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あなたの怒りは正しいか

説教要旨(10月27日 朝礼拝より)
ヨナ記 4:1-4
伝道師 杉山悠世

 本日の題は決して、「怒りという感情が悪い」、「怒ってはいけない」というのではありません。注目する事はなぜ怒り、怒りによってどのようになっているかという事です。神さまの怒りについて言えば、ヨナが嵐の海で魚に飲み込まれた出来事に表れています。あれは神さまの怒りによって起こされた嵐ですが、神の怒りは、怒りとして表されるためではなく、人間を悔い改めさせるために用いられるものでもあります。神の怒りによって起こされた嵐は、ヨナが断絶した神さまとの関係を回復するためでした。「私を離れて生きる事は不可能な事なのだ」と示される神さまの愛だったのです。
 
 神の言葉が聞かれ、人々が悔い改めに導かれた。これは預言者として喜ぶべき瞬間ですが、ヨナはニネベに対する神さまの赦しに不服でした。どうしてヨナはまたもや頑なになってしまったのでしょうか。一つは彼らが異邦人であったから。もう一つは彼らがイスラエルの民を虐げる者たちであったからです。また、預言が実現されなかった事で、ヨナは偽預言者のレッテルを張られて非難されたかもしれません。異教の神々を祀っていたニネベの人々は、一時は悔い改めてもしばらくして彼らを悔い改めによって赦された神の事をすっかり忘れてしまうかもしれません。
 複雑な思いがヨナの中に渦巻いていたでしょう。ヨナを預言者としての任務に執拗に追い立てた神さまに、「敵国への裁きを実行される」と期待していたかもしれません。「ヨナにとってこの事は大いに不満であった」と言う言葉は、ギリシャ語訳聖書では「ヨナは大いに悲しみ、困惑した」とされています。悲しみと怒りでは全く違ったものだと思われるかもしれません。けれども、怒りと悲しみは切り離せるものでも相いれないものでもありません。怒りの根源は悲しみだからです。預言が実現されなかった悲しみ。イスラエルを苦しめてきた人々に神さまが報いてくださらなかった悲しみ。また、その事によってこの先もイスラエルが支配されるという現実が変わらない悲しみ。ヨナは決して個人だけの感情で怒っているのではないのです。イスラエルの民のこれからも変わらない、苦しみと抑圧の生活を思って、怒っているのです。だからこそ「生きているよりも死ぬ方がましです」と言うのです。「異邦人なんかと、イスラエル人を苦しめてきたやつらなんかといっしょに同じように扱われたくない」と言う思いが彼を歪めてしまったのです。神さまから選ばれた民として生きる事が、ニネベの人々と同じ恵みの中にある事だというならば自分はそこから出て行って死んだ方がましだというのです。きっと、4:2節以下の言葉は神さまから逃亡したときすでにヨナの心にあった思いだったのでしょう。ヨナの怒りは積み重なった不満の結果なのです。
 
 そんなヨナに神さまは「あなたは私の恵みではなく怒りの中に満足か」とヨナに問いかけているのです。一見して会話が成り立っていないようですが、これが神さまのお答えです。はぐらかされているようにも、黙しておられるようにも取れます。ヨナの怒りと悲しみ、ヨナの問への神さまの沈黙は「わが神、わが神、どうして私をお見捨てになったのですか」と言う十字上のイエスさまの言葉を思い起こさせます。けれども、真に忍耐してこられたのは神さまなのです。救いの外側にいたはずの私たちも、神さまが忍耐して与えてくださった御子イエス・キリストの死と十字架の復活によって神の恵みに与ってるのです。私たちの望む真実ではなく、神さまの真実に留まるならば神さまから引き離そうとする力から私たちは自由になるのです。怒りに身を委ねず、神さまの恵みの中に留まり、神さまに身を委ねましょう。
 

説教一覧(2019年度)

2019.4.7
神の愛の怒り
2019.4.14
正しい者は一人もいない
2019.4.21
私があなたと共に行く
2019.4.28
起きて神を呼べ
2019.5.5
行いによらず、恵みによって
2019.5.12
信仰によって現実を生きる
2019.5.19
イエスの血による贖い
2019.5.26
価を払わずに得よ
2019.6.2
父祖アブラハム
2019.6.9
聖霊の力を受けて
2019.6.16
神さまから与えられた家族
2019.6.23
主にある救い
2019.6.30
望み得ないときの望み
2019.7.7
希望は生まれる
2019.7.14
賛美の湧き出る泉
2019.7.21
神との和解
2019.7.28
罪人を愛する神
2019.8.4
神を誇る
2019.8.11
アンバランスな恵み
2019.8.18
恵みは満ちあふれる
2019.8.25
第二のスタート
2019.9.1
死から生きる
2019.9.8
上を見て生きる
2019.9.15
神から派遣されて
2019.9.22
賜物としての命
2019.9.29
きっぱりと捨てよう
2019.10.6
まず砕かれてこそ
2019.10.13
時が迫っているから
2019.10.20
絶望から生まれた信頼
2019.10.27
あなたの怒りは正しいか
2019.11.3
肉に死に、霊に生きる
2019.11.10
祈りの動機
2019.11.17
私たちは神の子
2019.11.24
神の子とされて
2019.12.1
神の子らよ現れよ
2019.12.8
祈れない時にも
2019.12.15
万事が益となる
2019.12.22
人となった神
2019.12.29
神の主権と深い愛
2020.1.5
神が味方ならば
2020.1.12
宿命をも破る主
2020.1.19
決して離さぬ愛
2020.1.26
神の友になりなさい
2020.2.2
愛されている確信
2020.2.9
主にあって
2020.2.16
同胞のための冒険
2020.2.23
血よりも濃く
2020.3.1
神の不思議な選び
2020.3.8
イエスを主とする仲間
2020.3.15
神の怒りと憐み
2020.3.22
生きて残された者
2020.3.29
救いは向こうから来る