ホーム | 説教 | 説教(2014年度) | 来たるべき方が来た

来たるべき方が来た

説教要旨(2月22日朝礼拝より)
ルカによる福音書 7:18-23
牧師 藤盛勇紀

 ヨハネはいま牢獄の中ですが、主イエスのお働きについて、弟子たちを通して詳しく報告を聞いていました。なのに、なぜヨハネは改めて尋ねさせたのでしょうか。「来るべき方は、あなたでしょうか」。
 ヨハネはこの世の王の権力の前に露と消えていくかもしれない。だからこそ、真の王、救い主ご自身から、「確かにわたしだ」と言ってほしかったのではないでしょうか。そのお方ご自身のお言葉が欲しいのです。
 主イエスも、ヨハネの問いをしっかり受け止めてくださいました。「あなたがたが見たままのことを、見聞きしているそのままを、ヨハネに伝えなさい」。
 ところが、なぜか主イエスは、最後にこういうひと言を付け加えられました、「わたしにつまずかない人は幸いである」。
 「つまずき」というのは、キリスト者はしばしば耳にし口にもすることですが、「何の不安もなく信仰生活を歩んでいる」と本人も周囲も思っていた、まさに思いがけないところで、ふいに足をとられるようにつまずきます。一瞬の出来事です。
 つまずいた本人は、自分をつまずかせたものを恨みます。「なんでこんなことを」「どうしてあんな人が」と人の責任を問い、「あの人につまずいた」と言うのです。つまずいた本人は、もう自分の罪のことは目に入りません。それどころか、自分を憐れんで人を裁くのです。そして、「あの人につまずいた。あの人が悪い」という言葉で自分の罪を正当化してしまう。だから、つまずきは本当に恐ろしいのです。
 主イエスは、「わたしにつまずかない人は幸いである」と言われます。人が「つまずいた」と言うとき、実は、キリストにつまずいているのです。「なんでこんなものが」と怒り、「なんであんなクリスチャンがいるのか」「どうしてあんな人を許しているのか」と、結局は神を糾弾し、キリストを蹴飛ばしているのです。
 なぜそんなことが起こるのでしょうか。その人なりの救いのイメージが出来上がってしまっているからでしょう。「こうあるはずだ」「こうあるべきだろう」と。それに適わない救いや、それをかなえてくれない救い主には、我慢ならなくなるのです。
 それにしても、どうして主イエスはヨハネに警告なさったのでしょうか。ヨハネは確かに、主イエスの力ある御業について聞いています。しかし、ヨハネ自身は、捕らわれたままで、そこから救い出されるわけでもないのです。言わば「救いの無さ」の中に留め置かれて、あっけなく殺されます。
 もし、私たちがヨハネのような状況に置かれたとしたら、「どうしてこの私には何の助けも無いのか」「多くの人を救ったのに、この私を救ってくれないのか」と言いたくなるのでしょう。だから主は警告なさるのです。
 そして、本当のつまずきの危険は、さらにその先にあります。全ての人がつまずかずにはおれないつまずきです。それは主イエスの十字架です。救い主は十字架につけられたお方だ、ということです。救い主のお姿は何と、人からも神からも見捨てられたお姿になる。ここにつまずきがあります。
 しかし、「わたしにつまずかない人は幸いである」。このお言葉は、警告であると同時に、私たちへの招きでもあります。「あなたは今、苦しみの中にある。疑いたくなる試みを受けているかもしれない。人が羨ましく見える。あるいは、自分で作った救いのイメージと現実のギャップに苛立っている。自分が期待したものが得られない絶望感を味わう。しかし、『来るべきもの』はこの私なのだ。あなたには私が必要なのだ。私につまずかない人は幸いだ」。
 このお方に信頼するなら、その人には、主ご自身が来ておられ、主がその人を捕らえてくださっているのです。
 

説教一覧(2014年度)

2014.6.1
目を留めてくださる神
2014.6.8
地の果てに至るまで
2014.6.15
新しい喜び
2014.6.22
あなたを訪ねる王
2014.6.29
「できれば」と言うのか
2014.7.6
天使のメッセージ
2014.7.13
あなたはどこにいるのか
2014.7.20
今こそ、安らかに
2014.7.27
私のいるべき場所
2014.8.3
主の道を整えよ
2014.8.10
洗礼を受ける主
2014.8.17
主よ、しかし
2014.824
神に至る道
2014.8.31
誘惑と戦う武器
2014.9.7
実現する聖書の言葉
2014.9.14
実を結ぶ神の言葉
2014.9.21
力あるみ言葉
2014.9.28
町々を巡る主イエス
2014.10.5
み言葉が差し込む
2014.10.12
疲れた者に力を
2014.10.19
大胆に主に近づこう
2014.10.26
罪人を招く主
2014.11.2
もう泣かなくてよい
2014.11.9
右の手を取ってくださる主
2014.11.16
新しい喜び
2014.11.23
命に与る安息日
2014.11.30
主イエスの祈り
2014.12.7
幸いなるかな
2014.12.14
マリアの救い
2014.12.21
見よ、救いのしるしを
2014.12.28
地に届く天の光
2015.1.4
その方の星を見よ
2015.1.13
神の子とする霊
2015.1.18
心に逆らう愛
2015.1.25
主イエスを信じなさい
2015.2.1
土台の上に建てる
2015.2.8
痛みを伴う愛
2015.2.15
ただ一言に賭ける
2015.2.22
来たるべき方が来た
2015.3.1
歌え、神の国の歌を
2015.3.8
主イエスの言葉を思い出して
2015.03.15
安心して行きなさい
2015.3.22
主に仕える旅
2015.3.29
神の国の秘密