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血よりも濃く

説教要旨(2月23日 朝礼拝より)
ローマの信徒への手紙 9:6-9
牧師 藤盛勇紀

 「イスラエルから出た者が皆、イスラエル人ということにはならず、また、アブラハムの子孫だからといって、皆がその子供ということにはならない。かえって、『イサクから生まれる者が、あなたの子孫と呼ばれる。』 すなわち、肉による子供が神の子供なのではなく、約束に従って生まれる子供が、子孫と見なされるのです」。
 驚くべき言葉です。聖書が語る人間のつながり・人としての関係の確かな根拠は、《血のつながりではない》ということです。人間という存在のつながりに意味があるとすれば、それは《神の約束》に基づくつながり、つまり《神の意志に基礎を持つつながり》であって、言い換えれば《愛によるきずな》、心的な精神的なつながりです。
 日本の皇室が一つの危機に直面していることからも分かりますが、《血のつながり》は自然によって固定され、一定の関係以上には拡がりません。キリスト教的、近代的な一夫一婦制のもとでは、男系を永久的に維持するのは不可能でしょう。
 ある牧師は5人のお子さんを育てました。端から見ていても厳しい生活でしたが、そのさ中、さらに里子をもらうことを真剣に考えておられ、驚かされました。もらわれて来た子が成長すれば、自分の親は血のつながりがないことをいつか知ります。その時、自分の存在の意義が揺らぐというということもあると思いますが、自分がどのような愛と希望の中に迎えられ、育てられてきたのかを知っているならば、自分の存在を喜びや感謝の内に受け入れるでしょう。
 そのためには、血のつながりよりも高次のつながりを知っていなければなりません。私たちを造り存在させ、生かしてくださった神に由来する愛が必要です。動物ならば自然にある親子の愛とは別の、《人間にのみあるつながり、スピリット・霊の次元の、神に基礎づけられたスピリチュアルなつながり》が必要なのです。
 パウロは3節で言いました、「肉による同胞のためならば、キリストから離され、神から見捨てられてもよいとさえ思っています」。極めて大胆な発言です。《自分自身の救い》という関心からさえ離れられる、キリストに結ばれた者の自由があるのです。
 私たちも、この国のこと同胞のことを考えると、キリスト者がいるという事実は実に驚くべきことだと気付かされます。あのエルサレムで教会が生まれ、文字通り「地の果て」の日本に到達した。不思議な歴史的由来があるわけです。主イエスが、「地の果てに至るまで私の証人となる」と言われた言葉が、この世界のこの歴史の中に実現して来ているのです。
 「肉による子供が神の子供なのではなく、約束に従って生まれる子供が、子孫と見なされるのです」。これはまさに私たちのことです。血肉のつながりなどではなく、神の約束とご計画によって、私たちは造り主なる唯一の神を知った唯一の民イスラエルに接ぎ木され、神の約束の中で神の子とされたのです。
 民族としてのイスラエルは独特な民です。世界で唯一、創造主なる神を知り、その神との関わりの中で、祝福も裁きも受けて歩んできた民です。神に撃たれて国を失った経験も持った民です。私たちはこのイスラエルにつながることで、造り主を知り、歴史の主を知り、救い主を求め、神の約束のもとに、キリストと出会うのです。
 自分の存在の意味を知ろうと血筋を辿るのは無理、愚かな試みです。私たちは神によって取られ、神の民に接ぎ木され、神の子とされました。遡るとすれば究極的には神に遡る、《神に由来する者》なのです。
 私たちはそうした《不思議にも恵み深い由来を持つもの》とされました。「誇る者は主を誇れ」。この主の恵みのご計画と約束の中に、私たちは本当の出生の秘密・本当の理由(わけ)を持つことになったのです。
 

説教一覧(2019年度)

2019.4.7
神の愛の怒り
2019.4.14
正しい者は一人もいない
2019.4.21
私があなたと共に行く
2019.4.28
起きて神を呼べ
2019.5.5
行いによらず、恵みによって
2019.5.12
信仰によって現実を生きる
2019.5.19
イエスの血による贖い
2019.5.26
価を払わずに得よ
2019.6.2
父祖アブラハム
2019.6.9
聖霊の力を受けて
2019.6.16
神さまから与えられた家族
2019.6.23
主にある救い
2019.6.30
望み得ないときの望み
2019.7.7
希望は生まれる
2019.7.14
賛美の湧き出る泉
2019.7.21
神との和解
2019.7.28
罪人を愛する神
2019.8.4
神を誇る
2019.8.11
アンバランスな恵み
2019.8.18
恵みは満ちあふれる
2019.8.25
第二のスタート
2019.9.1
死から生きる
2019.9.8
上を見て生きる
2019.9.15
神から派遣されて
2019.9.22
賜物としての命
2019.9.29
きっぱりと捨てよう
2019.10.6
まず砕かれてこそ
2019.10.13
時が迫っているから
2019.10.20
絶望から生まれた信頼
2019.10.27
あなたの怒りは正しいか
2019.11.3
肉に死に、霊に生きる
2019.11.10
祈りの動機
2019.11.17
私たちは神の子
2019.11.24
神の子とされて
2019.12.1
神の子らよ現れよ
2019.12.8
祈れない時にも
2019.12.15
万事が益となる
2019.12.22
人となった神
2019.12.29
神の主権と深い愛
2020.1.5
神が味方ならば
2020.1.12
宿命をも破る主
2020.1.19
決して離さぬ愛
2020.1.26
神の友になりなさい
2020.2.2
愛されている確信
2020.2.9
主にあって
2020.2.16
同胞のための冒険
2020.2.23
血よりも濃く
2020.3.1
神の不思議な選び
2020.3.8
イエスを主とする仲間
2020.3.15
神の怒りと憐み
2020.3.22
生きて残された者
2020.3.29
救いは向こうから来る