私たちを直接結びます。
 私たちの内に注がれた聖霊は、御子と御父を証しして下さいます。そして、私たちをキリストと結びつけ、神の子であるこを分からせてくださいます。だから私たちは、聖霊によって、主イエスと共に神を「アッバ、父よ」と呼びます。
 驚くべきことが、もう始まっているのです。聖霊は、父なる神の霊でありまたキリストの霊です。聖霊によって私たちは、「御国を来たらせたまえ」と祈り、「御心の天になるごとく地にもなさせたまえ」と祈ることができます。
 一見、この世界は混乱し、意味も目的もなく破滅に向かってるとしか思えない様相をも呈しています。しかし、この世界は神の救いの舞台であり、救いの歴史なのです。私たちそれぞれの人生もそうです。この世も私たちの人生も、生きるに価します。
 聖徳太子は「現世虚仮(こけ)」と言いました。しかし私たちは、この世を「虚仮」にしません。この世界は無駄ではなく、妄念妄想の虚の世界でもなく、神の御子が肉をとられたほどに愛された世界です。
 だから、どんなに暗さが増しているように見えようとも、希望を持って生きてよいのです。新しい年を、主の2015年として迎えます。そのように年を数えることができるとは、なんと幸いなことでしょうか。私たちは、すでに唯一の慰めと希望とを与えられた者として迎えるのです。
 

説教一覧(2014年度)

2014.6.1
目を留めてくださる神
2014.6.8
地の果てに至るまで
2014.6.15
新しい喜び
2014.6.22
あなたを訪ねる王
2014.6.29
「できれば」と言うのか
2014.7.6
天使のメッセージ
2014.7.13
あなたはどこにいるのか
2014.7.20
今こそ、安らかに
2014.7.27
私のいるべき場所
2014.8.3
主の道を整えよ
2014.8.10
洗礼を受ける主
2014.8.17
主よ、しかし
2014.824
神に至る道
2014.8.31
誘惑と戦う武器
2014.9.7
実現する聖書の言葉
2014.9.14
実を結ぶ神の言葉
2014.9.21
力あるみ言葉
2014.9.28
町々を巡る主イエス
2014.10.5
み言葉が差し込む
2014.10.12
疲れた者に力を
2014.10.19
大胆に主に近づこう
2014.10.26
罪人を招く主
2014.11.2
もう泣かなくてよい
2014.11.9
右の手を取ってくださる主
2014.11.16
新しい喜び
2014.11.23
命に与る安息日
2014.11.30
主イエスの祈り
2014.12.7
幸いなるかな
2014.12.14
マリアの救い
2014.12.21
見よ、救いのしるしを
2014.12.28
地に届く天の光
2015.1.4
その方の星を見よ
2015.1.13
神の子とする霊
2015.1.18
心に逆らう愛
2015.1.25
主イエスを信じなさい
2015.2.1
土台の上に建てる
2015.2.8
痛みを伴う愛
2015.2.15
ただ一言に賭ける
2015.2.22
来たるべき方が来た
2015.3.1
歌え、神の国の歌を
2015.3.8
主イエスの言葉を思い出して
2015.03.15
安心して行きなさい
2015.3.22
主に仕える旅
2015.3.29
神の国の秘密