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神の子らよ、生きよ

説教要旨(6月11日 夕礼拝より)
ヨハネによる福音書 10:22-42
牧師 藤盛勇紀

 「そのころ、エルサレムで神殿奉献記念祭が行われた。冬であった」。紀元前2世紀にシリアによって侵略され、ギリシアの神々が持ち込まれて汚されたエルサレム神殿を奪回したことを記念する祭りです。
 この祭りは、8章にある仮庵の祭りのように「光の祭り」の性格があります。イスラエルの民は国が滅ぼされた後、預言者も絶えて数百年。長く暗いトンネルような時代を過ごしています。しかし、神からの光を待つように、救いの到来を待ち望んでいるのです。今は強大なローマ帝国の支配下。この支配から解放されるとすれば、とてつもなく大きな出来事が起こるはずです。神からの真の光、王の王、救い主の到来をじっと待っていました。
 仮庵の祭りの時にイエス様は、「わたしは世の光である」と宣言し、ここで今、救い主メシアの意味を示そうとしておられます。そこで、ユダヤ人たちはイエス様を取り囲んで言うのです。「いつまで、わたしたちに気をもませるのか。もしメシアなら、はっきりそう言いなさい」。
 メシア(=キリスト)を待望するイスラエルにとって、「あなたはメシアなのか」という問い以上に重大な問いはありません。イエス様はお答えになります。「わたしは言ったが、あなたたちは信じない。わたしが父の名によって行う業が、わたしについて証をしている。しかし、あなたたちは信じない。わたしの羊ではないからである。わたしの羊はわたしの声を聞き分ける」。
 ユダヤ人たちが待っていたメシアが、まさに今語っておられる。なのに、彼らにはそれが分からないというのです。どういうことでしょうか。
 それは預言者イザヤが語っている通りです(イザヤ書53章)。イエス様を見ても、ただのガリラヤの田舎の男。まさに「見るべき面影はなく、輝かしい風格も、好ましい容姿もない」のです。それなのに、「わたしと父とは一つである」などと、とんでもないことを口にする。ユダヤ人たちはもう黙っていられません。イエスを殺そうとします。「神を冒涜したからだ。あなたは、人間なのに、自分を神としているからだ」と。
 そこでイエス様は、詩編82編の言葉を引用して言われます。「『わたしは言う。あなたたちは神々である』と書いてあるではないか」。「あなたたちは神々」とは不思議な言葉ですが、これを多神教的なイメージで考える必要はありません。「神々」とは、神の御心を示されて神と交わる者のような者たち、神の命に与った者たちです。
 つまり、「あなたたちは神の子たちではないのか」と、イエス様が逆に問うておられるのです。「あなたたちは神の子」。この真実を回復してくださるために、イエス様は人となって世に来られたのです。
 ところが人々はそれが分からず、その声を聞き分けない。イザヤは語ります、「彼の時代の誰が思い巡らしたであろうか、わたしの民の背きのゆえに、彼が神の手にかかり、命ある者の地から断たれたことを」。
 主の御声は、十字架の主の声です。人々に軽蔑され、見捨てられた十字架の死の苦しみを通って、いま生きて私たちに語られるお方の声です。使徒パウロは言いました。「わたしたちがまだ罪人であったとき、キリストがわたしたちのために死んでくださったことにより、神はわたしたちに対する愛を示されました」(ローマ5:8)。
 神に背を向け、神を侮りさげすみ無視する私たちのために、主は死んでくださったというのです。そんなおかしなことはありません。しかし主は、そうしてしまったのです。このお方の命が絶たれて、代わりに私たちに神の命が与えられた。このお方によって私は神のもの、神の子とされている。私たちはいつもそこに立ち帰り、生きることができます。そのお方の声を聞いたなら、もう他の声には従わないのです。
 

説教一覧(2017年度)

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