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神の国は来ている

説教要旨(1月3日朝礼拝より)
ルカによる福音書 13:10-21
牧師 藤盛勇紀

 主イエスは神の国を「からし種」と「パン種」にたとえました。小さなもの、隠されたものでが、それらは目的と希望をもって蒔かれ混ぜられます。やがて芽生え、枝葉を伸ばし、大きな木となる。そして、空の鳥たちも宿るところとなる。
 主イエスが語られたこの日の礼拝も、神の国がリアルに現れる礼拝でした。そして主は、18年間も病気で悩んでいた女を癒されました。「病気は治った」という言葉は、「病気から解放され自由にされた」ことを意味します。神の憐れと恵みの力に触れた者は自由にされます。自由にされた者は、自らの自由をもって神を賛美、礼拝します。
 ところが、主の恵みが現された礼拝で、ちょっとした論争が起こりました。会堂長がイエス様のなさった業を見て、なんと「腹を立てた」というのです。この日が、安息日だったからです。
 「何も安息日の今日、しなくてもよいだろう。週日に改めて癒やしてもらえばよいではないか。とにかく今日は安息日だ。まずそれを真剣に守るべきだ」。そんなことを思ったのでしょう。感謝と喜びの、最高に自由な行為であるはずの礼拝が、自分に課したお勤めやになってしまい、他者をも縛る「戒律」としての礼拝としてしまう。そういうことは私たちにも起こり得ます。
 イエス様は会堂長の言葉を聞いて、人々に言われました、「偽善者たちよ」と。主の御言葉を聞きながら、神の恵みを見ようとしない。主の恵みの力を目の当たりにしていながら、憐れみ深い主のお働きに沿おうとしない。「神の恵み」とは言いながらリアルでないので自分には関係ない。もし、彼らが神の恵みのご支配を信じていたならば、あの女性が思いがけず癒された時、喜びと賛美が巻き起こったはずです。
 ところが「安息日はいけない」などと、神の御言葉を知ったふうに言う。しかし、神が生きて働いておられ、神の国が始まっていることを信じようとせず、認めようとしない。だから、神の国の現実の中で、神の恵みの中で、この女性を見ることもしません。いや、自分自身が恵まれていることさえ信じていなかったでしょう。だからプンプン腹を立て、喜びもないのです。
 主は言われました。「この女はアブラハムの娘なのに、十八年もの間サタンに縛られていたのだ。安息日であっても、その束縛から解いてやるべきではなかったのか」。
 「解いてやるべきではなかったのか」。この「べき」は、人の情けや道徳的な観点からそうすべき、ということではありません。「当然そうであるはず」という、神の定め、神の御旨を表しています。
 神の御言葉を聞いて礼拝をしているということは、私たち人間の思いを超えて、私たちの想定を超えて、あるいは気づかない仕方で、神の恵みがその人を解放し、自由にしてくださっている、それを信じ、それを願い、それを喜んでいることです。
 主はこの女を「アブラハムの娘」と言われました。アブラハムは、神から祝福と約束を受けた人です。「祝福の源となり、地上の氏族はすべて、あなたによって祝福に入る」と。どんな民族だとか氏族だとか、そういうものに関わらず、神の憐れみと恵みが及んでいく。その基がアブラハムです。
 19章にザアカイの物語が出てきますが、イエス様は、嫌われ者のザアカイのことも「アブラハムの子なのだから」と言われます。アブラハムにつながる者は、ただ神の憐れみによって、そこに注がれる恵みをいただいて喜んで生きる者です。
 イエス・キリストは、神の恵みが全ての民の上に注がれるために、来られたお方です。このお方が生きて働いておられるので、私たちはアブラハムの子らとして、憐れまれた者、恵まれた者、祝福された者として、いまここにあります。この私たちの間に、神の国はすでに始まっています。
 

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