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肉に死に、霊に生きる

説教要旨(11月3日 朝礼拝より)
ローマの信徒への手紙 8:1-11
牧師 藤盛勇紀

 「霊」と「肉」という言葉が何度も出てきました。日本語で「霊」というと、ちょっと不気味なもの。「肉」も、何か生々しく気持ち悪いものに感じられます。しかし、聖書が「肉」というのは、生まれながらの自然な人間の生き方、すなわち創造主を知らず、存在の根拠である方と無関係に生きる在り方のことです。
 1節、「従って、今や、キリスト・イエスに結ばれている者は、罪に定められることはありません…」とあります。パウロは7章で罪の問題を語ってきて、自分の内に住んでいる罪を自分ではどうすることもできない惨めさ、救いようのなさを赤裸々に告白しました。なのに、「従って今や、キリスト・イエスに結ばれている者は、罪に定められることはありません」と言うのです。
 7章から8章にかけて、何かが根本的に変わっています。それが分からないと、ここはつながりません。何が変わっているのか? それは、《死に定められた私が、新しい人になっている》ということです。
 6章でこう言われていました。「わたしたちの古い自分がキリストと共に十字架につけられた」、そして今や、新しい命に生きているのだと。具体的には、洗礼によってキリストに結ばれたことです。ところが、自分の現実を見れば、新しい命に生きているというより、古い自分のままにしか思われない。それは、今生きている生身の体としての「肉」があり、その肉に焼き付けられた生き方があるからです。
 生まれながらのありのままの私。「罪の法則」に仕えている、神無しに生きている私。どこから来てどこへ行くのか分からない私。命の源、造り主から離れてしまっているので、自分で自分を処理するしかない私。そんな私を動かしているのが私の「魂」です。
 「魂」は「霊」とは違います。「魂」はいわゆる「知・情・意」、精神です。生まれながらの魂は神を受け入れず、神と切れて、霊的には死んでいる。それが「古い私」、魂で生きる人間、肉なのです。この「古い私」はキリストと共に死んだのだと聖書は言いますが、体は主がいないまま生きています。まるで客の乗っていないタクシーのように、行き不明のまま、流すだけです。
 しかし、「神無し」の魂に神の命の息吹が吹き込まれた。それが「霊」です。パウロは言います、「キリスト・イエスによって命をもたらす霊の法則が、罪と死との法則からあなたを解放したのです」。この霊的現実を、肉が邪魔をします。「肉と霊」との対立・葛藤です。この葛藤からどう出て行けるのか? 実は、洗礼を受けてキリストと結ばれたなら古い自分から新しい自分へ、新しい命への置き換え、古い生き方のパターンの書き換えが始まっているのです。
 だから、古い自分の自然の魂しがみつくのでなく、手放すべきなのです。「自分の命を得ようとする者はそれを失う」と主は言われました。「命」とは原語では「魂」です。「肉に従って歩む者は、肉に属することを考え、霊に従って歩む者は、霊に属することを考えます」とあります。キリスト者はよく「委ねて歩む」と言いますが、「委ねる」とは、主の御言葉と霊に積極的に「従っていく」ことです。
 9節には「キリストの霊を持たない者は、キリストに属していません」とあります。自然の人間の魂は、おぼれている人のようなものです。闇雲に自分で自分を引き上げようとし、藁をも掴もうとしますが、決して浮き上がることはできません。しかし、そんな私たちを引き上げてくださるのが命の主、キリストです。
 キリストの霊を「持つ」とは、私がキリストによって「持たれて(捕らえられて)いる」ことです。だから自分の魂にしがみつかず、主の霊に明け渡す。すると、主の霊が私の魂を捕らえ、照らし、作り替えて立て直し、潤し生かしてくださるのです。
 

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