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救いへの道

説教要旨(6月7日朝礼拝より)
ルカによる福音書 9:18-27
牧師 藤盛勇紀

 主イエスは「あなたがたはわたしのことを何者だと言うのか」と弟子たちに問われ、ペトロが代表するかたちで答えました。「神からのメシア(キリスト)です」。言わば、人類初のキリスト告白です。この時からイエス様は、今までは弟子たちに告げていなかった、ご自分の十字架の死と復活について、打ち明けはじめられました。
 しかし、弟子たちから信仰の言葉をお聞きになったのに、なぜ、このことをだれにも話さないように命じられたのでしょうか。
 この時の信仰告白の言葉は、ここではまだ不完全なものだったのです。「神からのメシア」との言葉は、イエス様が十字架につけられた場面で、イエス様をあざ笑う言葉として使われるのです。そして、弟子たちもそこでつまずいてしまいました。
 「このイエスを、何者だと言うのか」。この問いの前で、私たち人間の正体が暴露されます。救いとは何かを自分で勝手に決め込んでいる自分勝手な人間は、神がお与え下さる救いを見損い、役立たずなものとして踏みにじり、捨て去ってしまうのです。
 しかし、私たちがそのような者であるからこそ、救い主は十字架につけられます。そのように主イエスが私たちの救いとなって下さったことが弟子たちに分かったのは、主イエスの復活の後、主の約束どおり聖霊をいただいてからでした。
 イエス様は、続いてこう言われます。「わたしについて来たい者は、自分を捨て、日々、自分の十字架を背負って、わたしに従いなさい」。私たちには「日々」の労苦があり問いがあり悩みがあります。すでに日々の十字架を背負っていると言えるかもしれませんし、その重さに耐えかねて「なぜこんな人生を」と問うているかもしれません。
 しかしイエス様は「自分を捨てよ」と言い、「わたしに従いなさい」と言われます。「わたし」とは、十字架の死への道を行かれるメシアとしてのイエス様です。「神のメシアなら、自分を救ってみろ」とののしる者のため、自分の救いや命のことが分からなくなってしまった者たちのために、十字架にかかって罪を担い、赦しを与えてくださるお方が、「わたしに従え」と言われるのです。
 ペトロは後に、このキリストの十字架の死がいかに私たちにとっての命となり、いやしとなられたかを、彼の手紙の中で語っています。一言でいえば、こういうことです。私たちはキリストに結ばれているので、私たちはすでに罪に対して死んだ者とされました。だから私たちは、自分の罪のゆえに死ぬことは、もうないのです。「罪」は苦しいものです。神が分からない、だから自分も分からない。その分からなさの中に、悩みながら、滅んで行きます。しかし、私たちは罪に対してすでに死んだのです。
 キリストの血によって、私たちは心すすがれ、良心のとがめもない、とも聖書は告げています。神と和解していない「罪」は、良心の呵責、とがめとなって私たちを苦しめます。罪のまま、平安でいられる人はありません。自分の内の葛藤を、自分でなんとかやりくりするしかありません。
 しかし、十字架には完全な赦しがあります。キリストがただ一度血を流されたから、私たちは罪赦された者として、いやされるのです。この十字架のキリストに結ばれている限り、もう罪に悩むことはありません。だから、キリストに結ばれる者は自分にしがみつかず、自分の中で堂々巡りをしないのです。「自分を捨てる」とは、自分を失うことではありません。むしろ、本当の自分を得ることです。それは、日々キリストのもとに帰り、日々キリストの血によって赦され癒されて、そこで自分に与えられた重荷も担える、ということです。そのように罪赦され、死から解放され、癒された者として、新しい命に生きる者として、御国へ通じる道を行くのです。
 

説教一覧(2015年度)

2015.4.5
おめでとう、主は生きておられる
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主がお求めになるもの
2015.4.19
主イエスとの旅
2015.4.26
自由を取り戻す
2015.5.3
人の力尽き、信仰が折れても
2015.5.10
父の約束を待ちなさい
2015.5.17
遣わされて生きる
2015.5.24
命を支える霊
2015.5.31
人に仕える主
2015.6.7
救いへの道
2015.6.14
キリストを知る道
2015.6.21
神様の愛
2015.6.28
この曲がった時代に
2015.7.5
主イエスを受け入れる者
2015.7.12
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2015.8.9
和らぎある教会生活
2015.8.16
もう自問自答はいらない
2015.8.23
必要なものはただ一つ
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あなたのともし火
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主が備えてくださる
2015.9.27
器の中身
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キリストの仲間として
2015.10.11
ここにも天のはしごは届いている
2015.10.13
平和のレベル
2015.10.25
あなたの豊かさ
2015.11.1
神の国を受け継ぐ者
2015.11.8
愛は神から
2015.11.15
大切なあなた
2015.11.22
何に備えて生きるか
2015.11.29
火を投ずる主
2015.12.6
今の時を見分ける
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あがめよ、わが魂
2015.12.20
はるばる来られた神
2015.12.27
忍耐して待つ神
2016.1.3
神の国は来ている
2016.1.10
狭い戸口から入れ
2016.1.17
救いの業は前進する
2016.1.24
神から招かれて
2016.1.31
創造の信仰
2016.2.7
宴会への招き
2016.2.14
旅立ち
2016.2.21
主の弟子として
2016.2.28
神の大きな喜び
2016.3.6
走り寄る父
2016.3.13
主イエスの沈黙
2016.3.20
光の子らの賢さ
2016.3.27
急いで行って告げなさい