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あなたを訪ねる王

説教要旨(6月29日朝礼拝)
マルコによる福音書9:14-29
伝道師 上田真由美

 ある日、父親が汚れた霊に取りつかれた子を連れてきました。弟子たちは、この汚れた霊を追い出すよう頼まれたのですが、できませんでした。主が一緒にいてくださらなければ、どうしてよいか分からず、自分たちの力では何もできない、ということを弟子たちは思い知ったことでしょう。
 そこに、み姿を変えられた山から下りて来られた主が、この父親を呼んで、病の事情をお聞きになりました。父親はそれに答えた後、「おできになるなら、私どもを憐れんでお助けください」と頼みました。すると主は、「『できれば』と言うのか」と注意をなさったのです。なぜでしょうか。
 「できれば治していただきたい」。これは神に助けを求めているようであって実は、「神には治すことがおできにならないかもしれない」という疑いが潜んでいる。だから、注意をなさった。この注意は、「神であるわたしを、あなたは本当に神としていますか」という問いかけなのです。
 私たちも、「あなたにはおできになります」という神のみ力への確信をもった祈りをしないで、「あなたにはできないかもしれません」という不信な祈りをしています。
 神にできないことがあり得るというこの不信の正体は、自分が主人になっているということです。神ご自身がお働きになることを認めようとせず自分で自分や他者を支配すること、自分や他者の未来も神の御手の中にあることを認めないことです。
 人は自分を主人にしていると、神を神とすることができないのです。神にこの身を任せることができないのです。そして、病など困難なことにぶつかると、自分の力ではどうにもならないということを知ります。
 しかしそういう時も、「できれば治していただきたい」というように、神ならおできになると思わないで、やはり自分を主人にするのです。
 主は、そのような愚かな私たち人間をあきらめないで、なお愛おしまれ、神を神とする本当の信仰の姿へと導き入れようとしてくださる。だから、「『できれば」というのか』と本気で迫って来てくださるのです。
 「『できれば』というのか」。こう言われて、この父親はどうしたでしょうか。「信じます、不信仰な私をお助けください」と叫びました。この父親のように、自分の信仰の力が足りないことを言い表すことは、自分に神への信頼が全くない、ということではないでしょう。神への信頼がない時には、自分の無力さを言い表すことはできないからです。
 不信仰を言い表し、わが子の癒しのために「信じます」と主に任せるこの言葉に偽りはない。しかし、「信じます」と言っているのは不信仰な自分。矛盾しています。
 しかし主は、この不完全な信仰をお喜びになって、他者の救いという最高のみ業にお用いになりました。主への信頼を言い表すことによって、この父親自身もはじめて救われたでしょう。
 人が立ち上がる。そのために生きて働かれる救い主のみ力を信じ、ただ従っていく。それが、神と人との関係であり、本当に主と一緒にいるということになります。
 今を生きる私たちは、あのキリストを知っています。人を何の功績にもよらず愛し赦して、人の罪と死を代わりに引き受け命を与えてくださるキリストは、愛において決して惜しみない全能なるお方だから、信頼に足るお方だと確信し同時に、この身のすべてを任せることができるのです。
 神への全き信頼をもった人というのは、「自分にはできないが、神あなたならできますから癒してください」という神のみ力への確信にとどまらず、「しかし、癒されるかどうかはあなたにお任せするほかはない」という神のみ心への謙遜というところにまで引き上げられていくのです。
 

説教一覧(2014年度)

2014.6.1
目を留めてくださる神
2014.6.8
地の果てに至るまで
2014.6.15
新しい喜び
2014.6.22
あなたを訪ねる王
2014.6.29
「できれば」と言うのか
2014.7.6
天使のメッセージ
2014.7.13
あなたはどこにいるのか
2014.7.20
今こそ、安らかに
2014.7.27
私のいるべき場所
2014.8.3
主の道を整えよ
2014.8.10
洗礼を受ける主
2014.8.17
主よ、しかし
2014.824
神に至る道
2014.8.31
誘惑と戦う武器
2014.9.7
実現する聖書の言葉
2014.9.14
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2014.9.21
力あるみ言葉
2014.9.28
町々を巡る主イエス
2014.10.5
み言葉が差し込む
2014.10.12
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2014.10.19
大胆に主に近づこう
2014.10.26
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2014.11.2
もう泣かなくてよい
2014.11.9
右の手を取ってくださる主
2014.11.16
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2014.11.23
命に与る安息日
2014.11.30
主イエスの祈り
2014.12.7
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2014.12.14
マリアの救い
2014.12.21
見よ、救いのしるしを
2014.12.28
地に届く天の光
2015.1.4
その方の星を見よ
2015.1.13
神の子とする霊
2015.1.18
心に逆らう愛
2015.1.25
主イエスを信じなさい
2015.2.1
土台の上に建てる
2015.2.8
痛みを伴う愛
2015.2.15
ただ一言に賭ける
2015.2.22
来たるべき方が来た
2015.3.1
歌え、神の国の歌を
2015.3.8
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2015.03.15
安心して行きなさい
2015.3.22
主に仕える旅
2015.3.29
神の国の秘密