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主イエスとの旅

説教要旨(4月19日朝礼拝より)
ルカによる福音書 8:19-25
牧師 藤盛勇紀

 「わたしの母、わたしの兄弟とは、神の言葉を聞いて行う人たちのことである」と主は言われました。主イエスの伝道の旅は、ご自分の兄弟、神の子らを呼び集めるためであり、神の家族を生むためだと言えます。
 主イエスと弟子たちは舟でガリラヤの湖を渡ろうとしていましたが、突風が吹き降ろし、舟は水をかぶる危機的状況です。ところがイエス様は眠っておられる。主がいてくださっても、眠っておられては困る、こんな時こそ御力を発揮してほしい。弟子たちは当然、イエス様を起こそうとして叫びます。「先生、先生、おぼれそうです」。
 彼らの叫びは信仰の叫びではありませんでした。しかし、信仰のある人にも無いに人も、同じように嵐は襲います。波風が立ちます。その波風の中で、一生懸命に漕ぎ続けなければならないのは同じです。
 「そんなこと分かっている」と言われるかもしれません。でも、本当でしょうか。「いざという時、もうダメだと思った時、主に頼めば、奇跡を起こしてくださる」と思っていないでしょうか。だから、その時に自分が期待するように神様が働いてくれないと、「なんで主は、ここで力を発揮してくれないのか」と不平を鳴らし、下手をすると、奇跡を見せてくれない神に愛想をつかしてしまうことだってあります。御利益宗教とどこが違うというのでしょうか。
 もしも、仮にですが、弟子たちが必死に舟を漕ぎ嵐と戦って、その甲斐無く海に沈んでしまったとしても、それを虚しいとは言えません。なぜなら、主イエスが彼らの舟に乗っておられるからです。私たちの救いは、幸いにも生き長らえたかどうかではないのです。「生きるにも死ぬにも、あなたのただ一つの慰めは何ですか」(ハイデルベルク信仰問答の1)。
 それは、あなたがあなた自身のものではなく、生きるにも死ぬにも、あなたの真実な救い主、イエス・キリストのものであることではないですか。
 世々のキリスト者たちすなわち神の家族は皆、そのように生きて、死にました。教会は初めの数百年から迫害の歴史を負っています。人間がふつう期待する類いの奇跡は起こらなかったということです。神がその民のために天の軍勢を送って、神に敵対する者たちを滅ぼす、などというようなことはなかったのです。
 しかし大事なことは、そのことは、つまり人間の期待するような奇跡が起こらないということは、まったく信仰の妨げにはならなかったということです。むしろ、いざという時に奇跡が起こらない人生や時代に、それが逆に信仰を強めたのです。それこそ大いなる証しではないでしょうか。それが信仰を呼び起こし、信じて生きる神の民を呼び集め、神の家族の結束をも強めた。それが真実です。
 なぜかと言えば、主が生きて兄弟姉妹たちと常に共にいてくださったからです。彼らの人生に生きておられたからに他なりません。キリスト者たちは、主が生きておられることを信じていたからです。生ける主が、すでに彼らの人生に、私たちの人生に乗り込んでおられるからです。
 あのガリラヤ湖上の弟子たちは、それを忘れていたのでしょう。信仰無き者に対してイエス様は、「わたしだ」と言っておられます。「わたしがここにいる。あなたの人生に乗り込んでいる。だから、慌てるな。私が終わりまでいるから、あなたの今の務めを一生懸命果たしなさい」と。
 私たちの人生も、信仰無き者のように、あたふたし悪戦苦闘し、不信仰のゆえに恥も晒すでしょう。でも、そのような者を憐れんでくださるお方が、すでに乗り込んでくださっています。ならば、私たちはなお、終わりまで、信仰の旅を、悪戦苦闘しながらでも、漕ぎ続けることができるのではないでしょうか。

説教一覧(2015年度)

2015.4.5
おめでとう、主は生きておられる
2015.4.12
主がお求めになるもの
2015.4.19
主イエスとの旅
2015.4.26
自由を取り戻す
2015.5.3
人の力尽き、信仰が折れても
2015.5.10
父の約束を待ちなさい
2015.5.17
遣わされて生きる
2015.5.24
命を支える霊
2015.5.31
人に仕える主
2015.6.7
救いへの道
2015.6.14
キリストを知る道
2015.6.21
神様の愛
2015.6.28
この曲がった時代に
2015.7.5
主イエスを受け入れる者
2015.7.12
幸せの中心
2015.7.19
人生の優先順位
2015.7.26
収穫は多い
2015.8.9
和らぎある教会生活
2015.8.16
もう自問自答はいらない
2015.8.23
必要なものはただ一つ
2015.8.30
上から来た祈り
2015.9.6
神の国は来ている
2015.9.13
あなたのともし火
2015.9.20
主が備えてくださる
2015.9.27
器の中身
2015.10.4
キリストの仲間として
2015.10.11
ここにも天のはしごは届いている
2015.10.13
平和のレベル
2015.10.25
あなたの豊かさ
2015.11.1
神の国を受け継ぐ者
2015.11.8
愛は神から
2015.11.15
大切なあなた
2015.11.22
何に備えて生きるか
2015.11.29
火を投ずる主
2015.12.6
今の時を見分ける
2015.12.13
あがめよ、わが魂
2015.12.20
はるばる来られた神
2015.12.27
忍耐して待つ神
2016.1.3
神の国は来ている
2016.1.10
狭い戸口から入れ
2016.1.17
救いの業は前進する
2016.1.24
神から招かれて
2016.1.31
創造の信仰
2016.2.7
宴会への招き
2016.2.14
旅立ち
2016.2.21
主の弟子として
2016.2.28
神の大きな喜び
2016.3.6
走り寄る父
2016.3.13
主イエスの沈黙
2016.3.20
光の子らの賢さ
2016.3.27
急いで行って告げなさい