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描き出された十字架

説教要旨(8月27日 朝礼拝より)
ガラテヤの信徒への手紙 3:1-6
牧師 藤盛勇紀

 「ああ、物わかりの悪いガラテヤの人たち」。ずいぶん厳しい言葉ですが、パウロはガラテヤの信徒たちに、どうしても分かってもらいたのです。「目の前に、イエス・キリストが十字架につけられた姿ではっきり示されたではないか」。これは何か神秘的なヴィジョンのようなものではありません。キリストが、私たちの救いのために、私たちが神の命に与るために十字架についてくださった、あの出来事を聞いて信じて受け入れて、まさにこの私の現実となっていることです。
 これは信仰によってのみ触れられる事実ですから、これを受け入れない人にすれば、「なんであのキリストの十字架が私と関係あるの?」となります。パウロが言ったように、十字架の言葉は愚かです。それを宣べ伝えることは愚かさの極みです。しかし、信じる者には「神の力」です。あの2千年前の出来事が、この私の救い、主観的な事実になるのは、聖霊が私たちの内に働いてくださっているからです。
 パウロは問います。「あなたがたが“霊”を受けたのは、律法を行ったからですか。それとも、福音を聞いて信じたからですか」。私たちが霊を受けたのは、律法のお陰ではないし、私たち自身が何をしたか何ができたかではないでしょう、ただ与えられたのでしょう、と言うのです。
 パウロは、「あなたがたに“霊”を授け」た方、「あなたがたの間で奇跡を行われる方は」と、主語をハッキリさせます。主体は神なのだ! あなたじゃない、神がなさる! だから、「私はこうで、ああで」と言うな! あなたが何をしたとか、あなたがどうかなど、どうでもよろしい! 「神が」私たちの間で力を発揮しておられる! 「神が」あなたに働かれるのだ!
 私たちが神の命に与るのは、私たちの力や行いなど関係ありません。律法のお陰なんかでもありません。あなたが神の戒めに従えるならけっこうなことですが、それで救われようたって無理です。「私は、神の戒めに従えないんです」と嘆くなら、それでいいんです。「私ではダメ」と知る。律法の役目はまさにそれです。だからあなたは「ただ恵みによって」救われるしかないのです。
 人は誰でも根本的に不安でいつも認知飢餓状態で、自分を主張し頑張ります。でも、そんなことは要らないのです。「“霊”によって始めたのに、肉によって仕上げようというのですか。あれほどのことを体験したのは、無駄だったのですか」とパウロは問います。何か特殊な体験ではありません。十字架の言葉を受け入れ、キリストに依り頼むことです。言い換えれば、「私の内には何もありません」と自分を手放すことです。
 洗礼を受けた人は思い起こすのです。「目の前に、イエス・キリストが十字架につけられた姿ではっきりと示されたではないか」。目で見るよりも確かに、あなたの内にキリストは生きておられるでしょう。あなたが「イエスは主」と信じたのは、あなたの決断力ですか、あなたの信心深さ、決意の強さ、正しさ、知識の量、そんなあなたの何かを拠り所としたのですか。あなたが信じたのは、ただ聖霊によったのでした。
 洗礼を受けていない人にも、「肉」で仕上げるのかというパウロの問いがあります。自分の救いのこと、命のことを、自分でなんとかしますか? 自分で決めますか? 自分で仕上げるのですか?
 パウロが「あれほどのこと」と言った体験とは、十字架のキリストと結ばれて力を受けたことです。イエス様は、重荷を下ろせと言われます。それは、イエス様につながれることです。そして、「あなたではない、私がするのだ」と主は言われます。だから、事実として悩みや苦難があったとしても、根本的にはリラックスし、安心して自分の道を生きられます。その道が、私たちの内に描き出されています。
 

説教一覧(2017年度)

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