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幸せの中心

説教要旨(7月12日朝礼拝より)
ルカによる福音書 17:11-19
伝道師 上田真由美

 イエス様は、エルサレムへの旅の途中、サマリアとガリラヤの間を通られました。そこに10人の重い皮膚病を患う人が迎えに出ました。彼らは人に近づくことは許されなかったので、遠くの方から助けを求めたのです。するとイエス様は、「祭司のところに行って、体を見せなさい」と言われます。祭司のもとに行く途中で、全員癒されました。ところが、そのうち1人だけ、しかも、自分たちは神に選ばれた民だと威張っていたイスラエル人たちではなく、そういう人たちから蔑まれていたサマリア人だけが、イエス様のもとに感謝をしに戻りました。この9人と1人との間になぜ、こんな違いができたのでしょうか。
 9人は、自分たちはイスラエルの民だから、手続き(レビ記14章)をとれば癒される。先祖もそうだったし、自分も恵まれるのは当たり前。自分にはその権利があると思っていたのでしょう。しかし、それは根拠のないこと。私たちは、神様に対して、幸せを要求する権利はないはずなのに、幸せになるのが当然だと思っています。
 一方、この人は外国人ですから、癒されることは当たり前ではなく望外の喜び。そしてこの人は、癒されたと分かった時すぐに、その恵みを与えて下さった方のことを考えました。イエス様はこの時、触ることも何もなさらずただ、「祭司に体を見せなさい」と言われただけです。それなのに、癒しを願って、実際癒されたのですから、そうと分かった時すぐに、癒して下さった方のもとに帰らなければと思った。つまり、この人が考えたことは、自分のことだけではなくて、その幸せを与えて下った方との関係を考えた。そしてその幸せは、このお方から受けたと考えた。そうだから、感謝が湧き起こって、「神を賛美するために戻って来た」のです。ここに、本当の「賛美」の姿が示されています。ただ口で、”神様は素晴らしいお方です”と言うのではなくて、自分を神様の御手に委ねることが本当の「賛美」だということです。
 自分を神様に委ねなければ、自分で幸せを計ってしまうことになる。神様のお考えや神様との関係を考えない。そういう利己的な自分からは、たとえ恵みがどんなに大きくても感謝は起こってくるはずがない。そういう意味で、恵みを感謝できるかどうかは、利己的かどうかによって決まるのでしょう。
 私たちは、もっと多くの恵みを受けたら、委ねられると思うかもしれません。けれども、ただ1つの恵みがあったら、それによって神様と結び付くことができる。あとはそこからだけ、神様に委ねる人生に入って行くことができるのだと思います。
 宗教改革者ルターは、「確かさではなくて、畏れと謙遜が信仰のしるしである」と言います。どんな風に神様の恵みを確信できるかではなくて、神様に対する畏れと謙遜とが信仰の特徴だと言うのです。それを別の言葉で言うと「神を賛美する」ということになるだろうと思います。
 この恵みと賛美に溢れてひれ伏す人に目を留めつつ、イエス様は、「立ち上がって、行きなさい。あなたの信仰があなたを救った」と言われました。うずくまっていたところから、主に癒され救い出された。しかもその喜びの証し人として召し出された。この人はこの後、その神の恵みと召しによって、神様を讃えながら生きて行くことができたでしょう。他の9人も癒されたのですが、その与えられたものは与えられただけ。そうならば、癒しは無意味でしょう。
 与えられている幸せの中心に、自分を恵み生かして下さるお方を見出して、そのお方を賛美しながら生きて行く人生を求めたいと思います。
 

説教一覧(2015年度)

2015.4.5
おめでとう、主は生きておられる
2015.4.12
主がお求めになるもの
2015.4.19
主イエスとの旅
2015.4.26
自由を取り戻す
2015.5.3
人の力尽き、信仰が折れても
2015.5.10
父の約束を待ちなさい
2015.5.17
遣わされて生きる
2015.5.24
命を支える霊
2015.5.31
人に仕える主
2015.6.7
救いへの道
2015.6.14
キリストを知る道
2015.6.21
神様の愛
2015.6.28
この曲がった時代に
2015.7.5
主イエスを受け入れる者
2015.7.12
幸せの中心
2015.7.19
人生の優先順位
2015.7.26
収穫は多い
2015.8.9
和らぎある教会生活
2015.8.16
もう自問自答はいらない
2015.8.23
必要なものはただ一つ
2015.8.30
上から来た祈り
2015.9.6
神の国は来ている
2015.9.13
あなたのともし火
2015.9.20
主が備えてくださる
2015.9.27
器の中身
2015.10.4
キリストの仲間として
2015.10.11
ここにも天のはしごは届いている
2015.10.13
平和のレベル
2015.10.25
あなたの豊かさ
2015.11.1
神の国を受け継ぐ者
2015.11.8
愛は神から
2015.11.15
大切なあなた
2015.11.22
何に備えて生きるか
2015.11.29
火を投ずる主
2015.12.6
今の時を見分ける
2015.12.13
あがめよ、わが魂
2015.12.20
はるばる来られた神
2015.12.27
忍耐して待つ神
2016.1.3
神の国は来ている
2016.1.10
狭い戸口から入れ
2016.1.17
救いの業は前進する
2016.1.24
神から招かれて
2016.1.31
創造の信仰
2016.2.7
宴会への招き
2016.2.14
旅立ち
2016.2.21
主の弟子として
2016.2.28
神の大きな喜び
2016.3.6
走り寄る父
2016.3.13
主イエスの沈黙
2016.3.20
光の子らの賢さ
2016.3.27
急いで行って告げなさい