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幸いなるかな

説教要旨(12月7日朝礼拝より)
ルカによる福音書 6:20-26
牧師 藤盛勇紀

 主イエスは、貧しさ悲しさの中にある人に「あなたがたは幸いだ、幸いだ」と、畳みかけるように祝福を告げておられます。
 22節ではこう言われます、「人々に憎まれるとき、また、人の子のために追い出され、ののしられ、汚名を着せられるとき、あなたがたは幸いである。その日には、喜び踊りなさい」。
 この言葉は初代の教会の人々にとっては、切実な意味を持つ言葉でした。初代キリスト者たちは、ユダヤ人たちと一緒に会堂で礼拝し、交わりを持っていました。しかし次第に明らかになってくるのです。十字架につけられたイエスをキリストだとか神の子だと信じる異様な連中がいる。そして言われます、「お前もそうなのか」と。
 キリスト者たちは同胞から疎まれ憎まれ、ののしられ、汚名を着せられて共同体から追い出されてしまう。それが事実として起こっているのです。
 しかし主は、「その日には、喜び踊れ」と言われます。もし、親しい人たちとの交わりから追い出されるような目に遭ったとしたら、喜べますか? 隣人からののしられ、誤解と憎しみの内に追いやられる。どうしてそれに耐えられるのでしょうか。「私は何も悪くないのに、あの人たちがおかしい」と、恨みをぶつけたくなるでしょう。あるいは「私にはやましいところはないし、私が正しい」と、自分の正義を頼りに乗り越えるのでしょうか。しかし、そこには喜びなどありません。幸いがありません。
 主が言われる幸いは、私たちが自分で自分の内に見出すものではありません。祝福は私たちの外から来ています。主から告げられているのです。
 私が貧しい時、飢えている時、泣いている時、親しい者たちから追われる時、当然ながら私の内に喜びはありません。しかし主が、「そのあなたは幸いだ」と言われるのです。「喜び踊れ」と言われるのです。この御言葉を、どう聞きますか。
 一方主イエスは、富んでいる人、満腹している人、笑っている人は「不幸だ」と言われました。そう言われると不安になったり動揺したりしそうです。「いったい私はどっちなんだろうか」と自問自答を始め、悩みます。しかし自分で問うて、どちらなのかが分かるでしょうか。
 聖書の中で、富んでいる人と言えば、どういう人でしょうか。5章に、徴税人のレビがイエス様から「わたしに従いなさい」と召され弟子にされた記事がありました。19章では、ザアカイの話も出てきます。彼らは富める者の代表のような人たちです。しかし主は彼らに目をとめ、彼らを訪ねて、弟子としてお招きになったのです。「何を、いくら持っているか」は、問題ではないようです。では、何が違うのでしょうか。
 「幸いだ」と言われている人は、それを主の祝福と約束として聞いています。「天には大きな報い」があります。ところが、富んでいる人は、すでに富んでいること自体によって、今慰めを受け満ち足りてしまっています。もう済んでいる。だから天などに期待もしないし、神様からの報いなど、思いもしません。
 貧しい者たち、泣いている者たちは、主から聞いています。主の約束があります。幸いだというのは、「あなたがたは幸いだ」と言われる主のお言葉を、この私が主から聞いているからです。主の約束を聞いて、実際に自分を幸いな者として、祝福されたものとして見出している。だから喜んで、自分も祝福を告げる者として生き始めるのでしょう。
 そのように、貧しい者、泣く者を祝福し、約束を与えてくださる主が、今生きておられ、聖霊によって今私たちと共におられます。だから、今年もアドヴェントを過ごしながら、主が再び来られるのを待ち望むのでしょう。
 

説教一覧(2014年度)

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2014.7.6
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